「どうしてこうなった」「960円払えば実質無料」 スマホゲーム「ネギマテ」の何がどうマズかったのか:モバクソ畑でつかまえて
赤松健さんの漫画『UQ HOLDER!』および『魔法先生ネギま!』を原作とする同ゲームでしたが……。
2月14日にリリースされた、スマートフォン用ゲーム「ネギマテ!UQ HOLDER!〜魔法先生ネギま!2〜(以下、ネギマテ)」のクオリティーがいろんな意味で話題になっています。赤松健さんの漫画『UQ HOLDER!』および『魔法先生ネギま!』を原作とする同ゲームですが、遊んだ人からは「どうしてこうなった」「本当に2018年のゲームなのか」など困惑する声が続出。そこまで人を戸惑わせる「ネギマテ」とは一体……?
「ネギマテ」の何がどうマズかったのか。モバクソゲーサークル「「それいゆ」発起人であり、クソゲーに詳しい「怪しい隣人」(@BlackHandMaiden)さんに解説していただきました。
ライター:怪しい隣人
出来の良くないソーシャルゲームを勝手に「モバクソゲー」と名付けて収集、記録、紹介しています。モバクソ死亡リストは500件を超えました。年々ソーシャルゲームが複雑になり、ダメさを判定するのに時間がかかるのが最近の悩みです。本業はインフラエンジニア。そのためソーシャルゲームの臨時メンテは祭り半分胃痛半分な気分です。
プレイした人たちから漂う不穏な雰囲気
2月に入り、基本無料のものに限らず多くのスマホ用アプリがリリースされたり、新作続編の発表があったりと活気がよくて大変結構なことです。そんな中、原作付きのアプリでありながらひっそりとリリースされたのが「ネギマテ」でした。
「ネギマテ」は『UQ HOLDER!』の物語をベースに、前作である『魔法先生ネギま!』のキャラクターも登場するRPG。『ネギま!』の知識をほとんど持たない私がこのゲームを触ってみようと思ったのは、プレイした人たちから漂う不穏な雰囲気のせいでした。
インストールしてプレイを開始すると、アニメーションムービーで『ネギま!』の世界について概要を伝えてくれます。なるほど、前作について「少年教師が女の子たちの先生をやる」ぐらいのぼんやりした知識しかなかった私ですが、それだけで物語が終わらなかったことはよく分かりました。このムービーがスキップできる作りになっていないのも、きっと私のような知識がない人間向けなのでしょう。
ムービーが終わると突然戦闘が始まりますが、なぜ、誰と戦っているのかさっぱり分かりません。敵はこちらの戦力に比べ明らかに強く、イベント戦闘兼チュートリアルなのかなとは思うのですが、ここで学べるのは「スキルのゲージがたまったらそれを押すとスキルが発動するよ」ということだけです。1分弱という長い戦闘が終わると、突然「セーブポイントに戻ったみたいだから、今度は自力で戦いに行け」と言う少女が登場(※)。ここから何か物語が始まるのかと思いきやもう通常のゲーム画面になります。
ガチャから泥人形、編成バグ、「実質無料」表記……
無料でキャラクター確定ガチャが1回引けるようなので回してみると、泥人形が出てきました。……おかしい、私の記憶では『ネギま!』はかわいい女の子がいっぱい出てくる作品のはずなのですが。
このガチャですが、何度でもリトライすることが可能ですが、最高レアのキャラクターは引けません。最高レアを引くまでやり直しができない初回ガチャに加え、チケット10枚の配布が2日目のログインボーナス。リセマラしてほしくないという仕様が徹底しています。
通常のガチャからはマテリアルというキャラクター用の装備カードも排出されますが、こちらはアニメのキャプチャー画像。集めてうれしい要素は皆無です。なお、キャラクターのレアリティは星2から星4まで、マテリアルのレアリティは星3から星5までの段階なのですが、数字がずれている理由が分かりません。
ガチャを引き終わってもチュートリアルは一切なく、何をしていいのか途方にくれることになります。取りあえず「BATTLE」を選んでみると、そこからストーリーモードに入れました。
ストーリーモードはテキストを読んでは戦闘を繰り返す、最近のスマホゲームによくあるスタイルとなっています。ちなみに戦闘に入る前にパーティの編成が可能なのですが、リリース直後の時点では「キャラの位置を移動させようとするとなぜか同じキャラが複数配置できてしまう」という問題がありました(※)。
戦闘についてはオートと倍速がすぐに使えるところだけは評価できますが、オートはスキルを自動で使ってくれるのみ。倍速も「倍かな……?」というスピード。スキルを使うとまたしてもアニメのキャプチャー画像がカットイン。なお、違うスキルを使っても同じキャプチャー画像が表示されます。
育成要素は妙に凝っており、育成アイテムを消費して能力値を強化したりすることが可能になっています。キャラクターがガチャでダブったときの救済策も存在しており、ダブったキャラクターのレアリティを上げることができるようになっています。星3のキャラが1回ダブると30ポイントもらえ、レアリティを上げるのに必要なのは100ポイント。3体ダブリでは足りず4体引くと20ポイント余るという疑問を持ってしまう仕様です
そもそもそんなにダブるほどガチャを引くのか、と思ってしまうのですが、このゲームは熱く課金をアピールしてきます。ログインするたびに3回ずつ、今売っている石の宣伝を見せられます。そのうちの1つは「960円払って課金アイテムを買うと実質無料でキャラクターが手に入る」という大変危険な宣伝文句。大丈夫なんでしょうか、これ。
課金圧の強さに疑問
以上、つらつらと問題点を並べてまいりました。他にもミッション報酬の一括受取を行うと1回ずつ受け取ることを自動で繰り返すだけ、など細かいところでイライラさせられる部分の多いゲームです。これでファンがお金を落とすと思っていたのかという印象を、課金圧の強さがさらに強めるゲームでした。本気でこのゲームでお金を稼ぎたいのなら、ゲームの出来相応の課金施策を考えるべきではないでしょうか。
課金施策といえば、昨年(2017年)リリースされた『ラーメン大好き小泉さん』のソーシャルゲームは原作のラーメン屋巡りと懸け離れたラーメン屋経営ゲームであることが話題になっていましたが、こちらは「ゲーム内に広告を入れる」「動画を見ると課金アイテムがもらえる」という無料ゲームのような仕組みを取り入れています。「ネギマテ」もこれぐらい割り切った「ファンの課金は期待せずにお金を稼ごう」という取り組みが必要なのではないでしょうか。
(怪しい隣人)
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わずか6行の説明で倒される黒幕。
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