「ひぐらしのなく頃に命」ガチャゲーとなった「ひぐらし」完全新作はファンの期待に応えられるか:モバクソ畑でつかまえて
モバクソゲーサークル「それいゆ」発起人、怪しい隣人さんによるスマホゲームコラム。今回はスマホゲーとして登場した「ひぐらしのなく頃に命」を取り上げます。
去る9月3日、新作スマホゲーム「ひぐらしのなく頃に命(以下、ひぐらし命)」がリリースされました。
この10月にアニメ化を控えた宣伝の一環だとは思うのですが、そもそも「なぜ今更ひぐらし」と思われる方も多いのではないかと思います。第1作のリリースが2002年、完結が2006年。○周年というにも半端な時期なのですが、アニメ化も含めて実は定期的に「ひぐらしのなく頃に」はリリースされています。2007年にPS2版、2008年〜2010年にDS版、この2つをまとめて+αしたPS3&Vita版が2015年、PS4版が2018年、Switch版が2019年と近々まで定期的にリリースされているのです。とはいえあくまでもこれまでは旧作のリメークだったのですが、「ひぐらし命」は完全新作ということになっています。
ライター:怪しい隣人
出来の良くないソーシャルゲームを勝手に「モバクソゲー」と名付けて収集、記録、紹介しています。モバクソ死亡リストは500件を超えました。年々ソーシャルゲームが複雑になり、ダメさを判定するのに時間がかかるのが最近の悩みです。本業はインフラエンジニア。そのためソーシャルゲームの臨時メンテは祭り半分胃痛半分な気分です。
と、ここまで来て「往年の名作を新作スマホゲーで」といわれて渋い顔になっている方も多いかと思います。前回のモバクソ畑(関連記事)でもその失敗例的なものを取り上げさせていただきました。
ですが、サービス開始当日は大盛況。サーバが落ちてはメンテナンスを繰り返すという、近年のスマホゲーには珍しい状態になりました。「いかに初動のユーザーラッシュをさばくか」というのはスマホゲーム運営のお約束みたいなところがあり、運営側のノウハウが蓄積されてきた最近ではこんな大惨事は珍しいことです。3日の午後から夜まで数回は繰り返されたサービスダウンとメンテナンス、サーバ増強の結果、なんと運営から「悪意ある第三者からの攻撃を受けている」との告知が発されました。
ですが、プレイヤーも「ひぐらし」を遊ぼうとしているような面々です。公式のこの告知に「これはスタッフが雛見沢症候群に罹患(りかん)しているのではないか?」と反応を始めてしまいました。
原作未見でアニメをこれから見ようという方もいらっしゃるので詳しくは説明いたしませんが「極度の疑心暗鬼や人間不信および妄想・異常行動」にかられるようになる病気が「ひぐらし」の世界には存在し、それが物語の重要な要素となっています。これが「ささいな不安や悩みを増幅する」という病気なため、突然「悪意ある攻撃が」と言い出したスタッフは何か悪い妄想に取りつかれているのでは? と思ってしまったプレイヤーが出てしまうのも無理からぬこと。結果的にそれから数度のメンテナンスを経て「悪意ある攻撃」は回避できたようなのですが、本当に悪意ある攻撃だったのか、それともスタッフがそう思い込んでいただけなのか。それが分からないところは実にミステリアス、ひぐらしらしい出だしだったなと思いました。
そんな騒ぎが落ち着きようやくプレイできたゲームでしたが、ゲームのシステムは最近では「プリコネ(プリンセスコネクト!)系」といわれるものです。クエストで敵を倒し、クリアしたクエストを何度も周回してアイテムを集め、そのアイテムを使ってキャラクターを育成する、というもの。一定のクエストをクリアすることでシナリオが解放されていくのもプリコネ的です。そもそもこのシステム自体もプリコネ以前に元ネタがあるのですが、もう「プリコネ系」で説明がつくレベルで広まってしまったプリコネをたたえて本記事ではそう呼ぶことにします。
主人公は「ひぐらし」本編の時代に子どもだった少女・公由一穂。ひぐらし本編にも公由家は出てきますが、その孫娘となります。雛見沢大災害に巻き込まれて東京へ避難していた彼女が、10年後に諸事情あって舞い戻ってきた、というところからお話が始まります。その直後に一穂が村に入って突然怪物に追いかけられることになるのは「一体何が?」と思うとともに「これは本当にひぐらしなのだろうか」と思わされるところもあります。
「ひぐらし」は「超常のホラーだと思わせておいて明確な理屈があるミステリであり、かと思いきやその理屈が超常的なものである」という二転三転するところが面白さではあるのですが、さすがに街の中に化け物が出てきて戦うことになるのはどういうことなの……となりました。
一穂は神を自称する田村媛命に救われ、力で怪物たちと戦うことになります。私はひぐらしをPC版でしかプレイしておらず、外伝系のシナリオは読んでいないのですが、このキャラクターも最近の追加シナリオに出てくる存在なのだそうで。
テキストを読んでいく限りは「カード的なものから力を引き出して敵と戦う」のですが、なんでエンジェルモートの制服着たレナを呼び出してイノシシみたいな怪物と戦っているのか、序盤ではよく分かりません。そこも含めて新たな謎が提示されているのかなとも思います。呼び出すキャラクターたちの「カケラを集めて呼び出したり強くしたり」ということらしく「カケラ集め」という単語がこれまた本編にあったため、ここも気になるところです。
シナリオは竜騎士07氏ご本人ではないのですが(※編注:クレジットでは「原案協力」)、先に挙げたPS2版などの移植に関わっておられる叶希一氏。そのため、作品世界の理解という意味では不安はないのかな、と思わされます。そもそも約10年以上ぶりのコンテンツに「ここが違うあそこが違う」などというほどこちらの記憶力も正確ではありません。
ネタバレという意味で「これはいいのだろうか」と思ったのはガチャから排出されるキャラクターたち。ひぐらしプレイ済みの方はご存じかと思われる富竹さん。カメラマンとしては妙にいいガタイが印象的なキャラクターで、そのガタイの理由が後々明らかになるわけですが、そのあたりが思い切りバラされてしまっています。一瞬「えっそれバラしてもいいの!?」となりましたが、考えてみれば答えを提示されていても、間の証明がない状態では全く意味が分かりません。そういう意味では「なぜそうなるのか」の答えを求めて新作アニメを見るのもよいかもしれない、と思いました。ゲーム開始早々に血まみれの鉈を持ったレナもプレゼントされることですし。
そんなわけで、再アニメ化記念にしては結構旧作のネタがふんだんに放り込まれており、そのあたりの引きは悪くないと思う反面、これからアニメを見る人はどうなのだろう、と心配しています。ただ「この作品の過去には一体何があったのか?」という視線でアニメを見るのもありかもしれません。
9月10日から初のイベントが始まっているのですが、相変わらずメンテの延長を行ったりバグの修正をやったりと慣れていなさそうな運営陣。不安を感じるところはあるのですが、今後も頑張っていただきたい次第です。IPもののコンテンツらしくキャラの誕生日をお祝いしてくれるというファンサービスがあったりとそういうところに気遣いを見せてくれるのはうれしいですが、リリース後に最初にやってきたのは富竹ジロウ。もう2週間早くリリースされていれば古手梨花の誕生日がお祝いできたのですが、梨花の誕生日祝が最初というひぐらしスマホゲーもそれはそれでイヤですね……。
関連記事
- モバクソ畑でつかまえて:「ラブプラスEVERY」と「ダンキラ!!!」いずれも短命に終わってしまった2本のKONAMIゲーをしのんで
モバクソゲーサークル「それいゆ」発起人、怪しい隣人さんによるスマホゲームコラム。今回は「ラブプラスEVERY」と「ダンキラ!!!」の2タイトルのサービス終了を振り返ります。 - モバクソ畑でつかまえて:人類滅亡まで残り、あなた一人―― 「まどマギ」虚淵玄を動かした、スマホゲーム「ラストオリジン」のダークな魅力
モバクソゲーサークル「それいゆ」発起人、怪しい隣人さんによるスマホゲームコラム。今回は最近ハマっているという「ラストオリジン」について。【追記あり】 - モバクソ畑でつかまえて:ヒプマイ弱者が「ヒプノシスマイク -Alternative Rap Battle-」を遊んだらヒプマイ沼にハマりかけた話
モバクソゲーサークル「それいゆ」発起人、怪しい隣人さんによるスマホゲームコラム。今回はあの「ヒプノシスマイク」のリズムゲーム「ヒプノシスマイク -Alternative Rap Battle-」を遊んでいます。 - モバクソ畑でつかまえて:「メギド72」オリエンス弱体化は「不具合」か「下方修正」か 運営は「詫び石配布」ではなく何をすべきだったのか
モバクソゲーサークル「それいゆ」発起人、怪しい隣人さんによるスマホゲームコラム。今回は「メギド72」のオリエンス弱体化騒動を振り返ります。 - モバクソ畑でつかまえて:発表から3年、ついにリリースされた「ラブライブ!」アプリ最新作はファンの期待に応えられたか?
ハードルの高さは「熱心なファン」をターゲットにしたからこそ?【※大幅な機能改善が発表されたので追記】 - モバクソ畑でつかまえて:作り手は「暴力表現」とどう向き合うべきか 「メギド72」プロデューサーのメッセージに「フィクションの作り手として誠実」と共感集まる
京アニの放火事件を受け、プロデューサーが公開したメッセージがユーザーの間で話題になりました。 - モバクソ畑でつかまえて:キャラも音楽も良いけど…… 「ダンキラ!!! - Boys, be DANCING!」は音ゲー部分がひたすら虚無
ゲームの部分以外は高評価。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
「情報を漏らされ振り回され……」とモデラー“限界声明” Vtuberのモデル使用権を剥奪 「もう支えられない」「全サポート終了」
-
「うどん屋としてあるまじきミス」→臨時休業 まさかの“残念すぎる理由”に19万いいね 「今日だけパン屋さんになりませんか」
-
“ドームでライブ中”に「76万円の指輪紛失」→2日後まさかの展開に “持ち主”三代目JSBメンバー「誰なのか探しています」
-
高畑充希と結婚の岡田将生、インスタ投稿めぐり“思わぬ議論”に 「わたしも思ってた」「普通に考えて……」
-
「本当に同じ人!?」 幼少期からイボをいじられていた男性→美容師の“お任せカット”が衝撃 「めちゃくちゃ大変身」
-
「おててだったのかぁああああ」「同じ解釈の人いた笑笑」 ピカチュウの顔が“こう見えた”再現イラストに共感続々、464万表示
-
「腹筋崩壊」 ハスキーをシャンプー&パックしたら…… “予想外のハプニング”に「こ〜れは大変だわ」「沼にでも落ちたのかとwww」
-
“歌姫”ののちゃん、6歳現在の姿に驚きの声「あれっ!?」「ビックリしてます!」 2歳で「童謡こどもの歌コンクール」銀賞受賞
-
黄ばみのある68年前のウエディングドレスを修復すると…… 生まれ変わった姿に「泣いた」「受け継ぐ価値のあるドレス」
-
走行中の車から同じ速さで後方へ飛び降りると? 体を張った実験に反響「問題文が現実世界で実行」【海外】
- 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
- ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
- 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
- まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
- 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
- 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
- ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
- 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
- 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
- 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
- フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
- 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
- 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
- ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
- 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
- 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた