「パパラピーズ」の「大学を貸し切って2人で隠れ鬼ごっこやってみたwww」動画が物議→削除に 「YouTuberはマスクせずに入構しても良いんだなって」などの声
映画「ぐらんぶる」の宣伝として制作された動画でした。
チャンネル登録者数118万人を誇る人気YouTuber「パパラピーズ」が入構制限中の大学で撮影した“鬼ごっこ動画”が物議を醸し、削除されました。同動画は映画「ぐらんぶる」(2020年8月7日公開)の宣伝のために制作されたもので、撮影場所となった清泉女子大学は「本学のイメージを損なわない」という判断で、使用許可を出していました。
削除されたのは、7月24日に投稿された「大学を貸し切って2人で隠れ鬼ごっこやってみたwww」というタイトルの動画。パパラピーズのタナカガさんを、鬼役のじんじんさんがお酒を持って追いかける――という内容で、清泉女子大学・品川キャンパスで撮影されました。
しかし同大学では現在、「COVID-19(新型コロナウイルス感染症)」の影響でリモート授業が中心となっており、入構制限が行われているなどの状況が続いていることから、「こっちは学費払って入れない状態が続いてるのに…」と学生や保護者などからは不満の声や不快感を示す声が多数上がりました。
7月25日には、清泉女子大学が「本学で撮影された動画公開について」という声明を発表。「ご心配・ご迷惑をおかけしておりますことを深くお詫び申し上げます」と陳謝したうえで、「現在、動画の撮影や公開についての経緯や、事実関係の確認作業を行っております」と報告しました。
こうした状況を受け、パパラピーズは公式Twitterで「昨日の動画削除しました。見てくれてた視聴者の方すみません。今後は皆が楽しめる動画を投稿していきます」と26日に発信し、同動画を削除しました。
またじんじんさんは自身のTwitterで「昨日の動画の件ですが、この状況下で学校へ通えない学生さんやご家族の方々に不快な思いをさせてしまい申し訳ありませんでした。撮影は関係者の皆様の許可の元行いましたが視聴者の方々を嫌な気持ちにさせてしまいました。今後皆様に楽しんでもらえる動画はどんなものか真剣に考え動画制作を行います」とツイート。
タナカガさんは「昨日の動画の件ですが、関係各所の許可の元撮影させて頂きましたがこの状況の中、学校に通いたくても通えない学生の皆様などに不快な思いをさせてしまい申し訳ございませんでした。今後の動画作成にあたり、見てくださる方や、応援して下さる方のお気持ちに配慮した動画作りを心がけたいと思います」としました。
しかし削除謝罪後も「YouTuberはマスクせずに入構しても良いんだなって」と撮影スタイルに言及する声や在学生と名乗るアカウントからは「うちの学生は構内を走ることはおろか、酒瓶を持って追いかけるなんてことは絶対にありません。たとえ演出だとしても、下品極まりないです。大学と学生の品位を落とされたと感じています」などの声が上がっており、物議をかもす状態が続いています。
パパラピーズ所属事務所の見解
7月26日には、パパラピーズの所属事務所「GROVE」が、「パパラピーズのYouTube投稿動画に関する対応とお詫び」との声明を発表し、動画削除に至った経緯について詳細を明かしました。
今回の動画は前述の通りPR動画であったと言い、「その過程において、弊社及びパパラピーズは、大学関係者様に予め企画内容等をご確認いただき、撮影に必要なご許可及びご同意を頂いた上で動画制作を進行させていただきました」と説明。
撮影については「クライアント様・広告代理店様には常時お立ち会い頂き、大学関係者様も常時ではないものの撮影工程の半分程度にはお立会い頂いておりました」としつつ、「新型コロナウィルスの影響により通学できない在学生の皆様をはじめとした動画に対する多くのご意見・ご指摘を真摯に受け止め、本日7月26日をもって本動画の公開を取りやめました」と削除理由を明かしました。
また「新型コロナウィルスの影響により通学できない在学生の皆様をはじめとした動画に対する多くのご意見・ご指摘を真摯に受け止め、本日7月26日をもって本動画の公開を取りやめました」と改めて謝罪した一方、「今回題材にさせていただいた作品やパパラピーズには一切の責任はございませんので、今後とも変わらぬ応援の程、どうぞ宜しくお願いいたします」と締めくくりました。
清泉女子大学の見解
清泉女子大学側も同日付で、「本学キャンパスで撮影された動画に関する経緯説明とお詫び」との声明を学長名義で発表しました。
冒頭ではまず動画の公開以降、複数の在学生・保護者・卒業生からメールでの問い合わせが届いており、SNS上での批判の声が上がっていることを把握していると同大学。その多くが「動画の内容やキャンパス使用許可についての違和感、疑義を示すもの」だったと言います。具体的には、「どうして使用許可を出したのか」「その理由や経緯を知りたい」「いつ撮影されたものか」「大学の授業がオンライン体制で行われ、自分たち学生がキャンパスに入れず辛い思いをしているのに、大学が部外者にキャンパス使用を許すのはおかしいのではないか」といったものが多かったようです。
清泉女子大学は、重要文化財に指定されている「旧島津家本邸」を所有していることから、普段から映画・テレビ・雑誌などの撮影に使いたいという要望が多数寄せられていると言い、基本的には、設備・施設を損なわないのはもちろんのこと「本学のイメージを損なわない」「教育研究や業務に支障がない」等の規定に基づいて審査し、許可を出しているのだそうです。
今回の動画についても、代理店から7月2日に利用申し込みがあり、企画書を審査。「教育研究や業務に支障がない」「大きな機器を持ち込むことはなく設備・施設を損なわない」、提出された企画内容から「本学のイメージを損なわない」という判断で使用許可を出したとのこと。また撮影に関しては、関係者が総勢10人と比較的小人数であり、撮影時間も3時間程度ということから、「安全上も問題ないであろう」と判断され、最終的には7月13日に学内で撮影が行われました。
動画は掲載前に大学側がチェックする手はずでしたが、代理店の連絡不備により、結局事前確認を行うことはできず、24日に掲載。内容についても「想定に反して、本学の大切にしている『建学の理念』やイメージに沿ったものと言えないものでした」と同大学。「結果として、母校への皆様の不信や怒りを招き、著しい御迷惑をお掛けすることになってしまいました。清泉女子大学を愛するすべての皆様に、申し訳ない思いで一杯です。学長として、今回の事態を防げなかった責任を痛感しております」と改めて陳謝しました。
一連の状況について同大学が行った調査によると、原因は「企画書の内容が曖昧なままだったにも拘らず設備使用を許可した判断の甘さやチェックの不十分さ」「代理店との連絡不足等」が挙げられると言い、25日には代理店に対して動画の削除を要請。代理店からは関係者との調整の上、動画を削除する方針であるとの返答があったとのことです。
今後について同大学は「現在以上に設備使用の審査とそのチェック体制を厳密にし、撮影現場での立ち会い確認を念入りにするなど、再発防止策を講じて参ります」としています。
こうした状況の中、映画「ぐらんぶる」の公式Twitterには、いまだ同鬼ごっこ動画を宣伝するツイートが残っており、批判のコメントが寄せられています。
(Kikka)
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