ベルリン国際映画祭が男優賞と女優賞を廃止、性別のない賞へ 映画業界の「ジェンダーへの配慮を意識するきざしに」
次回のベルリン国際映画祭は2021年2月に開催されることが決まっています。
ベルリン国際映画祭は8月24日(現地時間)、俳優に与えられる賞において男優賞/女優賞といったジェンダーの区別をなくすと発表しました。
声明では、「コロナパンデミックの時代、文化の領域ではアナログ体験の場が依然として必要であると明らかになった」とし、2021年2月の第71回ベルリン国際映画祭開催も発表。これが同映画祭の「賞から性別をなくす」最初の場となる予定です。
なお、前回最後の女優賞を獲得したのはドイツのパウラ・ベーア、男優賞はイタリアのエリオ・ジェルマーノ。日本人では、1963年に左幸子さん、1975年に田中絹代さん、2010年に寺島しのぶさん、2014年に黒木華さんがそれぞれ女優賞を受賞しています。
同じ試みはすでにMTVムービー・アワードやTCA賞(米テレビ評論家協会賞)、カンヌの国際ドラマ祭であるCanneSeries(2つ目の“e”はアクサンテギュ付き)でも行われていますが、世界3大映画祭に数えられるベルリン国際映画祭のように大きな映画の祭典では初といえます。
今後は男優賞/女優賞の代わりに「最優秀主演賞」と「最優秀助演賞」を新たに設置。「金熊賞(プロデューサーに贈られる)」「審査員グランプリ」「監督賞」「審査員賞」「脚本賞」「芸術貢献賞」と合わせ8つの賞となるもようです。
また、同映画祭の初代ディレクターであるアルフレッド・バウアーは報道によりナチス政権との関わりが明らかになったため、アルフレッド・バウアー賞は2020年に中止。今後誰にも贈られないとされています。
今回の発表についてネット上では、「大胆で美しい決断」とたたえる声があがる一方、「国際的な研究でも示されるように、主要な役の3分の2が男性に向けて書かれているならば女性は賞を獲得する確率が低くなってしまう」など、評価される俳優の数が減ることや、映画製作の時点で男女平等が成立していないならむしろ女性に不利に働くことを心配する声も見られました。
同映画祭のディレクターであるマリエッテ・リッセンベークとカルロ・シャトリアンは声明の中で、「賞を性別で分けないことは、映画業界において、よりジェンダーへの配慮を意識するきざしになると信じている」と決断の意図を主張しています。
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