発表から3年、ついにリリースされた「ラブライブ!」アプリ最新作はファンの期待に応えられたか?モバクソ畑でつかまえて

ハードルの高さは「熱心なファン」をターゲットにしたからこそ?【※大幅な機能改善が発表されたので追記】

» 2019年10月06日 22時00分 公開
[怪しい隣人ねとらぼ]

 モバクソゲーサークル「それいゆ」発起人であり、ちょっと変わったゲーム(遠回しな表現)に詳しい「怪しい隣人」@BlackHandMaiden)さんによる不定期コラム(連載一覧)。今回は「ラブライブ!」ファンが長らく待った、「ラブライブ!」シリーズの最新作スクールアイドルフェスティバル ALL STARS(通称スクスタ)」を遊んでレポートしてもらいました。

 思えば最初にタイトルが発表されたのは2016年11月のこと。約3年もの期間をかけてついにリリースされた「スクスタ」は、シリーズ初期からのファンである怪しい隣人さんの目にはどう写ったのでしょうか。



ライター:怪しい隣人

モバクソ畑でつかまえて

出来の良くないソーシャルゲームを勝手に「モバクソゲー」と名付けて収集、記録、紹介しています。モバクソ死亡リストは500件を超えました。年々ソーシャルゲームが複雑になり、ダメさを判定するのに時間がかかるのが最近の悩みです。本業はインフラエンジニア。そのためソーシャルゲームの臨時メンテは祭り半分胃痛半分な気分です。



音ゲー部分は難易度低め、ただししっかりとした育成が必要

 9月末から10月にかけて多くのアプリがリリースされました。マリオカート、東方、トロとどれもこれも有名な作品のアプリ化ばかり。そんな中リリースされたラブライブ! スクールアイドルフェスティバル ALL STARS(以下、スクスタ)。プレ発表が2016年11月だったことを考えると、約3年弱待たされたことになります。それだけの期間を経てリリースされたスクスタですが、良くも悪くもヘビー級のゲームでした。

起動時に見せられるムービー

 ゲーム部分ですが、音ゲーパートのプレイ難易度は低め。タップ、フリック、同時押し、押しっぱなしという音ゲーのお約束の操作系に加え、画面のどこをタッチしてもいいという作り。手の大きさやスマホのサイズに依存しない状態でプレイできるのは好印象です。

 ですが、その音ゲー部分は独立して存在するだけではなく、ストーリーの合間に挟まっています。ストーリーを読んで音ゲーを繰り返すことになるので「続きはこのモンスターたちを倒してからだな!」みたいな気分になります。このゲームのジャンルが「リズムアクションRPG」であることを納得させられました。


ラブライブ スクスタ ライブステージが音ゲーパートです。ストーリー音ゲーの繰り返し

ラブライブ スクスタ 音ゲーパートは比較的オーソドックスな作り

ラブライブ スクスタ 画面のどこをタッチしてもいいためプレイしやすい

 この音ゲー部分の難易度は当然だんだん上昇するため、キャラクターの育成が必要になってきます。これは他の音ゲーでも当然ある要素なのですが、育成には特殊な素材が複数必要となります。

 素材は音ゲーをクリアしても入手は可能です。ですが、それよりは1日3回実行が可能な「合宿」で集めたほうが遥かに効率的。キャラクターのレベルもプレイしていれば勝手に上がるというわけではなく、レベル上げ用のアイテムとゲーム内マネーを消費する必要があります。どこかの種火集めをほうふつとさせる作りですが、曜日によって取れるアイテムが違う、ということがないのだけは大変親切です。こういうとき苦痛の中にちょっと楽な部分があると「あっ優しい」と思ってしまうのはあまり良くない習慣ですね。


ラブライブ スクスタ 合宿でアイテムを集めます。左からレベル上げ用経験値アイテム、ゲーム内マネー、育成用素材の一部です

 これらの素材を使ってキャラクターの能力値を上げ、キャラクターごとのストーリー解放、イラストの変更、3Dで踊る衣装の入手と段階的に進めていくことになります。成長システムのビジュアルが横長のツリー構造。複数画面に渡っているツリーを見るだけで「長!」となってやる気が減衰します。こういうものは「レベルが上がるたびに次の目標を表示する」という形式のほうが良いのではないでしょうか……。


ラブライブ スクスタ 超長いスキルツリー グレーのところはカード複数入手で解放です

ラブライブ スクスタ 必要なアイテムの山。気が遠くなります

 このあたりの育成のハードルの高さには不満の声も多かったのか、10月2日の時点で運営から育成難易度の緩和についてアナウンスがありました。ここで「育成のハードルを下げる」と早急に判断した運営側の英断を高く評価したいと思います。


初期からのファンでも満足できるストーリー

 これらもろもろのヘビーな部分を乗り越えて見られるストーリーですが、全体を通したメインストーリーと、キャラクターごとのカードに付随する固有ストーリーが存在しています。

 メインストーリーは過去の「ラブライブ!」シリーズに出てきた2つの学校、2つのスクールアイドルグループが併存しているパラレルワールドのような世界。プレイヤーは虹ヶ咲学園という新たな学園でスクールアイドルの良さに目覚め、周りの人間をかき集めて新たなスクールアイドルグループを立ち上げます。過去の「ラブライブ!」シリーズではこういう話を引っ張る役どころは主人公だったのですが、それを裏方的なプレイヤーキャラクターがやっているというのは興味深いところ。元ネタありきのソーシャルゲームでは主人公の存在が薄くなりがちなのですが、それに逆行するような作りは興味深いところです。こちらは3Dのキャラクターではなく2Dのキャラクターで主に描かれるのですが、表現がいろいろと凝っていて楽しいです。


ラブライブ スクスタ 2Dでキャラクターの背中が見られるゲームは珍しい気がします

 カードの方のストーリーは、カード育成や絆レベルを上げることによって開放されます。

 実は筆者、実はCD2枚目がリリースされた辺りから「ラブライブ!」を追いかけているのですが、「サンシャイン!!」になってからはアニメを見た程度でほとんど触れていません。そんなわけで、思い入れはどうしてもμ'sの方に偏ってしまいます。最初に選んだSRは自動的に覚醒されるのですが、最初のキャラは西木野真姫を選んでいました。

 このキャラクター、同じμ'sのメンバーである矢澤にこと妙に絡みが多く、その辺りの元ネタがアニメになる前の1stシングルのPVで「同じ部屋にいた」という薄いつながりに始まり、4thシングルのPVで「他のキャラは視聴者にチョコレートを差し出してくるのに真姫だけはにこにチョコを差し出している」とかアニメ前からいろいろと公式から妄想材料が提供されていた組み合わせであります。気がついたらアニメでもちょいちょい話題になり、同人誌がたくさん店頭に並んだりするようになったのは昔から見ていた人間としては大変感慨深いものでした。

 ……話が大きくそれました。とまあ、こんな人間が見ても満足できるストーリーをゲームの最初から見せていただいたことは感謝しております。


ラブライブ スクスタ 感謝しかありませんでした

「熱心なファン」をターゲットにしたからこそ?

 ここまで「ファンとしてコンテンツを楽しむために高いハードルを超えていかないといけない」という話をしてきました。これも一種「人気の高いコンテンツをゲームにしたゆえ」なのかなと考えてしまいます。

 「ラブライブ!」は今年(2019年)で9周年。「ラブライブ!サンシャイン!!」の2期が終了したのが2017年12月なので、2年近く間が空いています。さらに言えば、無印「ラブライブ!」の方は2016年の4月に最後のワンマンライブを行って以来、大きな活動はありません。この状態で、「スクフェス(ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル)」を中心に「ラブライブ!」というコンテンツを支えてきたファンが待っていたのがこのゲームでもあり、提供側としても「多少難易度が高くても熱心なファンなら支えてくれる」あるいは「熱心なファンは多少ハードルを上げておかないとあっという間にコンテンツを消費し尽くしてしまう」という思いがあったのではないでしょうか?

 他の音楽ゲームだと「イベント報酬をもらうぐらいならカジュアルにプレイしていれば問題なく、他人と競争したいひとは必死になる」という感じでした。これは「コンテンツを普及する役目がゲームに与えられているから」だと思います。しかし、「スクスタ」に求められているのは「既存ファン層へのサービス」であり「新しい層の開拓」は求められていないのでしょうか。最近ほぼ同時にリリースされた「既存のファンへの強いアピールがあるのにゲームの難易度は低め」という別の音ゲーを見て、余計にそう考えるようになりました。今後の改善で、この辺りのハードルの高さがどれくらいに下がるのか、それについてファンはどのように考えるのか、注目していきたいと思います。


10月12日追記

 10月11日、「スクスタ」ゲーム内および公式サイトにて、「機能改善についてご報告」という告知が公開されました。当記事でも触れている育成難易度緩和について、具体的な例が記載されています。素材集めの合宿回数を倍にしたことに加え、育成に必要な素材が大幅に減少。これでキャラ育成はだいぶ楽になるのではないでしょうか。また、最初に解放されるのが衣装となることで、舞台衣装のスクールアイドルたちを今より気軽に鑑賞できるようになります。正直ここまで色々手を入れてくるとは思いませんでした。

 ただ、今回の告知では育成には大胆に手を入れているものの、音ゲー部分の難易度についてはプレイ回数と体力消費量の調整に留まるのみ。ここももっと思い切って、ストーリーモードだけは難易度を大幅に下げても良いと思います。上級中級などの通常プレイ難易度まで下げろとは申しませんので、話を読みたいだけのカジュアルユーザーにも優しい作りになってくれると理想的です。後から手直ししていくのは大変でしょうが、まだユーザーは「未完成のコンテンツがお出しされた」とは思っていないはず。早いうちにどんどん改善してほしいものです。


ラブライブ スクスタ 機能改善についてご報告(公式サイトより)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2501/04/news038.jpg 米津玄師、紅白で“205万円衣装”着用? 星野源“1270万円ネックレス”も話題…… 「凄いお値段」「びっくりした」
  2. /nl/articles/2501/04/news025.jpg サバの腹に「アニサキス発見ライト」を当てたら……? 衝撃の結果に「ゾワっとした」「泣きそう」と悲鳴 その後の展開を聞いた
  3. /nl/articles/2501/03/news057.jpg 「箱根駅伝」10区ランナー、“父親が大物アーティスト”と判明し「息子が走ってたなんて」「イケメン息子」と驚きの声
  4. /nl/articles/2501/02/news034.jpg 「脳がバグる」 ←昼間の夫婦の姿 夜の夫婦の姿→ あまりの激変ぶりと騙される姿に「三度見くらいした……」「まさか」
  5. /nl/articles/2501/03/news005.jpg 「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」→こだわり満載の完成品に「すごすぎて意味わからない」と大反響 2024年に読まれたハンドメイド記事トップ5
  6. /nl/articles/2501/01/news001.jpg 【今日の難読漢字】「手水」←何と読む?
  7. /nl/articles/2501/03/news004.jpg 授業参観の度に「かっこいい」と言われた父親が10年後……「時間止まってる?」父子の姿に驚愕 2024年に読まれた家族記事トップ5
  8. /nl/articles/2501/04/news004.jpg 高校生息子にリクエストされたお弁当を作ったら……驚きの仕上がりに「うらやましい」 2024年ねとらぼで読まれた【お弁当記事トップ5】を紹介
  9. /nl/articles/2501/03/news012.jpg 小さなカエルを大事に育て、たった1年後…… 娘が「こわい!」と逃げ出すレベルの“ヤバい成長”に「デカすぎやろ」「僕でも怖いわ」
  10. /nl/articles/2501/03/news007.jpg 考え方も性格も“正反対”の2人が結婚→それから13年後…… 苦楽をともにした“現在の姿”に反響 「素敵ですね」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
  2. 大谷翔平、妻・真美子さん妊娠公表→エコー写真に“まさかの勘違い” 「デコピン妊娠?」「どう見てもデコピンで草」
  3. 「すごい漢字!」 YouTuberゆたぼん、運転免許証公開 「本名の漢字」に衝撃の声続々
  4. 「麻央さんにそっくり……」 市川團十郎の11歳息子・勸玄の成長ぶりに驚きの声 「大きくなってる!」「すでに貫禄がある」
  5. チェジュ航空社長、日本語で謝罪 犠牲者は170人以上との報道 公式サイトは通常のオレンジからブラックに
  6. 「スマホ入荷しました」 ハードオフ店舗がお知らせ→まさかの正体に大横転 「草しか生えない」
  7. 母「昔は数十人もの男性の誘いを断った」→娘は信じられなかったが…… 当時の“想像を超える姿”が2800万再生「これは驚いた」【海外】
  8. 毛糸で作ったお花を200個つなげると…… “圧巻の防寒アイテム”完成に「なにこれ作りたい……!!」「美しすぎる!」と100万再生【海外】
  9. 「思わず泣きそう」 シャトレーゼの“129円クリスマスケーキ”に衝撃 「すごすぎない!?」「このご時世に……」
  10. 「デコピンを抱き寄せたのはもしかして」 妻・真美子さん第1子妊娠発表で大谷翔平の発言と行動に再注目 「“もう帰る?”は気遣っていたのかも」
先月の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  3. 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
  4. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  5. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  6. イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  7. 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
  8. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  9. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  10. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」