新津駅「新潟たれカツ重」(900円)〜駅弁屋さんの厨房ですよ!(vol.21「三新軒」編-4)
毎日1品、全国各地の名物駅弁を紹介! 新津駅「新潟たれカツ重」です。
【ライター望月の駅弁膝栗毛】(初出:2020年2月13日)
新潟〜酒田・秋田間を、白新線・羽越本線経由で結ぶ特急「いなほ」号。
新潟駅では5番線に発着し、上越新幹線「とき」と同一ホームでの乗り換えが可能です。
新潟〜鶴岡・酒田間は、約2時間の乗車、秋田までは3時間半あまりの旅。
私の経験上、ホーム売店は駅弁の数が少なめなので、新潟の豊富な駅弁ラインアップからチョイスしたいときは、1度階段を下りて、下の階の売店を利用するのがお薦めです。
ライター望月が、全国の駅弁屋さんを訪問して、製造現場をレポートしながら、トップの方にお話を伺っている特別企画「駅弁屋さんの厨房ですよ!」。
第21弾は、創業90年あまりの歴史ある新津駅の駅弁屋さん、「株式会社三新軒」の遠藤龍司社長に登場いただいています。
今回は、三新軒の駅弁作りのこだわりを訊いていきましょう。
上越新幹線の開業を機に「新潟駅」へ!
―昭和57(1982)年の上越新幹線の開業は、やはり大きなターニングポイントでしたか?
確かに、新津を通っていた特急列車が通らなくなりましたから。
当時はもっぱら「新幹線が開業したら駅弁が売れなくなる」と悲観論が主流だったんですが、私はむしろ「売れるようになる」と踏んでいました。
予想通り、たいへん多くの方に新潟へお越しいただきました。
三新軒も開業に合わせて、新潟駅と燕三条駅に「ときの店」というお店を出しました。
―私の記憶では確か、新潟駅は新幹線と在来線の乗換改札のところに「ときの店」があって、とても重宝だったんですが、当時はどんな駅弁を?
新幹線が開業したときは、事実上、各社競作のように「鮭の押寿司」を作っていましたね。
三新軒は昔、佐渡に鮭の養殖場を持っていましたので、その生鮭を使っていました。
当時は売れる日とそうでない日の差が激しくて、製造個数を読むのがとても大変でした。
そのころは消費期限が4時間くらいの駅弁も多くて、新潟駅までの移動・搬入に約1時間は見ないといけませんから、実質2時間くらいで売り切る必要があったんです。
―昔の売店の写真を見直すと、駅弁だけではなく、土産物も結構扱っていましたよね?
この土産物も、たいへん多くのお客様にお買い求めいただきました。
上越新幹線から開業して数年間は、とにかく「キーホルダー」がよく売れたんです。
当時のキヨスクの人たちと、「どうしてキーホルダーなんだろう?」と話した記憶があります。
いま思うと、(殆ど新潟らしさがないものを買われていたのが)とても不思議なんですが…。
そういう時代だったんでしょうかね!?
お米の味は、田んぼ1枚1枚違う!
―新潟の駅弁屋さんはみなさん、米にこだわっていますが、「三新軒」もそうですよね?
新潟県産コシヒカリ100%です。
お米って、田んぼ1枚1枚、味が違うんです。
日当たりも違いますし、風の回りも違いますし。
炊き方は、他の駅弁屋さんにはないと思いますが、4升釜に「3升」炊くようにしています。
コレ、4升釜に4升だと、味が落ちるんです。
―食材には、どんなこだわりがありますか?
新潟らしい駅弁を出すことは大事だと思います。
ただ、地産地消にこだわり過ぎず、「美味しいもの」を優先して出すようにしています。
特に魚は、たまたま水揚げされた港に過ぎませんから。
(新潟の駅弁屋さんの技を活かした)美味しいものを、他の地域にもお届けしていくことで、各地域の方に、新潟の駅弁を知っていただくことも大事なことではないかと考えています。
(株式会社三新軒・遠藤龍司社長インタビュー、つづく)
三新軒で「新潟らしさ」を感じさせる駅弁の1つが、「新潟たれカツ重」(900円)。
新潟市では、一般的な卵とじのかつ丼ではなく、揚げたてのとんかつを醤油ベースのタレにくぐらせてご飯の上に乗せる「かつ丼」が定番とされています。
昭和初期、新潟市中心部にあった堀の堀端に出ていた洋食屋台の1つが、この「たれカツ丼」を提供したのが始まりとされているそうです。(参考)新潟県観光協会ホームページ
【おしながき】
- 白飯(新潟県産コシヒカリ)
- 越後もち豚のかつ
- 千切りキャベツ
- 赤かぶの酢漬け
- ふき山椒
コシヒカリの白いご飯に千切りキャベツが敷かれ、その上にたれに浸されることで、少しウェットな食感になった「越後もちぶた」のロースかつが3枚載っています。
駅弁らしく“冷めてもやわらかい”を実現するために、豚肉は味噌漬けにしたものを使用。
なるほど、肉のうま味を活かしたコクのある味とやわらかさを1度に実現しています。
重すぎず、軽すぎない食感で、3桁の価格帯に抑えているのも好印象な駅弁です。
越後・庄内の稲作地帯を駆け抜ける特急「いなほ」号。
消費者からすると、産地が同じなら味は同じと思いがちですが、人間の個性がひとりひとり違うように、じつはお米も、田んぼによって個性が異なるものなのでしょう。
その意味で、細かい産地よりも炊き方という哲学は、1本筋が通ったものと言えそうです。
いよいよ次回、三新軒・遠藤社長のインタビュー、ラストです。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/
おすすめ記事
関連リンク
Copyright Nippon Broadcasting System, Inc. All Rights Reserved.
-
21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
-
生後5日の赤ちゃん、7歳のお姉ちゃんから初めてミルクをもらうと…… 姉も驚きの反応がかわいい
-
9カ月の赤ちゃん、バスで外国人の女の子赤ちゃんと隣り合い…… 人生初のガールズトークに「これは通じあってますね!」「ベビ同士の会話、とろけます」
-
【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
-
「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」 こだわり満載のクラシカルな一着に「すごすぎて意味わからない」「涙が出ました」
-
大谷翔平選手、ハワイに約26億円の別荘を購入 真美子夫人とデコピンとで過ごすかもしれないオフシーズンの拠点に「もうすぐ我が家となる場所」
-
「ケンタッキー」新アプリに不満殺到 「酷すぎる」「改悪」の声…… 運営元「大変ご迷惑をおかけした」と謝罪
-
「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
-
「ハーゲンダッツ硬すぎ!」と力を入れたら……! “目を疑う事態”になった1枚がパワー過ぎて約8万いいね
-
「そうはならんやろ」をそのまま再現!? 「ガンダムSEED FREEDOM」のズゴックを完全再現したガンプラがすごすぎる
- 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
- 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
- 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
- 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
- “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
- 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
- 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
- お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
- 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
- 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
- フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
- 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
- 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
- フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
- スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
- 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
- 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
- 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
- がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
- 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」