【好きなゲームが世間のクソゲーな人インタビュー】遊ぶべきかどうか自分の目で確かめてほしい「YIIK: ポストモダンRPG」(1/2 ページ)
海外インディー発の、賛否両論を集めた現代RPG。
年末企画「自分の好きなゲームが世間ではクソゲーと言われている人インタビュー」。今回は、世紀末1999年のアメリカを舞台にした、賛否両論のRPG「YIIK: ポストモダンRPG」(PC/PS4/Switch)。
企画:好きなゲームが世間のクソゲー
「これはクソゲー」「あれはクソゲー」と世間は気軽に言うけれど、遊び方も感性も人それぞれ。むしろ、そんな風に言われている作品の魅力を知っている人に話を聞いてみよう。Twitterで募集をかけたら、2〜3人くらい手を上げてくださるのでは?
……と思っていたら、100人くらいから連絡が来ちゃった企画です。編集部のリソース的に可能な範囲で記事化。1日1本ペースだと公開しきるまでに数カ月かかるので1時間に1本ずつ公開します。
「YIIK: ポストモダンRPG」(Nakaiさん/@Nakaiton_Zilla)
「ニンテンドーeショップ」でのキャッチコピーは「ユニーク&ミステリアスが詰め込まれた本格派RPG」。「Mother」などに影響を受けた現代RPGです。個人的には、現実+オカルトという世界観で「少し不思議な現実を冒険している」という感覚になれるのが一番の魅力ですね。
このゲームの魅力
猫を追いかけていって廃工場を探索する、目の前で消えた少女を探すためにネット掲示板で情報を集めて旅に出る、その過程で個性豊かな仲間たちと出会う……など、小さなきっかけから主人公の世界が次第に広がっていく過程がとても好きです。
戦闘中に用いられる武器もレコード、カメラなどRPGとしては変わったアイテム。攻撃や防御はミニゲーム形式で行われるのですが、それらの武器などをモチーフにした個性的な内容になっていて、タダならぬこだわりを感じます。
演出面でいうと、BGMは単体で聴いてもよいのですが、ストーリー各所での使い方がうまく、心に残ります。今でも聴くたびに、ゲーム場面やそのときに感じた気持ちを思い出します。また、和訳も好印象。「チョベリグ」のような日本独特のスラングなどが、違和感がなく組み込まれています。作中に登場するフォーラムを見ていると、本当にネット掲示板を見ている気分にさせてくれます(笑)。
このようにさまざまな要素が個性的で、気に入った人には唯一無二の作品となりえるゲームだと思います。
世間ではクソゲーと言われている理由
散々魅力を語ってきましたが、このゲームはいろいろな問題を抱えています。
まず主人公。作者が描きたかったストーリーの都合で、意図的に性格が悪い人物として描かれています。例えば、留年して大学を卒業したのに定職に就かず親頼りの日々を送っていたり、妹を亡くした青年にきつく当たったり……。この主人公が受け入れられないと、一気に評価が落ちるかと思います。
ストーリーには未解決の謎やとっぴな展開があり、1周目で理解するのは難しいです。自分も初プレイ時は、ラストが思っていたものと違う展開で少し不満でした。
それから、バトルはミニゲームの頻度が多く時間がかかる、後半になると主人公のスキルが強すぎてそれを選ぶだけで終わる、といったバランスの悪さが際立っている印象ですね。
その他、フリーズや強制終了といったバグが多かったり、ゲームの出来とは直接関係しませんが、作中に他のゲームの批判と読み取れるシーンが出てきたり、小説の引用が物議を醸したり(※)……というのも、悪評価を受けている理由になっていると思います。
※小説の引用:AUTOMATONの記事「『YIIK: ポストモダンRPG』開発者に、村上春樹の小説盗用疑惑。意図的な参照であり盗用ではないと反論」が詳しい。ある会話シーンに、『アフターダーク』の一節が使われているという
クソゲーとされる理由に納得できるか
感じ方は人それぞれですし、しっかりプレイしたうえで言っている方も多いと思うので、クソゲーと言われることには納得しています。
ただ先述の通り、気に入った人にとっては唯一無二になりえる可能性も秘めているので、炎上や他の人の感想を見るだけで済ませるのは、もったいないと思います。
自分の目でPVなどを見て心に来るものがあったら、手に取って(DL版しかないけど)みてほしいゲームです。ちなみに、今からプレイするならSteam版がおすすめです。
編集部による補足情報
本作がいかに個性的なゲームであるかは、ゲームメディアでの扱い方からも読み取れます。本作を形容した表現をいくつか引用してみましょう。
「ポストモダン」「サイケデリック」「文化系ボンクラ」「セカイ系現代RPG」「米国産JRPG」と、見事なほどにバラバラな言葉が集まります。文化系ボンクラは別にサイケデリックではないし、アメリカで作ったJRPG=セカイ系現代RPGでもありません。
これだけ見てもどんな内容なのかさっぱり分かりませんが、そこはまあ「自分の目でPVなどを見て心に来るものがあったら、手に取って(DL版しかないけど)みてほしいゲーム」ということで。
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