学校の新型コロナ対策は「アリバイ作り」「感染者が出てもしょうがない」 現役中学教員に聞く“Withコロナの学校運営のリアル”(1/2 ページ)
「学校内ではハッキリと『これは“見せる”ための対策』『パフォーマンス』だと言われてる」。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止に努めながらも、運営再開の動きを見せている学校現場。通常のペースを取り戻しつつある公立中学校ではどんなことが起こっているのでしょうか。今回は現役教員として働くAさん(匿名)に「Withコロナの学校運営のリアル」について伺いました。
「アリバイ作り」のための新型コロナ対策
―― 新型コロナの影響で長期休校などのイレギュラーな対応が続いていたわけだけど、今はどんな感じ?
俺が働いている学校は再開して約1カ月くらい。もうフルに動いてるよ。分散登校ではなくて生徒全員が毎日登校してくるし、部活もやってる。近いうちに、他校との試合も解禁される流れだね。
―― 新型コロナ対策はどう?
やってはいる。でも、意味がないことをやっていると思う。
例えば、うちの学校で行われている対策の1つに“「密」を避けるために教室内の机の間隔を開ける”というのがあるんだけど、以前のインタビューでも話した通り、1クラスの生徒全員が登校してしまうと十分な距離が確保できない。教室の広さ的に、分散登校にして集まる生徒数を減らさないとムリなんだ。
それに、生徒たちは学校にいる間中、ずーっと自分の席に着いているわけではないからね。休み時間になったら他の生徒たちと普通におしゃべりしてるよ。正直なところ、ソーシャルディスタンスは保ててない。
―― とはいえ、一日の大半を過ごす教室で「友達と話してはいけません」と求めるのも現実的ではないだろうしねえ。
それから、“生徒たちが帰ってから教室内の机やイス、取っ手などを次亜塩素酸水で消毒する”という対策もやってるんだけど、やり方がマズい。霧吹きでシュッシュして拭き取るだけなんだよ。
このあいだ、厚労省などが情報を出したんだけど、新型コロナ対策のためには机の上がヒタヒタになるくらい濡らさないとダメらしいんだよね(※)。
※詳細は「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について(厚生労働省・経済産業省・消費者庁特設ページ)」などからご確認ください
―― あ、本当だ。わざわざ「アルコールのように少量をかけるだけでは効きません」と書かれている資料もあるね。
まあ、こんな話が他にもあって、政府や専門家が「新型コロナ対策はこういう風にしてください」と言ってるようなことはできてないのが現状。学校内ではハッキリと「これは“見せる”ための対策」「パフォーマンス」だと言われてる。
要は、もしも校内で感染が広まってしまって、「どんな対策をしていたんですか?」と聞かれたときのアリバイ作り。「机の間隔を空けてました」「教室内を消毒してました」と答えられるようにしてるだけなんだよね。
―― 「わが校では新型コロナ対策を行っています(推奨されたやり方とは言っていない)」みたいな感じか。
これは、うちの学校に限ったことではないよ。他校も不十分な対策しかできていなくて、もう「感染者が出てもしょうがない」的な雰囲気になってる。
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