「ラブプラスEVERY」と「ダンキラ!!!」いずれも短命に終わってしまった2本のKONAMIゲーをしのんで:モバクソ畑でつかまえて
モバクソゲーサークル「それいゆ」発起人、怪しい隣人さんによるスマホゲームコラム。今回は「ラブプラスEVERY」と「ダンキラ!!!」の2タイトルのサービス終了を振り返ります。
2020年8月5日。「ラブプラスEVERY」「ダンキラ!!!」と2つのゲームが同時にサービス終了しました。前者は1年足らず、後者は1年ちょっとの寿命でした。
「ダンキラ!!!」は1周年1日前にサービス終了を発表するという、誕生日祝いを準備していたら医者に呼び出されて余命あとわずかといわれるようなむごい発表形式が印象に残っています。「ラブプラスEVERY」はそんなことはなかったのかというと、サービス終了発表直後にウェディングガチャが始まり、こちらはこちらで「余命1カ月の花嫁」もかくやという悲壮感が漂いました。
不幸中の幸いといいましょうか、どちらもバージョンアップを行えばオフライン版としてプレイを続けることが可能です。ただし「ラブプラスEVERY」のほうは「カノジョプラスLite」として一部の機能が残るのみとなっています。2本ともKONAMIのゲームであり、特に「ラブプラスEVERY」は過去に一世を風靡(ふうび)したゲームのスマホ版。それぞれがなぜこのようなことになってしまったのでしょうか。
ライター:怪しい隣人
出来の良くないソーシャルゲームを勝手に「モバクソゲー」と名付けて収集、記録、紹介しています。モバクソ死亡リストは500件を超えました。年々ソーシャルゲームが複雑になり、ダメさを判定するのに時間がかかるのが最近の悩みです。本業はインフラエンジニア。そのためソーシャルゲームの臨時メンテは祭り半分胃痛半分な気分です。
最初のつまづきから巻き返せなかった「ラブプラスEVERY」
まずは「ラブプラスEVERY」ですが、最初のつまづきが印象に残ります。こちらは2019年10月31日にサービススタートの予定でしたがいろいろな不具合が発生。結果的に11月2日から長期メンテに突入。1カ月以上が経過した12月11日にサービスを再開しました。このあたりの失敗を巻き返せなかった、という印象が強く残っています。
ではなぜその巻き返しが行えなかったのか。これはもうゲームシステムに尽きるのではないかと思っています。簡単にいうと「一昔前のポチポチゲー」なのです。ガチャでカードを引き、カードをそろえてデッキを構築して画面をタップしながら自分を成長させていき、その結果としてカノジョとのエピソードが公開される仕組み。最初に3人のカノジョから1人を選んで話を進めていくにもかかわらず、ガチャからは別のカノジョのカードも出てきます。私はそこまでやりこまなかったのですが、自分のカノジョではないカードでデッキを組むことに疑問を覚えたカレシ諸氏も多かったのではないでしょうか。
カレシ諸氏の違和感という意味では、スマホゲー特有のチュートリアル。数年ぶりに出会ったカノジョが「ガチャを引いてね」とか言ってくる姿を皆さんどう受け止めたのかというのも気になるところです。もろもろのシステムが、同じKONAMIの「戦国コレクション」などのシリーズからあまり進歩しているように感じられませんでした。ポチポチゲーは平成に置いてきてほしかったというのが正直なところです。そもそも、過去に「ラブプラスコレクション」というコンテンツがあり、こちらもガチャから出てくるカノジョのイラストを集めるゲームだったため、根本的に何も進歩していない、という気分にさせられました。
古さはなかったものの……惜しさが目立った「ダンキラ!!!」
一方「ダンキラ!!!」の方は今どきらしいポリゴンキャラが躍る音ゲーとして作られており、画面のデザインも含めて古さを感じさせるものではありませんでした。
「イケメンキャラがリズムに乗って踊るのを楽しむ」作品としては問題ないのですが、初手の曲が少なすぎたという記憶があります。同じ曲を延々と繰り返すことになるため、あっという間に飽きてしまうのです。話自体も面白いとは思ったのですが、私のようなユーザーとしては明らかに対象外の人間が「面白い!」と思ってしまうあたり、メインターゲットの人たちに刺さっていたのかどうか大変心配です。育成システムもハードルが高く、好きな人は当然ついていくと思うのですが、広く浅い層に広まらなかったのではないかと思ってしまいました。
曲数については後々解決はされていったと思うのですが、最初にマイナスの印象を持った人が戻ってくるほどではなかった、そう思います。このあたりのゲーム部分の残念さについては、開始時の感想として書かせていただいております。
なお、問題点の一つである「曲の繰り返しプレイがつまらない」という点については、オフライン化でスタミナが関係なくなり、オートプレイが制限なくできるようになったこと、すなわち放置していればそれでいいという変更がなされており、むしろこれから始めることで問題なくプレイが可能なのではないでしょうか。
音ゲーで音ゲー部分をフルオートでプレイしてしまうというのはどうかと思うところもあるのですが、キャラクターの魅力やストーリーを楽しむだけならむしろこの方が良いのかもしれません。なお、全イベントストーリーも収録されており、これは無償石を消費して解放することとなります。もろもろの変更点については公式サイトに記載がありますので、そちらをご覧ください。
個人的に一番ヤバいなと思ったのは「ダンキラ!!!」を面白いと思った私が「ときめきアイドル」が大好きだったということです。私同様「ときめきアイドル」が好きだったとある方と「いいよねダンキラ!!!」と盛り上がったときは本格的にまずいのではないかと思ったのですが、案の定の結果になってしまいました。実はモバクソ畑の連載で開始と終了を記事にするのは「ときめきアイドル」に続いて「ダンキラ!!!」が2回目だったりします……。
両者に共通する「初手の悪さと宣伝不足」
双方に共通する問題点として「初手の問題点が大きく改善されたとは思えないこと」があげられます。「ラブプラスEVERY」についてはポチポチゲースタイル、「ダンキラ!!!」については曲の少なさと育成の難易度。構造的な問題だけにこれを改善するのは難しいとは思うのですが「ご褒美であるストーリーやキャラクターを堪能するための壁」である部分の出来が悪いと、そこを超えることが出来ずにみなやめていってしまいます。
もう一つは「宣伝不足」です。これは「ときめきアイドル」時代もそうだったのですが、どうも露出が足りないという印象がありました。最近ではどこのWebサイトの広告欄にもしつこいぐらいに出てくるスマホゲーを皆さんいくつも見ているのではないでしょうか。あれぐらいしつこく提示されていると、否が応でもタイトルを覚えてしまいます。広告を出す費用もばかにならないと思うのですが、それをやるだけのリターンはあったのではないでしょうか。
ダンキラについては今後「ときめきアイドル」のような展開があればよいのにな、と思っております。ときめきアイドルはサービス終了後も公式Twitterが活動しており、CDが定期的に発売されていたりします。また、新型コロナで延期になってしまいましたがライブの開催すら決定されていました。ときめきアイドルのこの姿勢は「ゲームを運営する費用を削ればコンテンツとしての存続は可能」という逆転の発想だなあと思っています。
ラブプラスについてですが、そもそもコンシューマー版の企画の方々がいない現状で、新しいものを立ち上げたというのが間違いなのかなと思ってしまいます。非常に悲しいことなのですが、コンシューマー版で一世を風靡したゲームのスマホ版が登場するにあたり、もろ手を挙げて歓迎された事例をあまり見ませんし、それが成功した事例も貴重だと思います。
そういう意味では、今後のコンテンツ展開がどうなるか。こちらは再度の復活をお祈りするとしか言えません。それとも、このまま眠らせてあげた方がカノジョたちのためになるのか。その辺りはカレシ諸氏の思い入れ次第なのかな、とは思います。
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