人類滅亡まで残り、あなた一人―― 「まどマギ」虚淵玄を動かした、スマホゲーム「ラストオリジン」のダークな魅力:モバクソ畑でつかまえて
モバクソゲーサークル「それいゆ」発起人、怪しい隣人さんによるスマホゲームコラム。今回は最近ハマっているという「ラストオリジン」について。【追記あり】
大変ごぶさたしております。怪しい隣人です。Switchを入手したり、担当編集氏のアツいプッシュを受けて「Outer Wilds」をプレイしてみたりしていたらすっかりスマホゲーの探索がおろそかになっておりましたが、現在は「ラストオリジン」にドハマリしております。
どうしてそんなことになったのか、そして「ラストオリジン」のどこにそんなに引かれたのかについてお話しできればと思います。
ライター:怪しい隣人
出来の良くないソーシャルゲームを勝手に「モバクソゲー」と名付けて収集、記録、紹介しています。モバクソ死亡リストは500件を超えました。年々ソーシャルゲームが複雑になり、ダメさを判定するのに時間がかかるのが最近の悩みです。本業はインフラエンジニア。そのためソーシャルゲームの臨時メンテは祭り半分胃痛半分な気分です。
虚淵玄氏の参戦でにわかに注目
「ラストオリジン」はSmartJoyが開発、PiG Corporationが運営する韓国産のゲームです(iOS・Android)。もともと韓国語版をプレイしているマメなユーザーから話を聞いており、名前と設定は知っていました。人類が滅びた世界を舞台に、最後の生き残りであるプレイヤーが、さまざまな目的のために作られた美少女・美女バイオロイドとともに戦うという作品。公式のストーリーがダークなものであるということも聞いてはいたのですが、Twitterで時折流れてくる露出度の高い女性キャラのグラフィックの印象が強く「アズールレーンの対抗馬かな……」程度の見方しかしていませんでした。
【6月27日追記】iOSが正式リリースされたため、プラットフォーム表記を変更しました
ですが、その印象がガラリと変わる出来事が起こりました。ある日「魔法少女まどか☆マギカ」で有名な脚本家の虚淵玄氏(@Butch_Gen)が突如ご自身のTwitterで「ラストオリジン」の二次創作小説を投稿しはじめたのです。
公式がフォロワー5万人を間近にキャンペーンを行っていたのですが、フォロワー数がなかなか増えないことに危機感を覚え、支援として小説を書きはじめたのだとか。上の2つのツイートの日付差を見ていただければ、虚淵氏が「もう待てぬ!」となったのも分かっていただけるかと思います。
その内容は、原作に存在する日本のバイオロイドメーカー、伝説サイエンス社を中心にしたものでした。この会社はバイオロイドを映画などの娯楽産業向けに特化して生産し、ストーリーに合わせて人格をインストールされたバイオロイド同士が殺し合いをする番組を作っていました。
そんな娯楽番組を舞台に、バイオロイドが「作り物だから」と殺し合いをして消費されていく姿を、虚淵氏はその流麗な筆致で見事に描いてくれました。小説については公式にも取り上げられているのですが、ハッシュタグだけで追いかけると感想をつぶやいておられる方の発言なども読めてしまうので、ユーザー指定で拾い上げたリンクを記載いたします。
また、なぜこんな狂った世界が生まれてしまったのかについては公式サイトのストーリーから飛べる「プロローグ」から閲覧が可能です。
そもそも、虚淵氏がここまで「ラストオリジン」にドハマリしているのはなぜなのでしょう? 先に引用したツイートにも記載がありますが「レプリカントが好き」と公言されています。レプリカントや人造人間と限定すると氏の作品にはあまり出てこないのですが「人間を超えて道具のようになっていく肉体」「人を超えて人に奉仕する存在」と大きくくくればいくつもの作品から共通点は見いだされるのではないかと思いました。もちろん、私もそういう物語が大好きで虚淵氏の作品を追いかけ続けており、今回の二次創作は元ネタを知らずともとても素晴らしいものと思えました。
そんな虚淵氏がいざなってくれたダークな世界観にすっかり参ってしまった私は、気がついたら「ラストオリジン」をダウンロードしていました。
では、肝心のゲームはどうだったのでしょうか。
“艦これフォロワー”としては安定した出来
ゲーム自体はステージを周回してバイオロイドたちを集め、レベルを上げてまた周回するという、言ってしまえば“艦これフォロワー”の一種です。プレイしていると自動戦闘が可能になり、そうなると編成だけ決めて周回は見ているだけという戦い方になり、さらに艦これっぽさが増してきます。強敵相手には手動操作で戦うことももちろんあります。
大きく違うのは、ステージを進めるごとに少しずつストーリーが開放されていくところ。ステージを進める際にどれぐらいレベルを上げればいいかも分かる親切設計。ストーリーを追いかける楽しみと、ステージでドロップする(合流と表現します)バイオロイドたちとの出会いを楽しみに進めていくのがこのゲームの基本です。
肝心のバイオロイドたちのグラフィックは止め絵とLive2Dを利用した美麗なものが混在しています。Live2Dの中にはメチャメチャ揺れるものも存在していたりして、目を楽しませてくれることうけあいです。普段ならこの手の要素にそこまでひかれないのですが、氏の小説を読んだあとでは「別に恥ずかしがることはないだろ、おまえらはそういう生き物なんだからな、オラッもっと揺らせっ」とゲラゲラ笑いながら画面をつつきたくなってしまうのです。
バイオロイドはドロップだけではなく、建造も可能。建造もまた3種類の素材を分配する艦これめいたものなのですが、それぞれの素材を身長体重BWHの3サイズに割り振るように分配して製造を行います。特に3サイズにあたる栄養は、割り振りによってその部位が優秀なキャラが出現する確率が上がるという公式の案内があるというアホな仕様になっています。
バイオロイドには衣装のバリエーションがあるのですが、この衣装にヤバイものが大変多いです。これらは面クリア報酬や、課金で入手できる「ツナ缶」との交換で入手できるのですが、課金しなくても図鑑画面だけなら一応閲覧が可能という親切設計。なお衣装はキャラクターによって価格差はありますが、高いものだと課金換算で2000円前後というものもあります。
強いバイオロイドも周回していれば入手が可能なものが多く、お金をかけるより時間をかけるというデザインもまた艦これを思い出させるものです。そんなわけなので、メインで遊んでいるゲームがあっても時々ポチポチするだけで進めることができる“ながらゲー”としての出来は悪くないものだと思いました。
本気を出すのは露出度が増えるDMM版リリースから?
なお、虚淵氏の奮闘の結果かフォロワー数5万は達成されました。ですが、残念なことに運営側の動きがあまりアクティブではありません。iOSとDMM版のリリース待ちのためか、イベントもまだ開催されていない状態。DMM版が露出度が増えるR18版のためそちらを本命にして待っている方も多いのではないかと思います。
ですが、現状ではイベントなどで周回しなくてよい分、メインストーリーに集中することが可能とも言えます。虚淵氏のストーリーを読んでいれば「人類に消費され続けたバイオロイドたちがそれでも人類を主として求める」という描写に、ただのハーレムもの、ご主人さま大好きものとは違う何かを感じ取れると思いますので。
【6月26日追記】iOS版もリリースされました
iOSb版が6月26日にリリースされました。画像の規制についてはAndroid版とほぼ同一となっているようです。なお、怪しい隣人さんによると「今後DMMからリリースされるであろうR18版をプレイしたいとお考えの場合、データ保存用のID連携にはApple IDを使わない方がいいかもしれません。Apple IDは基本的にiOS専用なので、AndroidやDMMでも共通して使えるGoogleアカウントで連携しておくのがおすすめです」とのことでした。
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