かぐやと御行に体育倉庫イベントが発生したようです 「かぐや様は告らせたい?」8話、キスはおとぎ話じゃない (1/2)
ラブコメに欠かせないのが吊り橋効果イベント。
恋愛は告白した方が負け! 「かぐや様は告らせたい?〜天才たちの恋愛頭脳戦〜」(原作/アニメ)は、相手から自分に告白させるためにあらゆる知力体力を用いて戦うエリートたちを描いたラブコメディーの第二シーズン。とってもいとしくてとっても面倒くさい少年少女の、青春の無駄遣い物語。距離はどんどん近づきます。
今回はラブコメ特化な展開多め。恋愛ものなら欠かせない良い意味でベタなシチュエーションも、「かぐや様」ワールドだとはっちゃけ度合いがおかしなことになるから楽しい。みんな真剣なんですが迷走は止まらず。
無駄なことこそが、大切な思い出
財閥の令嬢にして生徒会副会長、四宮(しのみや)かぐや。努力家の生徒会会長、白銀御行(しろがね・みゆき)。2人は自らの意地とプライドにかけて、自分からは告白しない、相手に告白させる、と心に決めて戦い続けている間柄。
新生徒会が本格的に始動。新入りの会計監査・伊井野ミコは正義感が強すぎる女の子。なのでやはり生徒会室でもぷりぷり怒りっぱなし。そこで藤原書記が1つ提案をします。
藤原書記「優しさを学ぶ為に これから1時間何があっても怒っちゃ駄目ですよ!」
伊井野は(よりによって)藤原書記のことだけは尊敬しているので、話をちゃんと聞きます。藤原書記もいいこと言っているように見えますが、単に後輩をおもちゃにして遊べるのが楽しい、というのが実際のところの様子。
生徒会のメンバーには、伊井野のみならず何かしら抑圧されている人間もいます。例えばかぐやは箱入り娘すぎるため世間知らずなところが多く友達も少ない。石上は何かしらの過去があって同級生から弾かれものになっている。そして伊井野は「正しさ」を追求するあまり、人の気持ちをくむことや自分の気持ちを解放することをまだあまり知らない子です。
このような枷を外してくれるのが、イレギュラー性が高い藤原書記の存在。とんちきな子ではありますが、かぐやが彼女を信頼している理由を考えれば、今回の行動も分かる部分が多々あると思います。
藤原書記が提案したものの一つが、友達とデコった写真を撮影してアップしよう、というもの。ブタやら犬やらたぬきやら、女子3人で写真のデコデコ遊び。本来の校則ではスマホ・携帯電話の勉強以外の使用は禁止されているのでNG。でも今回は「校則を破る側の気持ちを理解する」のがテーマ。人の気持ちが分かれば、規則に対する向き合い方への理解も深まるはず。ってことであってますよね、藤原書記?
なぜ一緒に写真を撮るのか。なぜデコったり変顔したりするのか。そこに理由を求めるのはナンセンス。写真そのものの出来よりも「一緒に楽しく時間を過ごした」という事実が重要です。今までかぐやと伊井野は「友人と過ごす無意味な時間の価値」を知らずにいました。もちろん有意義な時間の使い方をするのは極めて「正しい」。でも「正しくない」ことをすることで満たされていく部分、人間にはたくさんあります。
特に伊井野は自分の知らなかった仲間と時間を共有する喜びを、ほぼ初めて経験しました。だから渋々撮ったはずの写真に楽しさを見いだし、ほしがります。データの中に楽しかった時間そのものが刻まれていることを、伊井野はここで心から理解します。以降原作では生徒会メンツの中で、写真が思い出を育む重要な鍵になります。
私たちの恋はおとぎ話ではない
かぐやと御行、2人が遭遇したのは体育倉庫イベント。この作品では「男女が狭い密室に閉じ込められる状況」と定義しています。現実にあったら新聞に載りかねない大事故なのですが、ラブコメなら必須イベント。ギャルゲーだったら一枚絵確定。そして誰かが開けていろいろ未遂で終わるとこまでワンセット。
「体育倉庫」という学校にしかない空間であること、キャラクターたちの体育着を存分に堪能できること、2人きりで外界から切り離されること、協力が重要であること、不安による吊り橋効果、相手だけを考えることによる意識の変化、とおいしいところだらけな人気イベントです。
「かぐや様」ではそのイベントを、メタ的に御行とかぐやが解釈。御行「体育倉庫に閉じ込められるなんて状況あるワケねーだろ!!」などと考えた上で、お互いが仕掛けをしているのではないかと思考し、恋愛頭脳戦スタート。焦るふりをして相手が動くのを待ち構えます。
かぐや「会長……私たち助からないんじゃ……」 御行「大丈夫だ 俺がついている」超絶ベタベタな展開。2人は相手の隙をつくため策略に乗る演技をしているだけ。
しかし2人が斜に構えているのは、ここからなにか発展する可能性を現実的に考えていなかったからでもあります。ワナにかけようとするなんておかわいいこと、でもそのつもりはまずないですよね、みたいな思い込みです。
「キスがおとぎ話の中だけのものではない」と2人が悟ったのは、2人が高跳びマットに倒れ込み、その距離数センチになってようやくのこと。シチュエーションによるワクワク高揚感はあるものの、愛を交わす行為としてのキスの現実味が頭にない。お互いをおとしいれることばかり考えていたがゆえの、ドキドキを飛び越えたショックです。
この作品は2人の恋愛をじっくり育んでいるので、早くくっつけというじれったさも確かにありますが、どちらかというと丁寧に今の関係が成長しているところに魅力があります。そもそも「人と比べて焦らなくていい」「自分の心を丁寧に見つめる」など、恋愛面では変に無理しなくてもいい、という思想で支えられている作品でもあります(特に学校祭以降)。
今回2人は「キスは幻想ではない」という認識をしました。ここで「キスしたか未遂か」はさほど重要ではありません。いざ現実を目の前にしたことで、御行とかぐやのコミュニケーション感覚が変化するきっかけが起きたこと自体が重要です。気付きを得たことで、御行とかぐやは今後本当に大切なキスのため真剣に向き合うようになっていくはず。意識が変わったからこそ、焦らず一歩ずつ慎重に。
恋の病
かぐや「突然心臓が激しく鳴り出し 時折死んでしまうのではないかと思うほど胸が痛くなって……やはり何かの病なのでしょうか……」
かぐやの体調が急変。胸を痛めて倒れてしまい生徒会メンツも大慌て。大変な病なのでは、と急いで病院に行って検査したところ、医者はこう診断しました。
恋の病ですって。これはお医者様でも草津の湯でも治せないね。「医者に恋の病といわれる」イベントは、体育倉庫イベント同様いかにもありそうで絶対ないベタラブコメ展開のメタパロディー感があります。着いてきたのは近侍の早坂だけですが、かぐやの恋心を理解している彼女はもう恥ずかしくてやってらんない。かぐや「絶対心臓の病気です! 今までの人生でここまで胸が苦しくなったのは初めてなんです!!」「私は会長の事死ぬ程大好きって事になるじゃない!」とか騒ぎ出すもんだから、見ちゃいられない。黙っていてほしい。
キス寸前まで行ったことで、性的接触は現実的なもので自分と無関係なものではない、と気付いたのが大きな原因。かぐやはいかんせん今まで性的知識ゼロだった子、刺激に身体が耐えられなかったようです。
一つ一つアホなコメディーにしながら、恋愛のステップアップをきちんと描いているのがこの作品の味。今回の精神的パンクは、これからの心身の成長を育む欠かせない一歩。それを支えてくれる早坂のような子がいるのを忘れてはいけない。ありがとう早坂。ピュアすぎる少年少女の恋愛を数歩下がって冷静に見ることができる、とてもいい立ち位置のキャラです。
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