「ひぐらしのなく頃に命」ガチャゲーとなった「ひぐらし」完全新作はファンの期待に応えられるかモバクソ畑でつかまえて

モバクソゲーサークル「それいゆ」発起人、怪しい隣人さんによるスマホゲームコラム。今回はスマホゲーとして登場した「ひぐらしのなく頃に命」を取り上げます。

» 2020年09月15日 21時00分 公開
[怪しい隣人ねとらぼ]

 去る9月3日、新作スマホゲームひぐらしのなく頃に命(以下、ひぐらし命)」がリリースされました。

 この10月にアニメ化を控えた宣伝の一環だとは思うのですが、そもそも「なぜ今更ひぐらし」と思われる方も多いのではないかと思います。第1作のリリースが2002年、完結が2006年。○周年というにも半端な時期なのですが、アニメ化も含めて実は定期的に「ひぐらしのなく頃に」はリリースされています。2007年にPS2版、2008年〜2010年にDS版、この2つをまとめて+αしたPS3&Vita版が2015年、PS4版が2018年、Switch版が2019年と近々まで定期的にリリースされているのです。とはいえあくまでもこれまでは旧作のリメークだったのですが、「ひぐらし命」は完全新作ということになっています。


ひぐらし命 「ひぐらしのなく頃に命」タイトル画像


ライター:怪しい隣人

モバクソ畑でつかまえて

出来の良くないソーシャルゲームを勝手に「モバクソゲー」と名付けて収集、記録、紹介しています。モバクソ死亡リストは500件を超えました。年々ソーシャルゲームが複雑になり、ダメさを判定するのに時間がかかるのが最近の悩みです。本業はインフラエンジニア。そのためソーシャルゲームの臨時メンテは祭り半分胃痛半分な気分です。



 と、ここまで来て「往年の名作を新作スマホゲーで」といわれて渋い顔になっている方も多いかと思います。前回のモバクソ畑(関連記事)でもその失敗例的なものを取り上げさせていただきました。

 ですが、サービス開始当日は大盛況。サーバが落ちてはメンテナンスを繰り返すという、近年のスマホゲーには珍しい状態になりました。「いかに初動のユーザーラッシュをさばくか」というのはスマホゲーム運営のお約束みたいなところがあり、運営側のノウハウが蓄積されてきた最近ではこんな大惨事は珍しいことです。3日の午後から夜まで数回は繰り返されたサービスダウンとメンテナンス、サーバ増強の結果、なんと運営から「悪意ある第三者からの攻撃を受けている」との告知が発されました。


ひぐらし命 ゲームに入れないメンテ中お知らせ

ひぐらし命 ゲーム内の臨時メンテ完了お知らせ しつこいぐらい「悪意ある第三者の攻撃」をアピールしています

 ですが、プレイヤーも「ひぐらし」を遊ぼうとしているような面々です。公式のこの告知に「これはスタッフが雛見沢症候群に罹患(りかん)しているのではないか?」と反応を始めてしまいました。

 原作未見でアニメをこれから見ようという方もいらっしゃるので詳しくは説明いたしませんが「極度の疑心暗鬼や人間不信および妄想・異常行動」にかられるようになる病気が「ひぐらし」の世界には存在し、それが物語の重要な要素となっています。これが「ささいな不安や悩みを増幅する」という病気なため、突然「悪意ある攻撃が」と言い出したスタッフは何か悪い妄想に取りつかれているのでは? と思ってしまったプレイヤーが出てしまうのも無理からぬこと。結果的にそれから数度のメンテナンスを経て「悪意ある攻撃」は回避できたようなのですが、本当に悪意ある攻撃だったのか、それともスタッフがそう思い込んでいただけなのか。それが分からないところは実にミステリアス、ひぐらしらしい出だしだったなと思いました。


ひぐらし命 メンテナンス完了告知で埋まるお知らせ欄

 そんな騒ぎが落ち着きようやくプレイできたゲームでしたが、ゲームのシステムは最近では「プリコネ(プリンセスコネクト!)系」といわれるものです。クエストで敵を倒し、クリアしたクエストを何度も周回してアイテムを集め、そのアイテムを使ってキャラクターを育成する、というもの。一定のクエストをクリアすることでシナリオが解放されていくのもプリコネ的です。そもそもこのシステム自体もプリコネ以前に元ネタがあるのですが、もう「プリコネ系」で説明がつくレベルで広まってしまったプリコネをたたえて本記事ではそう呼ぶことにします。


ひぐらし命 どこかで見たような戦闘画面

ひぐらし命 どこかで見たような育成画面

 主人公は「ひぐらし」本編の時代に子どもだった少女・公由一穂。ひぐらし本編にも公由家は出てきますが、その孫娘となります。雛見沢大災害に巻き込まれて東京へ避難していた彼女が、10年後に諸事情あって舞い戻ってきた、というところからお話が始まります。その直後に一穂が村に入って突然怪物に追いかけられることになるのは「一体何が?」と思うとともに「これは本当にひぐらしなのだろうか」と思わされるところもあります。

 「ひぐらし」は「超常のホラーだと思わせておいて明確な理屈があるミステリであり、かと思いきやその理屈が超常的なものである」という二転三転するところが面白さではあるのですが、さすがに街の中に化け物が出てきて戦うことになるのはどういうことなの……となりました。


ひぐらし命 主人公の公由一穂

ひぐらし命 突然現れるイノシシのような怪物

 一穂は神を自称する田村媛命に救われ、力で怪物たちと戦うことになります。私はひぐらしをPC版でしかプレイしておらず、外伝系のシナリオは読んでいないのですが、このキャラクターも最近の追加シナリオに出てくる存在なのだそうで。

 テキストを読んでいく限りは「カード的なものから力を引き出して敵と戦う」のですが、なんでエンジェルモートの制服着たレナを呼び出してイノシシみたいな怪物と戦っているのか、序盤ではよく分かりません。そこも含めて新たな謎が提示されているのかなとも思います。呼び出すキャラクターたちの「カケラを集めて呼び出したり強くしたり」ということらしく「カケラ集め」という単語がこれまた本編にあったため、ここも気になるところです。


ひぐらし命 主人公だけではなくプレイヤーも助けてくれる田村媛命

ひぐらし命 ひぐらし本編で言われる「カケラ」とは違うもののようですが

ひぐらし命 「ひぐらしのなく頃に奉」に登場した田村媛命(公式サイトより)

 シナリオは竜騎士07氏ご本人ではないのですが(※編注:クレジットでは「原案協力」)、先に挙げたPS2版などの移植に関わっておられる叶希一氏。そのため、作品世界の理解という意味では不安はないのかな、と思わされます。そもそも約10年以上ぶりのコンテンツに「ここが違うあそこが違う」などというほどこちらの記憶力も正確ではありません。

 ネタバレという意味で「これはいいのだろうか」と思ったのはガチャから排出されるキャラクターたち。ひぐらしプレイ済みの方はご存じかと思われる富竹さん。カメラマンとしては妙にいいガタイが印象的なキャラクターで、そのガタイの理由が後々明らかになるわけですが、そのあたりが思い切りバラされてしまっています。一瞬「えっそれバラしてもいいの!?」となりましたが、考えてみれば答えを提示されていても、間の証明がない状態では全く意味が分かりません。そういう意味では「なぜそうなるのか」の答えを求めて新作アニメを見るのもよいかもしれない、と思いました。ゲーム開始早々に血まみれの鉈を持ったレナもプレゼントされることですし。


ひぐらし命 配布されるレナ

ひぐらし命 これはネタバレでは? な富竹さん(※クリックでモザイクが外れます)

 そんなわけで、再アニメ化記念にしては結構旧作のネタがふんだんに放り込まれており、そのあたりの引きは悪くないと思う反面、これからアニメを見る人はどうなのだろう、と心配しています。ただ「この作品の過去には一体何があったのか?」という視線でアニメを見るのもありかもしれません。

 9月10日から初のイベントが始まっているのですが、相変わらずメンテの延長を行ったりバグの修正をやったりと慣れていなさそうな運営陣。不安を感じるところはあるのですが、今後も頑張っていただきたい次第です。IPもののコンテンツらしくキャラの誕生日をお祝いしてくれるというファンサービスがあったりとそういうところに気遣いを見せてくれるのはうれしいですが、リリース後に最初にやってきたのは富竹ジロウ。もう2週間早くリリースされていれば古手梨花の誕生日がお祝いできたのですが、梨花の誕生日祝が最初というひぐらしスマホゲーもそれはそれでイヤですね……。


ひぐらし命 誕生日おめでとう富竹さん

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2504/17/news162.jpg 築53年家賃4万円・何てことない団地のドアを開けると…… まさかの空間出現に驚きの声「素敵」「ここまでお洒落に」
  2. /nl/articles/2504/23/news011.jpg ティッシュの空箱に、クリアファイルを貼るだけで→この発想はなかった! 便利でかわいいアイテムに反響
  3. /nl/articles/2504/22/news021.jpg 自販機に“1000円”を入れたら……? 出てきた“とんでもないお釣り”にお口あんぐり「こんなん初めて見た」
  4. /nl/articles/2504/21/news072.jpg 「え、すっご」「天才ww」 ジブリパークを訪れた70歳おばあちゃん→園内で拍手が起こった“まさかの姿”に仰天
  5. /nl/articles/2504/16/news156.jpg クルマを運転していたら→「そんな機能あるんだ」 カーナビの“ある機能”が1400万表示の反響 「すごい」「これが未来の世界」
  6. /nl/articles/2504/23/news113.jpg 「激アツだ」 マクドナルド、次回コラボ相手を“シルエット”でにおわせ…… 高まる期待に360万表示「神すぎる」「待ったなし!」
  7. /nl/articles/2504/23/news047.jpg 新幹線内で「お医者さんはいませんか?」 実際に対応した医師が明かす“当時の心境”とJRからの“贈呈品”が話題
  8. /nl/articles/2504/23/news009.jpg 「コレはすごい」 ワークマンの“1500円スラックス”に反響続出 「お値段以上の価値」「これから活躍しそう」
  9. /nl/articles/2504/22/news019.jpg 「ゼルダの伝説」ファンがジオラマを作って2年後……→「ひっくり返った」「建築しちゃったのかと」 完璧な出来栄えに称賛
  10. /nl/articles/2504/23/news061.jpg 夢だった警察官を泣く泣く辞め、ディズニーキャストに→そして今は…… 予想外の姿に「憧れます」「面白くて最高!」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「成長したらそのうち襲ってくる」と言われたワニ、16年後……→ 280万回再生を突破した驚きの姿に「初めて見た」の声
  2. 【大阪万博】皇后さま、帽子から靴までブルーとピンク 天皇陛下のネクタイと“連日おそろいコーデ”
  3. 飲み終えた“コーヒーかす”→捨てずに石と混ぜると、1カ月後…… 「感動」目からウロコの裏ワザに「やってみよう」
  4. 人里離れた山にカメラを設置→1週間後…… 「なんで?」映っていた“意外すぎる住人”に「笑った」「実在していたのか!」
  5. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  6. 「ウソだ…」「言葉が出ない」 幼少期から絵を描き続けた少年→15年後…… 大人になって描いた絵が100万再生【海外】
  7. 湘南の砂浜に打ちあがった“超危険生物”を飼育したら…… 貴重な姿に「初めて見ました」「かっこいい」と大反響→2年後の現在について話を聞いた
  8. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」話題になった飼い主に聞いた
  9. 万博「ミャクミャク」記念500円硬貨、金融機関での「品切れ」&高額転売相次ぐ…… 5倍以上の金額で出品される事態に
  10. マクドナルド、次回ハッピーセットコラボに「争奪戦すごそう」 品切れや転売の懸念も「1個でいいから欲しい」「たくさん作って」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 【べらぼう】“問題のシーン”、「子供に見せられない」 身体張った27歳俳優へ「演技やばくない?」
  2. 「恩師ビックリするやろなぁ」 中学3年で付き合い始めた“同級生カップル”が10年後…… まさかの現在に反響
  3. 「本当に迷惑」 宅急便の「不在連絡票」と酷似のチラシが物議…… ヤマト運輸「配布中止申し入れ」
  4. 「うそでしょ!?」 東京ディズニーランド、“老舗”レストランの閉店を発表 「とうとう来てしまったか」「いやだああああ」と悲しみの声
  5. 雑草ボーボーの運動場に“180羽のニワトリ”を放ったら…… 次の日、まさかの光景に「感動しました」「すごい食欲」
  6. 40歳・女性YouTuber「18年間、脇毛を処理していない」→“処理しない理由”語る 「脇のみならず……」
  7. コメダ珈琲店で朝、ミックスサンドとコーヒーを頼んだら…… “とんでもない事態”に爆笑「恐るべし」「コントみたい」
  8. 息子の小学校卒業で腕を組んだ34歳母→中学校で反抗期を迎えて…… 6年後の姿に反響 「本当に素敵!」「お母さん、変わってない!?」
  9. Koki,、豪邸すぎる“木村家の一室”がウソみたいな広さ! 共演者も間違えてしまうほどの空間にスタジオビックリ「コレ自宅!?」「ちょっと見せて」
  10. 使わない靴下をザクザク切って組み合わせると…… 目からウロコの再利用法が2500万再生「とてもクリエイティブ」【海外】