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» 2019年04月13日 19時45分 公開

モバクソ畑でつかまえて:どうしてこうなった…… 「FGO」史上空前のクソイベと言われた「徳川廻天迷宮大奥」を振り返ってみて

「ダンジョンを探索するイベントなのに、一歩歩くごとにめちゃめちゃ長いロードが入る」という地獄。

[怪しい隣人,ねとらぼ]

 つい先日まで開催されていた、スマートフォン用ゲームFate/Grand Orderのイベントに非難が集まっています。主な理由は「ダンジョンを探索するイベントなのに、一歩歩くごとにめちゃめちゃ長いロードが入る」というもの。まるで大昔のPC用ゲームのようなその仕様に、プレイヤーからは「やってて怒りが湧いてくる」「地獄」などと阿鼻叫喚の声があがることに。イベント後半になってようやくロード時間については修正されたものの、今度は既にクリアしていた人から「もっと早く修正してよ!」という声が……。



 一体何がどうしてこうなったのか。実際に遊んだ人に振り返ってもらおう――ということで、モバクソゲーサークル「それいゆ」発起人であり、クソイベに明るい「怪しい隣人」@BlackHandMaiden)さんに同イベントについて解説してもらいました。


ライター:怪しい隣人

モバクソ畑でつかまえて

出来の良くないソーシャルゲームを勝手に「モバクソゲー」と名付けて収集、記録、紹介しています。モバクソ死亡リストは500件を超えました。年々ソーシャルゲームが複雑になり、ダメさを判定するのに時間がかかるのが最近の悩みです。本業はインフラエンジニア。そのためソーシャルゲームの臨時メンテは祭り半分胃痛半分な気分です。



「クソイベ」「まともに遊べない」と阿鼻叫喚

 「Fate/Grand Order」(以降FGO)で3月27日から4月10日までイベント「徳川廻天迷宮大奥」が開催されていました。迷宮と化した大奥を探索するという新形式のイベントでしたが開始直後から大騒ぎに。いわく、「クソイベ」「まともに遊べない」などなど。サービスイン直後から「FGO」をプレイしていますが、ここまでネガティブな評判が先に立ったイベントは久しぶりのように思います。


FGO大奥イベント リアルタイム検索の反応

 最大の理由は、ロード時間の長さです。迷宮を進む(次の部屋へ移動する)という行為を「次のシナリオを選ぶ」ことで表現しているのですが、これがいつものシナリオ選択と同じかそれ以上にロード時間がかかりました。筆者の端末(iPhone 8 Plus)で1回移動するのに20秒程度。百聞は一見にしかず、こちらをご覧ください。



 クリック→一行テキスト→クリック→一行テキストを何度か繰り返し、たどり着いた場所で敵と戦うのが一つの周期になっているのですが、一行テキストの間に毎回10〜20秒ローディングが挟まります。合間の一行テキストも普段ならクスっと笑えるものなのでしょうが、これだけ待たされるとその内容すらこちらを煽っているように思えてしまいます。もともとAndroidとiPhoneではロード時間に差があることで有名な「FGO」。iPhone以外でプレイしている人はこれ以上のロード時間を強いられていたのかと思うとゾッとします。


FGO大奥イベント 踏破速度は最初から落ちっぱなしだよ!

 上の動画の後半は、4月4日に速度改善アップデートが実行された後のものです。ロード速度は1秒程度になり、ようやくまともに遊べるクオリティーになりました。ですが、この時期には既に全てのシナリオをクリアしている人も多かったようで、熱心にプレイしていた人ほど苦行を強いられたという悲しい状態になっていました。もちろん筆者も苦行組です。1回最短で制覇するのにおおよそ1時間はかかっていたでしょうか。


FGO大奥イベント 筆者はここに3月31日までに到着していました

最初から説明してほしかった「謎のゲージ」問題

 ロード時間以外にも、最初から仕様が公開されていないゲージの存在も気になりました。「欲望を満たすための大奥で欲望を満たすような行動をすると増えるので気を付けてね」という登場人物からぼんやりした警告を受ける以外は意味不明なこのゲージ。迷宮の最奥部でボスに遭遇したとき「ゲージがたまっているとその分ボスが強くなる」ということがようやく分かるのですが、最短ルートをたどっていても結構な量のゲージがたまります。迷宮の中で集めたアイテムを使えばゲージを減らせるのですが、そのためにはもう一回迷宮を探し回りましょうというお話に。幸い私はこのアイテム探しのあたりでロード時間改善の恩恵を受けることができましたが、最速でプレイしていた人は長いロード時間を耐えながらアイテムを探してさまよったことでしょう。

 このゲージの仕様、公開された後で見れば「増やしてもいいけど減らせるから安心してね、難易度は調整できるよ」というありがたいものなのですが、その仕様を最初から公開しなかったことにはいささか納得がいきません。みんなワクワクドキドキしながらゲージを増やすか減らすか悩みながらプレイしてくれるに違いない、と思ったのでしょうか。


FGO大奥イベント 左側にあるいかにもなゲージの説明はラスト近くまで全くない

新しいことをやろうとして失敗するのが「FGO」

 ゲージはゲームのギミックであるので百歩譲るとして、ロード時間については明らかにゲームの不具合でしょう。不具合を解決しないままゲームをリリースしたのではないか? とすら考えてしまいます。たとえイベント開始を延期しても、最初から高速化されていればゲージについても余計にネガティブなことを考えなかったように思います。

 なぜこのようなことになってしまったのか。延期できない事情がなにかあったのでしょうか。前回のイベントである「旧き蜘蛛は懐古と共に糸を紡ぐ」の開始も遅延しました。実際「開催が遅れます」とアナウンスがあったわけではないのですが、その前に開催していた復刻イベントを延長する際に「次回開催予定の施策開発状況を鑑みまして」という告知があったのです。これを考えると、「大奥を遅らせると2回続けてイベント延期になってしまう」という判断でもあったのかもしれません。表には見えませんが、Twitterで毎日毎日「3月末リリースは絶対です!」と叫んでいたディスガイア(魔界戦記ディスガイアRPG)のような事情があったのでしょうか。



 なおディスガイアRPGは3月22日から28日まで毎日毎日「3月中再開」を主張し、30日に入場制限を設けた状態でのサービス開放を行うも大ブーイングを受けていったんゲームサービスを中断。4月の中ごろまで沈黙した揚げ句「サービス再開には3カ月以上かかりそうです」と主張しております。

 話が逸れました。FGOのイベント延期は先のイベントがはじめてではありません。1日遅れ、というレベルで発生したことはありますし、イベント開催中に「次のイベントの実装は1日遅れになります」とアナウンスがあるのはよくあること。メインシナリオの1.5部ですら「分割開放」を行ったことがあります

 仕様がクソなイベントもはじめてではありません。サーバの強度を考えず時限イベントを実装、人が殺到してはゲームが遊べなくなるを繰り返したはじめてのハロウィーン。HP600万の敵と戦ってうっかり負けたら得るものが一切なしのレイドイベント「鬼哭酔夢魔京 羅生門」、前半引いたガチャの特攻装備が後半一切使えなくなる上シナリオが全くない虚無のクエストを延々やらされる「星の三蔵ちゃん、天竺に行く」などなど、ぱっと思い付くだけでもいくつものクソ仕様イベントが出てきます。

 思えば「新しいことをやろうとするとなにか失敗することが多い」のがFGO。今回の失敗もそのたぐいなのですが、ロード時間の長さについては「新イベの実験だから許して」といわれて納得が行くレベルを通り越していたように思います。


そろそろメインストーリーの方も……

 ここまで長々と文句を言ってきましたが、本当に嫌ならイベントなどやらなければよいだけのことです。ロード時間の問題を除き、ゲージの仕様を考えなければ周回の必要性が低く、素材の配布も多い良イベントでした。ちょっと前に復刻されていたイベント(深海電脳楽土 SE.RA.PH)と対になるキャラクターとストーリーは安定したクオリティーのもので楽しませていただきましたし、対になるキャラクターの死に様までおそろいになっているというのは、今までのイベントを追いかけてきた人間には良いご褒美だったと思います。それだけに、諸々の要素でストーリーを堪能することが阻害されたのが残念でなりません。


FGO大奥イベント 「大奥」のラスボスもこの方とおそろいの死にざまでした

 現在次の復刻イベントが開始されていますが、本編ストーリーの実装が半年近くリリースされていないことになります。クソイベだけならまだしも「FGO」一番の売りであるメインストーリーが遊べない状況で、イベント遅延やトラブルが発生するのは不安を感じます。それにもかかわらず毎年恒例のエイプリルフールアプリは、超ボリュームと作りこみに対して1日限定でリリース。怒りを覚える前に、いろいろと心配になってまいります。アニメや漫画とどんどん展開が広がっている「FGO」。それだからこそ足元をしっかりと固めて、本体であるゲームを盤石にしてほしいと思います。


FGO大奥イベント 1日限定でリリースされたドラクエパロディのアプリ。遊びに本気になる楽しさ、を通り越しているような……

FGO大奥イベントFGO大奥イベント 多数のスタッフ・会社が関わっていた

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