WACK渡辺淳之介の言葉はどのようにクリエイトされているのか 思考のプロセスを聞いてみた(2/2 ページ)
渡辺 やりましょう! 名前はなんていうんですか?
―― 大原絵理香です。
渡辺 大原っていうと、櫻がついた名前しか付けたくなくなるなあ(笑)。そうだな……まずは「エリカ・パトゥ」。
―― バドゥの人なら知っています。
渡辺 (笑)。それか「エレエレクトリカ」。僕、「エリ・エリ・レマ・サバクタニ」という映画が大好きなので、エリにしようかなって思ったんですが、書いていたら間違えてエレになっちゃいました(笑)。まあでも、エレクトリカルパレードも大好きなんで、これでいいかなって。エレクトリカならエリカにもなるし。
―― 本当にそんなテンションで決まっていくんですね(笑)。
渡辺 そうですね。あとそうだなあ、ユリイカみたいなノリで「エリイカ」……いや、これはやめましょう(笑)。どれが好きでした?
―― 「エリカ・パトゥ」か「エレエレクトリカ」かなあ……(ここでマネージャーさんが「エレ・エレクトリカ」にしたらかわいいですね!」とアドバイス)。
渡辺 じゃあ「エレ・エレクトリカ」ですかね。ぜひ使ってください!
WACKの社是は「ちんこと言える世の中を。」――渡辺が感じる今のインターネット
―― ありがたき幸せ! お話に戻りますが、WACKは社是に「ちんこと言える世の中を。」を採用しているじゃないですか。型破りな社是ですがメッセージはシンプルですよね。渡辺さんにはいまの世の中がどんな風に見えていますか?
渡辺 僕からすると生きづらい世の中になってしまったなというのが正直なところです。インターネットの普及によっていろんなスキャンダルが必要以上に叩かれるようになってしまった。もちろん、正義感からという側面もあるとは思いますが、そこまで叩くのか……っていう。
少し前に“バカッター”みたいなワードもありましたが、自分が中高校生のころを考えると、馬鹿なことをした覚えもあるから、他人事じゃない。もちろん悪いことは悪いけど、必要以上に叩かれることで一生を潰される可能性だってある。それってすごく寂しい社会だなと。
―― 実際に事件につながったケースもありました。WACKとして、ネット上のトラブルのために気を付けていることや、会社として行っているリスクヘッジなどはあるのでしょうか?
渡辺 うちは「捕まることはやめましょう」ってくらいですね。あとは、インターネットで人の悪口は言わないようにしようとは伝えています。悪口を言うと、それだけで敵ができてしまって、それは良くないことなので。
―― 過去に何か炎上につながったことはありますか?
渡辺 男の子といるのを撮られたとか、未成年飲酒とかはありましたね。でもそんなに気にしていないです。以前外国語で非難っぽいリプがすごく来るようになってしまったメンバーがいて。彼女自身すごく焦っていたのですが、そのときは「3日待ってみろ」と言いました。
炎上の中で一番リスクがあることって、炎上中に燃料を投下してしまうことなんです。特に、ひよって発言してしまう失言のようなものが一番燃料になる。それをみんなが欲しくて煽ってくる。なので、こちらに非がないのであれば基本的には無視するのが一番です。
―― それは経験上?
渡辺 そうですね。僕自身、何度も炎上したことがありますが、基本的に一週間もすればみんな忘れてしまうくらいだと思ってます。
―― 渡辺さんにとって、インターネットは良いものではないのでしょうか。
渡辺 炎上やデジタルタトゥーといった観点で見たネットはもちろん良いものではないのですが、それを抜かせばいいことだと思うんです。まっとうにいいものがいいと評価してもらえるのは仲介や媒体が存在しないインターネットならではのことかなと思いました。
それを考えると、世界を平等にしてくれたのもインターネットだと思っています。
ただ、僕の世代くらいが一番割りを食っているかもしれないですが……。
―― 割り?
渡辺 もう若くないし、才能とか言っていられないし、インターネットで勝負しようとしてもそれだけじゃ難しいし、変な大人にこびへつらうことも覚えてしまったし……。それらがすごい足かせのように感じています。自分が突き抜けなかったのがいけないんですが(苦笑)。
いまの若い子たちは自由なので、うらやましさはあります。ねたみに近いものだとは思いますが。
―― 年末っぽいお話もお聞きしたいのですが、2020年を振り返ってみていかがですか?
渡辺 2020年は本当にいろんな事件が起きましたし、思ったような活動をすることもできず、用意してきたことも全て白紙になるようなこともたくさんあって。何も考えずに突っ走ってきた人間でも一度立ち止まって考えを改め、見返す時間ができたという意味では良いことだったとは思います。が、アーティストにとっては本当に辛い1年だったと思います。
僕も元はそうでしたが、一般社会でサラリーをもらって働いている人からは理解できないかもしれません。本当にこの1年はライブは全くできないし、どうしようもなかったと思います。それなのに、自分たちのやっていることが不要不急のように言われてしまったので、相当追い詰められてしまった人も多かったと思います。ギリギリのところで戦ってくれている人たちには感謝しかないですね。
―― 2021年もまだエンタメは厳しいムードが続きそうです。2021年以降の抱負などがあれば教えてください。
渡辺 まだまだ厳しい状況は続くと思うので、僕たちとしてはやっぱり誰一人死ぬことなく生きて、正義と正義がぶつからないような1年であればいいなと思っています。
粛々と生きつつも……でも、せっかくなので配信ライブでしかできないことをやってみたいと思っています。お正月にはお披露目するんですが、普通のライブではなくこの状況じゃなきゃできないことをしたいと思ってます。あとは、コロナが落ち着いたら、ファンたちみんなとキスがしたい! 男の人も女の人も、OKであればみんなでキスをするキス会をしたいですね。唇が腫れるくらいの(笑)。
―― そのときはお伺いさせていただきます!
渡辺 ありがとうございます! 楽しみにしています(笑)。
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