人類滅亡まで残り、あなた一人―― 「まどマギ」虚淵玄を動かした、スマホゲーム「ラストオリジン」のダークな魅力モバクソ畑でつかまえて

モバクソゲーサークル「それいゆ」発起人、怪しい隣人さんによるスマホゲームコラム。今回は最近ハマっているという「ラストオリジン」について。【追記あり】

» 2020年06月23日 20時30分 公開
[怪しい隣人ねとらぼ]

 大変ごぶさたしております。怪しい隣人です。Switchを入手したり、担当編集氏のアツいプッシュを受けて「Outer Wilds」をプレイしてみたりしていたらすっかりスマホゲーの探索がおろそかになっておりましたが、現在はラストオリジンにドハマリしております。

 どうしてそんなことになったのか、そして「ラストオリジン」のどこにそんなに引かれたのかについてお話しできればと思います。


ラストオリジン 「人類滅亡まで残り、あなた一人」というキャッチコピーが印象的な公式サイト

ライター:怪しい隣人

モバクソ畑でつかまえて

出来の良くないソーシャルゲームを勝手に「モバクソゲー」と名付けて収集、記録、紹介しています。モバクソ死亡リストは500件を超えました。年々ソーシャルゲームが複雑になり、ダメさを判定するのに時間がかかるのが最近の悩みです。本業はインフラエンジニア。そのためソーシャルゲームの臨時メンテは祭り半分胃痛半分な気分です。



虚淵玄氏の参戦でにわかに注目

 「ラストオリジン」SmartJoyが開発、PiG Corporationが運営する韓国産のゲームです(iOSAndroid)。もともと韓国語版をプレイしているマメなユーザーから話を聞いており、名前と設定は知っていました。人類が滅びた世界を舞台に、最後の生き残りであるプレイヤーが、さまざまな目的のために作られた美少女・美女バイオロイドとともに戦うという作品。公式のストーリーがダークなものであるということも聞いてはいたのですが、Twitterで時折流れてくる露出度の高い女性キャラのグラフィックの印象が強く「アズールレーンの対抗馬かな……」程度の見方しかしていませんでした。

【6月27日追記】iOSが正式リリースされたため、プラットフォーム表記を変更しました


 ですが、その印象がガラリと変わる出来事が起こりました。ある日「魔法少女まどか☆マギカ」で有名な脚本家の虚淵玄氏(@Butch_Gen)が突如ご自身のTwitterで「ラストオリジン」の二次創作小説を投稿しはじめたのです。



 公式がフォロワー5万人を間近にキャンペーンを行っていたのですが、フォロワー数がなかなか増えないことに危機感を覚え、支援として小説を書きはじめたのだとか。上の2つのツイートの日付差を見ていただければ、虚淵氏が「もう待てぬ!」となったのも分かっていただけるかと思います。

 その内容は、原作に存在する日本のバイオロイドメーカー、伝説サイエンス社を中心にしたものでした。この会社はバイオロイドを映画などの娯楽産業向けに特化して生産し、ストーリーに合わせて人格をインストールされたバイオロイド同士が殺し合いをする番組を作っていました。



 そんな娯楽番組を舞台に、バイオロイドが「作り物だから」と殺し合いをして消費されていく姿を、虚淵氏はその流麗な筆致で見事に描いてくれました。小説については公式にも取り上げられているのですが、ハッシュタグだけで追いかけると感想をつぶやいておられる方の発言なども読めてしまうので、ユーザー指定で拾い上げたリンクを記載いたします。



 また、なぜこんな狂った世界が生まれてしまったのかについては公式サイトのストーリーから飛べる「プロローグ」から閲覧が可能です。

 そもそも、虚淵氏がここまで「ラストオリジン」にドハマリしているのはなぜなのでしょう? 先に引用したツイートにも記載がありますが「レプリカントが好き」と公言されています。レプリカントや人造人間と限定すると氏の作品にはあまり出てこないのですが「人間を超えて道具のようになっていく肉体」「人を超えて人に奉仕する存在」と大きくくくればいくつもの作品から共通点は見いだされるのではないかと思いました。もちろん、私もそういう物語が大好きで虚淵氏の作品を追いかけ続けており、今回の二次創作は元ネタを知らずともとても素晴らしいものと思えました。

 そんな虚淵氏がいざなってくれたダークな世界観にすっかり参ってしまった私は、気がついたら「ラストオリジン」をダウンロードしていました。

 では、肝心のゲームはどうだったのでしょうか。


“艦これフォロワー”としては安定した出来


ラストオリジン とても殺伐としたゲームとは思えないタイトル画面

 ゲーム自体はステージを周回してバイオロイドたちを集め、レベルを上げてまた周回するという、言ってしまえば“艦これフォロワー”の一種です。プレイしていると自動戦闘が可能になり、そうなると編成だけ決めて周回は見ているだけという戦い方になり、さらに艦これっぽさが増してきます。強敵相手には手動操作で戦うことももちろんあります。

 大きく違うのは、ステージを進めるごとに少しずつストーリーが開放されていくところ。ステージを進める際にどれぐらいレベルを上げればいいかも分かる親切設計。ストーリーを追いかける楽しみと、ステージでドロップする(合流と表現します)バイオロイドたちとの出会いを楽しみに進めていくのがこのゲームの基本です。


ラストオリジン ステージセレクト画面。左下の推奨戦闘力が親切です

 肝心のバイオロイドたちのグラフィックは止め絵とLive2Dを利用した美麗なものが混在しています。Live2Dの中にはメチャメチャ揺れるものも存在していたりして、目を楽しませてくれることうけあいです。普段ならこの手の要素にそこまでひかれないのですが、氏の小説を読んだあとでは「別に恥ずかしがることはないだろ、おまえらはそういう生き物なんだからな、オラッもっと揺らせっ」とゲラゲラ笑いながら画面をつつきたくなってしまうのです。

 バイオロイドはドロップだけではなく、建造も可能。建造もまた3種類の素材を分配する艦これめいたものなのですが、それぞれの素材を身長体重BWHの3サイズに割り振るように分配して製造を行います。特に3サイズにあたる栄養は、割り振りによってその部位が優秀なキャラが出現する確率が上がるという公式の案内があるというアホな仕様になっています。


ラストオリジン おバカな建造画面

 バイオロイドには衣装のバリエーションがあるのですが、この衣装にヤバイものが大変多いです。これらは面クリア報酬や、課金で入手できる「ツナ缶」との交換で入手できるのですが、課金しなくても図鑑画面だけなら一応閲覧が可能という親切設計。なお衣装はキャラクターによって価格差はありますが、高いものだと課金換算で2000円前後というものもあります。

 強いバイオロイドも周回していれば入手が可能なものが多く、お金をかけるより時間をかけるというデザインもまた艦これを思い出させるものです。そんなわけなので、メインで遊んでいるゲームがあっても時々ポチポチするだけで進めることができる“ながらゲー”としての出来は悪くないものだと思いました。


ラストオリジン

ラストオリジン 2000円前後の課金衣装の中破状態まで見られる親切さ

本気を出すのは露出度が増えるDMM版リリースから?

 なお、虚淵氏の奮闘の結果かフォロワー数5万は達成されました。ですが、残念なことに運営側の動きがあまりアクティブではありません。iOSとDMM版のリリース待ちのためか、イベントもまだ開催されていない状態。DMM版が露出度が増えるR18版のためそちらを本命にして待っている方も多いのではないかと思います。

 ですが、現状ではイベントなどで周回しなくてよい分、メインストーリーに集中することが可能とも言えます。虚淵氏のストーリーを読んでいれば「人類に消費され続けたバイオロイドたちがそれでも人類を主として求める」という描写に、ただのハーレムもの、ご主人さま大好きものとは違う何かを感じ取れると思いますので。


ラストオリジン こんなのが突然でてきても「ああ、そういうふうに作られたんだな」と理解の上でプレイすると大変楽しいです

【6月26日追記】iOS版もリリースされました

 iOSb版が6月26日にリリースされました。画像の規制についてはAndroid版とほぼ同一となっているようです。なお、怪しい隣人さんによると「今後DMMからリリースされるであろうR18版をプレイしたいとお考えの場合、データ保存用のID連携にはApple IDを使わない方がいいかもしれません。Apple IDは基本的にiOS専用なので、AndroidやDMMでも共通して使えるGoogleアカウントで連携しておくのがおすすめです」とのことでした。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2406/25/news174.jpg かわいすぎる卓球女子の最新ショットが730万回表示の大反響 「だれや……この透明感あふれる卓球天使は」「AIじゃん」
  2. /nl/articles/2406/26/news014.jpg 兄犬に怒られ引きこもってしまった子柴犬、家族みんなで慰めると…… 涙を誘う結末に「感動しました」「人間の兄弟を見ているよう」
  3. /nl/articles/2406/25/news195.jpg 「昔のミスド良すぎる」「復活してほしい!」 30年以上前の“ミスドのドーナツ”に復活求める声相次ぐ
  4. /nl/articles/2406/26/news029.jpg 「今からはヤバい」21時過ぎに、リビングで息子が…… パパママ絶句の光景に「お察しします」と121万表示
  5. /nl/articles/2406/26/news156.jpg 「規格外」「これは試合にならん」 220センチの中国バスケ女子選手、とんでもないプレーを見せつけネット驚がく
  6. /nl/articles/2406/26/news071.jpg 「これ買っていいんですか!?」 長野市が59万円でオークションに出した“まさかの商品”に思わず釘付け!
  7. /nl/articles/2406/25/news189.jpg 10年子どもを授からず、9人の養子を育てる夫妻 夫に妊娠報告すると…… 涙なしでは見られない反応に心を揺さぶられる【海外】
  8. /nl/articles/2406/25/news073.jpg 意外なもので作った“親生存確認装置”が天才の発想 「なぜミンティアがそこに!」「盲点だった!」
  9. /nl/articles/2406/26/news003.jpg テレビでも話題! “何度変身しても元に戻る男性”がまた美容室に……? 驚きのイメチェンに「大変身!」と注目集まる
  10. /nl/articles/2406/25/news020.jpg 雑草だらけで荒れた庭を、素人夫妻がDIY→2年後…… 目を疑う変貌ぶりに「お見事としか言いようがない」「外国の映画に出てきそう」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 18÷0=? 小3の算数プリントが不可解な出題で物議「割れませんよね?」「“答えなし”では?」
  2. 「これはさすがに……」 キャッシュレス推進“ピクトグラム”コンクールに疑問の声相次ぐ…… 主催者の見解は
  3. 和菓子屋の店主、バイトに難題“はさみ菊”を切らせてみたら…… 282万表示を集めた衝撃のセンスに「すごすぎんか」「天才!?」
  4. 「やばすぎ」 ブックオフに10万円で売られていた“衝撃の商品”に仰天 「これもう文化財」「お宝すぎる」
  5. 都知事選掲示板に“ほぼ全裸”ポスターが掲出で騒動に→アイドルが懸念示す 「300万円を考えると安いものなんでしょう」「真面目に頑張りたい人が可哀想」
  6. いつも遊びに来る野良猫がケガ→治療するもひどく威嚇され…… 「嫌われた」と思った翌日の光景に「涙が出ました」
  7. あずきバーに砲弾を撃ち込む様子が“そんなわけなさ過ぎる結果”で爆笑 ツッコミが不可避の投稿はどのように生まれたのか聞いてみた
  8. 「別人かよ」「泣けた」 “オタク”と言われ続けた男性が…… “激変イメチェン”に「こんなに変われるなんて」と称賛の声
  9. 定年退職の日、妻に感謝のライン→返ってきた“言葉”が193万表示 「不覚にもウルッとした」「自分も精進します」と反響多数
  10. 0歳赤ちゃん、寝ていたはずがベビーモニターに異常発生!→ママが駆け付けるとまさかの…… 爆笑の光景に「かわいすぎるっっ」「朝から癒やしをありがとう」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「今までなんで使わなかったのか」 ワークマンの「アルミ帽子」が暑さ対策に最強だった 「めっちゃ涼しー」
  2. 「現場を知らなすぎ」 政府広報が投稿「令和の給食」写真に批判続出…… 識者が指摘した“学校給食の問題点”
  3. 市役所で手続き中、急に笑い出した職員→何かと思って横を見たら…… 同情せざるを得ない衝撃の光景に「私でも笑ってしまう」「こんなん見たら仕事できない」
  4. 「思わず笑った」 ハードオフに4万4000円で売られていた“まさかのフィギュア”に仰天 「玄関に置いときたい」
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 「二度と酒飲まん」 酔った勢いで通販で購入 → 後日届いた“予想外”の商品に「これ売ってるんだwww」
  7. 幼稚園の「名札」を社会人が大量購入→その理由は…… 斜め上のキュートな活用術に「超ナイスアイデア」「こういうの大好きだ!」
  8. 釣れたキジハタを1年飼ってみると…… 飼い主も驚きの姿に「もはや、魚じゃない」「もう家族やね」と反響
  9. JR東のネット銀行「JRE BANK」、申し込み殺到でメール遅延、初日分の申込受付を終了
  10. サーティワンが“よくばりフェス”の「カップの品切れ」謝罪…… 連日大人気で「予想を大幅に上回る販売」