8年半の歴史に幕「戦国コレクション」の思い出と、大傑作だった“アニメ版”を振り返る:モバクソ畑でつかまえて
アニメ2期はまだですか……?
KONAMIのソーシャルゲーム「戦国コレクション」が、2019年5月30日でサービス終了を迎えます。2010年12月のサービス開始から数えて実に8年半。「パズドラ」が1月に7周年を迎えたばかりですから、ソーシャルゲームとしては相当な古株ということになります。
そんな「戦国コレクション」ですが、2012年にはアニメも放送され、アニメファンの間でちょっとした話題になったことがありました。今回のサービス終了発表でも、「アニメ良かったよなぁ」「戦コレ終わるならアニメ2期やってからにして!」といった声がちらほら。
果たして「戦国コレクション」とはどんなゲームだったのか。話題になったアニメ版とはどんな内容だったのか。モバクソゲーサークル「それいゆ」発起人であり、ソーシャルゲームに詳しい「怪しい隣人」(@BlackHandMaiden)さんに同作を振り返ってもらいました。
ライター:怪しい隣人
出来の良くないソーシャルゲームを勝手に「モバクソゲー」と名付けて収集、記録、紹介しています。モバクソ死亡リストは500件を超えました。年々ソーシャルゲームが複雑になり、ダメさを判定するのに時間がかかるのが最近の悩みです。本業はインフラエンジニア。そのためソーシャルゲームの臨時メンテは祭り半分胃痛半分な気分です。
「サンシャイン牧場」よりも長かったサービス期間
去る3月25日、ソーシャルゲーム「戦国コレクション」(以降、戦コレ)のサービス終了が発表されました。サービスインから終了までの期間、なんと8年半。あの「サンシャイン牧場」よりもさらに長期間運営されていたことになります。
ですが、寿命が長いということはそれだけゲームシステムの根幹が古いということ。私自身、ゲーム自体は「アイドルマスター シンデレラガールズ」の相互招待で開始したのですが、その時点でも古いな、と思わされるゲームでした。「デレマス」自体が先行タイトルをかなり研究して作られたタイトルでしたから、「デレマス」以前からあった「戦コレ」を古く感じるのも仕方のないことでしょう。そんなわけで、相互招待の条件を満たすとすぐに遊ばなくなってしまったのを覚えています。
そんな戦コレですが、アニメが始まってから再度ログインするようになり、しばらくの間復帰していました。その時点で劇的にシステムが変化して面白くなった、というわけではありません。アニメがあまりにも面白かったから、周辺コンテンツに手を出しまくった結果なのです。
古今東西の名作映画をパロディーしまくったアニメ版
アニメ版「戦コレ」は2012年4月に始まりました。ゲーム版「戦コレ」を相互招待で当初プレイしていた身としては、あのストーリー皆無のゲームを一体どうやってアニメに? と思ったものです。また、コナミが関わっている女の子がたくさん出てくるアニメというと「おとぎ銃士赤ずきん」「極上生徒会」「Saint October」と独特の魅力を持つ作品が多いのです。今回もまた、変なアニメを見せてくれるのではないかと期待する中アニメは始まりました。
ゲームのバックグラウンドは「現実とは違う戦国世界で戦国マスターとして戦国武将を使って秘宝を奪い合う」という曖昧なものでしたが、アニメはその戦国世界から現実世界に戦コレの武将たちがやってくることで巻き起こる騒動を描くというものでした。
第1話は、戦国世界からやってきた織田信長と出会ったフリーターの青年の一時の交流、とでもいったお話がメインでした。正直、そんなに面白いとは思えないお話。最後に「元の世界に戻りたければ同じように来ている武将から秘宝をあつめよ」という申し訳程度の原作要素が説明されて終わりました。
1話で判断するのも何なので、と思っていた次の週は徳川家康のアイドルモノ。先ほどの信長もそうですが、名前は家康でも一応みんな美少女化されていますので誤解のないよう。
ここまで来て、自分の中では「これで3話もつまらなかったら見るの辞めるか」と思っていたのですが、迎えた第3話は、世界が灰色に見えてしまっていたキャラクターが、最後にパートナーの選択を受け入れることで世界に色が取り戻されるというお話。
「……なんか『ベルリン・天使の詩』っぽいな」と思いながらも、このお話が気に入ったので継続視聴を決定。続けて見ていくとここからは映画パロディーのオンパレード。4話の「女囚さそり」、5話の「ボウリング・フォー・コロンバイン」と「そのまんまじゃねえか!」と突っ込みたくなるようなネタが続きます。そこで振り返ってみると1話が「ローマの休日」だったことに気が付きました。
こんな感じで、古今東西の名作映画をパロディーにした物語が続いていきます。中には「やっぱり猫が好き」を元にしたような毛色の違うお話もあったり。とりわけ印象的なのは、大谷吉継のエピソード。「見るだけで鬱になる」と有名な映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク」を元ネタにしているのですが、その放映日、オリンピックで同時間帯のアニメが休止になっていた局が多かったようで、たまたま見てしまった回がとんでもない不幸エピソードだったという気の毒な方も。
そのように独立していた物語とキャラクターが、信長を中心にして絡み合いながらお話はクライマックスへと突入していきます。とはいえ、それも大仰なものではなく「きれいに落ちた!」というものですが、それでも2クール分ゾロゾロ出てきたキャラクターたちをうまくまとめていたなあ、と思わされ、すっかりハマってしまいました。どれくらいハマっていたかというとしっかりBDを全巻買い集め、OPのCDまで買い、揚げ句アニメ誌の全員応募だったドラマCDまで申し込む始末。ついでに感謝の課金とばかりにゲームにも課金をしていました。
ただ、アニメ放映時期にはアニメーションカードが実装されたり、その後もボイス付きカードやおまけ劇場的なものでアニメをベースにした物語が追加されたりしていたのですが、アニメで1度ガッツリと物語を味わわされた身としては、わずかなお話だけではなかなかもの足りず、気が付けばゲームの方はフェードアウトしていました。
ストーリーの“薄さ”が逆に強みだった
アニメ終了後の動きを振り返ってみると、結局アニメの続編といった動きは一切なく、微妙に設定の違うコミックこそありましたが、こちらも早々に連載終了となっています。ゲームの方の周辺展開としては「戦コレ絆クロス」というスマートフォン向けスピンオフ作品がMobageでリリースされるも早期終了。突如パチスロがリリースされたりしましたが、これもアニメともゲームとも関係ない独自の設定のようです。ただ、これはこれで元気にシリーズが続いているようです。
アニメで感じたキャラクターの魅力を考えると、「戦コレ」はコンテンツとして多方面に展開できるだけの素養はあったと思っています。その大きな理由は、ゲームそのもののストーリーの薄さです。ゲームにしっかりしたお話がついていると、そのお話を忠実にアニメ化したり、漫画化したりという展開になりがちで、作り手の想像力に委ねた作品展開ができません。1つの優れたキャラクターイラストをもとに、いろいろな作家がいろいろな物語を作る。そんな作品世界はもっとあっても良いように思います。
なお、ゲーム版「戦コレ」は終了しますがパチスロ版は継続するようですし、キャラクターとしては生き延びていくものと信じています。たとえゲームが終了してもコンテンツが続く「ときめきアイドル」の例もありますし(関連記事)、「戦コレ」もパチスロ以外への展開を期待したいものです。突然織田信長がボンバーガールに実装されたりしても何の問題もありません。もちろん、アニメの2期も大歓迎です。
これを読んでアニメが気になられた方、懐かしく思い出されている方はぜひ配信でご覧ください。
※編注:Amazonではdアニメストア for Prime Videoに入会する必要あり。その他、dアニメストアやdアニメストア ニコニコ支店などで視聴可能です
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