君はAmazonプライムビデオに溢れる“謎映画”を知っているか? 「カメラは止めない!」「何か」「黒可能打開白皿」
めちゃくちゃいっぱいある。
Amazonプライムビデオをご利用の皆さん、ご存知でしょうか? 広いプライムの海に眠る謎の映画たちを……。
前回の記事で紹介したように、Amazonプライムビデオには絶妙に安っぽいサムネイルの「謎映画」があふれています。ほとんどの人に観られないどころか、存在にすら気付いてもらえない「謎映画」たち。そんなのかわいそうですよ。『パラサイト 半地下の家族』や『ジョーカー』が教室でデカイ顔をしている中、この映画たちは寝たふりしながら休み時間を過ごしているのです。
というわけで今回も、数うちゃ当たると言わんばかりに次から次へと追加される謎の映画たちをレビューしていきたいと思います。何から観ようかな〜〜〜!!
「サバイバル・フォレスト」
わーうれしい! 一発目から引き当ててしまいました。大駄作じゃないすか。B級映画をディグって得られる喜びは、人知れぬ傑作との出会いだけではありません。Z級と巡り合える喜びもあるんですよ。
「サバイバル・フォレスト」は人間狩りスリラーです。バックパッカーのカップルが、行方不明者の続出する山で殺人鬼に遭遇するお話。至ってシンプルなプロットだけに、作り手の力量不足がモロに浮き彫りになっています。とにかく尺を稼ぎたいのか何なのか、命を狙われているはずの主人公がやたらと休憩するんですよ。ホラー映画の主人公史上、最も休憩した男ではないでしょうか?
一方のハンターはとにかく貧弱で、そのうえ主人公に携帯電話をプレゼントする謎の優しさを持ち合わせています。「ヒロインをさらった」という犯人からの電話を聞きながら休憩し始める主人公には笑いました。全シーンに違和感を覚えるすごい映画です。
映画あるあるとして挙げられる“主人公に銃弾当たらなすぎ問題”に対し「犯人がクソエイムだから」というシンプルな回答を提供するなど、辛うじて工夫の跡も見られる本作。間違いなく駄作ではありますが、どこか憎めない作品でした。ネタとして楽しむくらいなら意外とアリではないでしょうか。
「何か」
お次はアメリカ製のサスペンス・ミステリーです。家の中だけで完結し、ほとんど主人公2人の会話によってのみ物語が進んでいく典型的な低予算映画。画変わりの無さは好き嫌いの別れるところかとは思いますが、それでも決めるところはパキっと決めていて、これぞインディーズ映画という趣があります。
物語は産後うつに悩まされる主人公とその夫。2人で支えあいながら育児を続けていたある日、家の中に侵入者の気配を感じ……といった内容。
個人的には、あまり長編向きの題材ではなかったような気がします。前述の通り映像は決まっているので「つまんね〜」とはならないものの、かといってストーリーでグイグイ引っ張るパワーもありません。主に2人の会話で物語が進んでいくわけですが、本題と関係ないセリフが多くて次第にだれてきます。「お風呂先に入ってくれば?」くらいのしょうもない会話を何度も重ねるんですよね。リアルと言えばリアルですけど、カットしてもバチは当たらないんじゃないの?
ただしオチはかなり好きでした。きっちり伏線も回収されるので、ミステリーとしては十分成立していると思います。低予算映画を楽しむポイントは過度な期待を捨てることですよ。
「用心棒の男」
当たりです! 当たりを引きました! これ面白かった! 日本に入ってくることは珍しいベネズエラ産の犯罪映画です。ベネズエラにこんなクセの強い犯罪映画があるなんて、うれしい発見でした。
大富豪ディエゴとその息子を含む、合計4人の死体が発見される。警察はディエゴの用心棒をしていたディマスという男を第一容疑者として手配するが……という導入。このディマス(=用心棒の男)を軸に、回想シーンで物語が進んでいきます。
最初は「はえ〜わるくないじゃん」とケツをかきながら鑑賞していたんですが、中盤を過ぎてからは急展開! 3人の容疑者を監禁する主人公! そして拷問! さらにそれぞれ食い違う証言が回想シーンで再現され……と、バイオレンス&ミステリーの色が一気に強くなります。これはうれしい誤算でした。
少々乱暴というか雑な部分もありますが、お国柄も出ているし、ベネズエラのご当地映画としても意義のある作品だと思います。一風変わった犯罪映画を観たい方にはオススメです。
「金貨の伝説」
お次はこちら。アメリカ製のPOVホラーです。
とある荒野にて、複数の首無し死体が発見される。落ち目のテレビプロデューサー・ダニエルは、その荒野にナバホ族の財宝が眠ると信じ、クルーを引き連れ現地でドキュメンタリー番組の制作に取り掛かるが……。といったもの。ちょっと設定がややこしいんですけど、要するに殺人事件をテレビのネタとしか思っていないクソプロデューサーにクルーたちが振り回される話です。そして一人、また一人と犠牲になっていくわけですが……。
ドキュメンタリー番組の撮影というテイで進んでいく点は面白かったです。「町の人にインタビューしてみましょう」なんつって、いかにもなおじさんに話しかけたら「おまえらバチがあたるぞ」なんて怒られちゃう。普通のホラーなら超ありがちなテンプレですけど、ビデオカメラ越しに見ると少し新鮮だなあ、という。
ただし面白いのはそこだけで、お話自体はとんでもなくつまらない。見栄えが良いので最初はごまかされちゃいましたが、だんだん気付いちゃうんですよ。「なんてどうでもいい話なんだ」って。真犯人の正体にもまったく捻りが無い(隠そうとすらしてない)し、動機も何だそりゃってレベル。こんな映画でナバホ族の名前を出していいのか……?
残酷描写もかなり抑えめで、ショック演出もイマイチ決まっていない、ホラー映画としても首をかしげてしまう一作でした。
「ゾンビ・ホロコースト」
ニュージーランド製のゾンビコメディです。B級ゾンビ映画の撮影現場に雑用として派遣された、脚本家志望の主人公。監督以外まったくやる気のない現場で雑用として振り回されていたら、なんと本物のゾンビが。――それでも、カメラは止めない!
ジャケットの宣伝文句から配給会社も自覚しているようですが、あの大ヒット和製ゾンビ(?)映画「カメラを止めるな!」との類似点が見られる作品。まあ似てると言ってもゾンビ映画の撮影中に本物のゾンビが〜のとこだけですけどね。
で、肝心の中身はというと……面白かったです。B級映画を愛するボンクラが集まって撮ったような気持ちのよい作品。ギャグがつまらない代わりにグロ描写いっぱいだし、少しテンポが遅い代わりに巨乳ギャルが登場するし、欠点を補って余りある長所のおかげで、まったく嫌な気持ちになりません。「こいついっつも遅刻してくるけどスゲーいい奴なんだよな〜」みたいな友達いるじゃないですか。それです。息切れしながら走ってきてシャツのボタンが掛け違えてるみたいな、それです。
手放しに褒められる内容ではありませんが、それでも勧めたくなるパワーがある素晴らしい作品。「これぞB級!」な趣きなので、そういったジャンルに触れたことの無い人にはぜひ鑑賞してみてほしいですね。
「ロレーナ」
南米産のサスペンスドラマです。
認知症の母親、恋人との破局、上司との確執など日々のストレスに耐え続けているヴィクトリア。不幸な出来事は重なるもので、ある日から“ロレーナ”という別人宛ての借金督促の電話が自分にかかってくるように。「私はロレーナではない」と訴えるもむなしく、とうとう差し押さえの通告をされてしまい……。
いまいち消化不良な作品でした。主人公の鬱屈とした日々の生活を描くヒューマンドラマと、前述の“ロレーナ”問題を描くサスペンス要素がどうにも乖離してしまってるんですよね。
別人として扱われてしまった主人公が、それをきっかけに自分という存在とあらためて向き合っていく……みたいな展開が自然だと思うんですが、そうはならない。かといってミステリー的な楽しみ方もできないんですよ。間違いなく手違いでロレーナ扱いされてることが早々に分かっちゃうので……。
楽しみ方が分からず、最後まで釈然としない映画でした。映画としてのクオリティーはしっかり保たれているのが逆にモヤモヤします。一体何だったんだろうな、これは。
「ヘルゲート 地獄の門」
西暦2179年、人間と悪魔やミュータントが共存する時代。サンフランシスコ・ベイエリアのミュータントの居住区では、人間がミュータント同士を戦わせる違法賭博が横行していた……。
やばい映画です。一言で表すならばクソ映画なんですが、ちょっと次元が違いました。さっきは無責任に「Z級と巡り合える喜び」なんて書いてしまいましたが……すみません。ごくまれに笑いすら出てこないレベルの大事故に遭うこともあります。
まず2179年感が一切ありません。未来感のある描写といえばレーザー銃くらいのもので、そのCGも20年前の作品と勘違いするクオリティ。拳銃でいいです。「ミュータントと共存する時代」という設定はSFっぽく聞こえますが、変なマスクを被った犬人間が1人か2人登場するだけ。期待するファイトクラブ的描写もほとんどありません。
とはいえ、広げた大風呂敷が一切機能していないクソ構成はB級映画ならよくあること。序盤はへらへら笑いながら観ていたのですが……。タイトルにもある「地獄の門」が登場してからは、まさに地獄でした。電波な展開の連続に理解が追い付かず、笑うことすらできない惨状に……。
あ、地獄に入った登場人物が普通に歩いて帰ってきたあと、向こうで捕まえた虫を自慢するところは面白かったです。「地獄にいた虫を拾ってくんなよ!」というツッコミは作中で唯一共感できるセリフかもしれません。
ここまでひどい映画は久々観ました。なぜか地獄の門に「黒可能打開白皿」って漢字で書いてあるのも意味不明だったな……。理解できる自信のある方はぜひ鑑賞してみてください。
今回は7作品ほど鑑賞してみました。個人的なオススメは「用心棒の男」「ゾンビ・ホロコースト」ですね。特に「用心棒の男」は、映画好きの方にこそオススメしたい逸品です。
Amazonプライムに眠る謎の映画たち。前回の記事と合わせて14本ほど鑑賞してみましたが、面白いといえば面白いけど絶賛するほどでもない、ひどいっちゃひどいけど酷評するほどでもない、そんな半端な映画が多い印象です。しかし、だからこそ強烈な作品に当たった喜びは何にも代えがたい。やっぱり映画を掘ることはやめられませんね。
……こうやって自分の趣味を正当化していくことが大切です。
<城戸>
関連記事
- 君はAmazonプライムビデオに溢れる“謎映画”を知っているか?
映画館に行けないなら家で映画をディグろう。 - 平和な学園を襲った“教職員車両27台ペニス落書き事件” Netflixの極太ミステリ「アメリカを荒らす者たち」
- 平和な学園を襲った“教職員車両27台ペニス落書き事件” Netflixの極太ミステリ「アメリカを荒らす者たち」
くだらないテーマからの鋭いメッセージ。 - 「カメ止め」「1917」だけじゃない 没入感でめちゃくちゃになれる「ワンカット映画」のおすすめを5本紹介します
ライター・城戸の映画コラム2本目。ワンカット映画の魅力を紹介します。 - 「童貞/童貞/バカ/バカで童貞」世界一バランスの悪いパーティーが大暴れ 傑作コメディ「スーパーバッド 童貞ウォーズ」を知っているか
エミネムが200回見た傑作。 - 上映後の気まずい沈黙からの会話が完全再現すぎる……! 細かすぎる映画館ネタものまねが「すげぇわかる」「恥ずかしい」
「ジュース飲みきった?」とかも言ってしまいがち。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
-
「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
-
「ほ、本人……?」 日本に“寒い国”から飛行機到着→降りてきた“超人気者”に「そんなことあるw?」「衝撃の移動手段」の声
-
才賀紀左衛門、娘とのディズニーシー訪問に“見知らぬ女性の影” 同伴シーンに「家族を大切にしてくれない人とは仲良くできない」
-
【今日の難読漢字】「誰何」←何と読む?
-
「今やらないと春に大後悔します」 凶悪な雑草“チガヤ”の大繁殖を阻止する、知らないと困る対策法に注目が集まる
-
武豊騎手が2024年に「武豊駅に来た」→実は35年前「歴史に残る」“意外な繋がり”が…… 街を訪問し懐古
-
大谷翔平、“有名日本人シェフ”とのショット 上目遣いの愛犬デコピンも…… 「びっくりした!!」「嬉しすぎる」
-
ハローマックのガチャに挑戦! →“とんでもない偏り”に同情の声 「かわいそう」「人の心とかないんか」
-
古着屋で“インパクト大”なブランケットをリメイクすると…… 劇的な仕上がりに386万再生「これはいいね、欲しい!」【海外】
- パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
- 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
- 「中学生で妊娠」した“14歳の母”、「相手は逃げ腰」妊娠発覚からの経緯を赤裸々告白 母親の“意外な反応”も明かす
- 勇者一行が壊滅、1人残った僧侶の選択は……? 「ドラクエでのピンチ」描くイラストに共感「生還できると脳汁」
- 「笑い止まらん」 海外産アプリで表示された“まさかの日本語”に不意打ち受ける人続出 「何があったんだw」
- パパが好きすぎる元保護子猫、畑仕事中もくっついて離れない姿が「可愛すぎる」と反響 2年以上がたった現在は……飼い主に話を聞いた
- アグネス・チャン、米国の自宅が“度を超えた面積”すぎた……ゴルフ場内に立地&門から徒歩5分の豪邸にスタッフ困惑「入っていいのかな」
- 「理解できない」 大谷翔平と真美子さんの“スキンシップ”に海外驚き 「文化は100%違う」「伝説だわ」
- 「車が憎い」 “科捜研”出演俳優、交通事故で死去 兄が悲痛のコメント「忘れないでください」
- PCで「Windowsキー+左右矢印キー」を押すと? アッと驚く隠れた便利機能に「スゲー便利」「知らなかった」
- 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
- 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
- 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
- アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
- 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
- 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
- ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
- 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」