ニュース
» 2020年08月05日 20時30分 公開

ファミコンなのにヌルヌル回転縮小、とある自作ゲームに「意味わからない」「すげぇ」と称賛の声

「古いハードは触っていて楽しい」との思いからファミコンで作ったそうです。

[たちこぎライダーねとらぼ]
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 初代ファミコン向けに開発中の、とある自作レースゲームがTwitterで「意味わからない」「すげぇ」と注目されています。ファミコンなのに、スーパーファミコンのようにコースがぐりぐりと回転したり、タイトルロゴが縮小しながら現れたり……さらには女の子が滑らかに動くアニメシーンもあり、本来はできないはずの演出がてんこ盛り。一体どうやって実現しているのか、作者の小さな音(@ls_create)さんに聞きました。



 以前からアニメやゲームを自主制作していたという小さな音さん。今回話題になっているファミコン用ゲーム「エフシータ」は、音楽を友人に依頼した以外は1人で開発を進めているといいます。アニメーションが入り、実際にレースができる今の段階まで3カ月弱で仕上げ、現在、完成度は70%とのこと。

 もともとは自主制作アニメ「うたかたシノプシス;」のアドベンチャーゲームをファミコン向けに作っており、こちらは既に9割方完成。しかしスケジュールの都合上、曲の納品だけ少し先になることが判明し、そこで「少し路線の違うテクニカル路線のゲームを作ろう」と思ったのが「エフシータ」開発のきっかけだったそうです。ゲーム制作の息抜き(?)に別のゲームを作り始める……どこまで好きなんだ。




 ところで、ファミコンでは難しい(というかほぼ不可能)なはずの「回転・縮小」をどうやって実現しているのでしょうかか? 小さな音さんに聞いたところ、ポイントは「カンペ」にあるといいます。「画像を回転をさせるには三角関数が必要ですが、ファミコンは足し算と引き算しかできません。そこで画像を256段階に回転させる三角関数の計算結果を『カンペ』として持たせています」。

 つまり、その場で計算する力がないので、計算の結果だけを用意しておいて、それを呼び出しているのだそうです。ただ「ファミコンだとその『カンペ』を探す処理すら厳しかったりします」と小さな音さん。そのため、地道にムダな処理を削ぎ落とすなどして、ようやく現在の描画速度を実現しているとのことでした。


エフシータ 小さな音さんの動画より

 また、女の子の滑らかなアニメーションについては「技術的には大したことはしていません」と小さな音さん。説明によると、このドット絵アニメは全てBGパターン(背景用タイル)の組み合わせで描かれているとのこと。

 ファミコンはもともと「4色使える8×8ドットのBGパターン」を256個持つことができます。小さな音さんはこのタイルをさらに4分割して「2×2の粗いドット」として利用。256個のBGパターンを全て使い、四隅×4色の組み合わせをあらかじめ用意しておくことで、この「BGパターンを使ったドット絵」を実現しているそうです。

 ただ、これは単純にデータ容量を食ってしまうため、「多分昔だと、こんなのに容量を使うなと怒られたと思います」とのこと。

 また、回転やアニメーション以外で、特にゲーム関係者の間で注目を集めていたのが、動画50秒ごろから見られる「半透明っぽい処理」。画面が暗くなり、自分の車の前だけライトで道が明るくなっていますが、これも本来はファミコンでは難しい処理の1つです。小さな音さんによると、「これは一般向けにはなかなか説明が難しい」そうです。


エフシータ 小さな音@自主制作アニメDVD販売中さんの動画より

 小さな音さんから聞いた内容をざっくりまとめると、最終的にやっていることは意外とシンプルで、単にライトが当たっている部分だけパレット(割り当てられた色)の色を変え、半透明っぽく見せているのだそう。ただ、これは「エフシータ」がコース部分を前述した「BGパターン」の書き換えで描画しているからできることで、普通のファミコンのゲームのスクロール方法では「背景の特定の場所だけパレットを変える」というのはまず不可能。主にゲーム関係者が驚いていたのもそのためで、実は同作の仕様を逆手にとった、かなりテクニカルな演出だったのでした。

 小さな音さんによると、この「エフシータ」は年内に完成させ、ファミコン実機で本当に動くカセットとして販売する予定だとか。

 「見た目が目立つゲームですが、内容も多少は考えていまして、遊びやすいレースゲームを目指しています。ちょっと動いているところを見てやろうか、と思って触ったら、思わずやりこんでしまった……みたいなのになればなぁと思っています」とのこと。遊んでみたい!


※価格は記事掲載時点のものとなっています



Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2312/02/news048.jpg 「明らかに写真と違う」 東京クリスマスマーケットのフードメニューが物議…… 購入者は落胆「悲しかった」
  2. /nl/articles/2312/01/news138.jpg 伊藤沙莉、“激痩せ報道”の真相暴露→広瀬アリスの株が上がってしまう 「辱めったらない」告白に「アリスちゃん、ええ人や〜」
  3. /nl/articles/2312/01/news012.jpg 娘が子猫を保護→ある日おなかが異様にふくらみ、病院へ連れて行くと? 「貴重な経験」となった診察結果に驚き
  4. /nl/articles/2312/02/news060.jpg 庄司智春、“夫婦格差”を表す1枚の写真に共感続々 「あるだけマシですよ!」と哀愁漂う反響も
  5. /nl/articles/2309/23/news080.jpg 「ボッタクリにも限度ある」 FFイベントで売店の“焼きそば”めぐり騒動 運営謝罪「スタッフが半ばパニックに」
  6. /nl/articles/2312/01/news121.jpg “鬼ダイエット”で激やせの「Perfume」あ〜ちゃん、念願の姿に「着れる日が来るなんて」と大喜び
  7. /nl/articles/2312/02/news003.jpg ちいかわデザインのおくすり手帳を開いたら……? “まさかの中身”に衝撃走る「絶対に笑ってはいけない」
  8. /nl/articles/2208/06/news075.jpg 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  9. /nl/articles/2312/02/news061.jpg 「ちょっと緊張してるパパ」ギャル曽根、夫が第3子を抱く“顔出し”ショットが幸せの極み 「素敵な写真」「ちっちゃーい」
  10. /nl/articles/2311/30/news047.jpg 「あなたは日本人?」突然送られてきた不審なLINE、“まさかの撃退方法”に反響 「センス良い」「返しが秀逸」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 大好物のエビを見せたらイカが豹変! 姿を変えて興奮する姿に「怖い」「ポケモンかと思った」
  2. 「3カ月で1億円」の加藤紗里、オーナー務める銀座クラブの開店をお祝い “大蛇タトゥー”&金髪での着物姿に「極妻感が否めない」
  3. 愛犬と外出中「飼いきれなくなったのがいて、それと同じ犬なんだ。タダで持ってきなよ」と言われ…… 飼育放棄された超大型犬の保護に「涙止まりません」
  4. ミキ亜生、駅で出会った“謎のおばさん”に恐怖「めっちゃ見てくる」 意外な正体にツッコミ殺到「おばさん呼びすんな」「マダム感ww」
  5. 永野芽郁、初マイバイクで憧れ続けたハーレーをゲット 「みんな見ろ私を!」とテンション全開で聖地ツーリング
  6. 道路脇のパイプ穴をのぞいたら大量の…… 思わず笑ってしまう驚きの出会いに「集合住宅ですね」の声
  7. 柴犬が先生に抱っこしてほしくて見せた“奥の手”に爆笑&もん絶! キュンキュンするアピールに「あざとすぎて笑っちゃった」
  8. 病名不明で入院の渡邊渚アナ、1カ月ぶりの“生存報告”で「私の26年はいくらになる?」 入院直後の直筆日記は荒い字で「手の力も入らない」
  9. 小泉純一郎元首相、進次郎&滝クリの第2子“孫抱っこ”でデレデレ笑顔 幸せじいじ姿に「顔が優しすぎ」「お孫さんにメロメロ」
  10. デヴィ夫人、16歳愛孫・キランさんが仏社交界デビュー 母抜かした凛々しい高身長姿に「大人っぽくなりました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「酷すぎる」「不快」 SMAPを連想させるジャンバリ.TVのCMに賛否両論
  2. 会話できる子猫に飼い主が「飲み会行っていい?」と聞くと…… まさかの返しに大反響「ぜったい人間語分かってる」
  3. 実は2台持ち! 伊藤かずえ、シーマじゃない“もう一台の愛車”に驚きの声「知りませんでした」 1年点検時に本人「全然違う光景」
  4. 大好物のエビを見せたらイカが豹変! 姿を変えて興奮する姿に「怖い」「ポケモンかと思った」
  5. 渋谷駅「どん兵衛」専門店が閉店 店内で見つかった書き置きに「店側の本音が漏れている」とTwitter民なごむ
  6. 西城秀樹さんの20歳長男、「デビュー直前」ショットが注目の的 “めちゃくちゃカッコいい”声と姿が「お父さんの若い頃そっくり」「秀樹が喋ってるみたい」
  7. “危険なもの”が体に巻き付いた野良猫、保護を試みると……? 思わずため息が出る結末に「助けようとしてくれてありがとう」【米】
  8. 「やばい電車で見てしまった」「おなか痛い、爆笑です」 カメがまさかの乗り物で猫を追いかける姿が予想外の面白さ
  9. おつまみの貝ひもを食べてたら…… まさかのお宝発見に「良いことありそう」「すごーい!」の声
  10. 「3カ月で1億円」の加藤紗里、オーナー務める銀座クラブの開店をお祝い “大蛇タトゥー”&金髪での着物姿に「極妻感が否めない」