「さようなら」の前に、「新世紀エヴァンゲリオン」テレビ版/旧劇場版を見る 碇シンジが導く、物語の一本線(1/3 ページ)
「エヴァ」の骨子をいま一度見つめなおす。
「さようなら、全てのエヴァンゲリオン」。この度公開された「シン・エヴァンゲリオン劇場版」予告編の最後を飾る、碇シンジ(緒方恵美)の万感の思いを込めたセリフだ。
「Q」ラストでのタイトル発表時から「ヱヴァンゲリヲン」ではなく「エヴァンゲリオン」であることが注目されていた同作だが、ポスターのテキストと相まりこれまでのシリーズとの接続が期待される一作であるとの予想がいっそう強くなっている。
庵野秀明は、今再び、何を作ろうとしているのか? それを探るには過去作を見ていくしかない。本連載では「シン・エヴァンゲリオン劇場版」公開まで約2カ月、これまでの庵野監督作品を一気に振り返る。
連載記事一覧
- 第1回:「トップをねらえ!」「ふしぎの海のナディア」レビュー
- 第2回:「ラブ&ポップ」「式日」「キューティーハニー」レビュー
- 第3回:「新世紀エヴァンゲリオン」テレビ版/旧劇場版レビュー
- 第4回:「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序/:破/:Q」レビュー
- 第5回:「シン・ゴジラ」レビュー
- 第6回:「シン・エヴァンゲリオン新劇場版」レビュー(ネタバレなし)
※一部補足情報を追記(2021年1月30日)
「新世紀エヴァンゲリオン」テレビ版(1995年〜1996年)/旧劇場版(1997年)
1995年に放映された「新世紀エヴァンゲリオン」のテレビ版。そのストーリーを簡易的に総括するのであれば、碇シンジという少年の成長物語(であろうと思われたそれ)は物語が進行する上で次第に壊れていき、たどり着いた結末は「現実世界での出来事を明かさず、登場人物の内面描写に終始する」というものだった。
関係者間でも「なぜこのようなラストになったのか」という理由は各インタビューでも情報は統一されていない。ただ、このような終わりがその後の熱狂的なブームを巻き起こしたのは確かだろう。その「謎を最後まで明らかにしない」、というつくりは、いまでもエヴァンゲリオンという作品がもつ魅力の大きな部位を占めている。
1997年春にはテレビ版の総集編である「DEATH」編及び、「Air」冒頭パートにあたる「REBIRTH」編をカバーした「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生」が公開。そして同年夏、満を持して旧シリーズの完結編にあたる「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に」が公開された。
そこでは「人類補完計画」が一体どのようなものであったのか、ゲンドウの目的は何か、エヴァンゲリオンとはそもそもなんのための存在か……など、作中における現実パートを補完しながら物語の種明かしが行われた。
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