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» 2021年01月09日 19時30分 公開

「シン・エヴァ」公開まで泣いても笑ってもあと2週間 「ヱヴァ新劇場版」の14年間を振り返る (1/3)

公開まで、あと2週間。

[将来の終わり,ねとらぼ]

 エヴァンゲリオンが、ついに完結する。庵野秀明は、今再び、何を作ろうとしているのか? それを探るには過去作を見ていくしかない。本連載では「シン・エヴァンゲリオン劇場版」公開まで約2カ月、これまでの庵野監督作品を一気に振り返る。



 2006年。NewType誌で報じられた「REBUILD OF EVANGELION」のキャッチコピーを目にしたとき、熱心なファンであれば「またか」と思っただろう。というのも2003年に大々的なプロモーションを打ち、同じくNewType誌で「エヴァ再起動」「リメイクではなくリニューアル」「RENEW」「PROJECT【re】」などと銘打ったのが、蓋を開けてみればただのデジタルリマスターであった※……という経緯がある。

庵野 ※リマスター自体はとても良くできており、旧来のDVDから画質・音質が大幅に向上した。この時期に制作された「残酷な天使のテーゼ」フルサイズOP(DVD「01 TEST-TYPE」/BD BOXなどに収録)は摩 砂 雪監督によるもので、「リニューアル」最大の成果と言っても過言ではない。2018年にはアップデート版がYouTube上に公開。これまでに2300万回以上の再生を記録している(画像はYouTubeより

 さらに「:序」の公開同年には、テレビシリーズ終了後に乱発されたエヴァゲーの中でも最大の迷作「名探偵エヴァンゲリオン」が発表されていたこともあり、新劇場版に対する期待はかなり薄いものだった。


 また、上映に先駆けて公開された庵野秀明の所信表明(関連記事)を読んでみると、「この12年間エヴァより新しいアニメはありませんでした」との挑戦的な宣言や、「閉じて停滞した現代には技術論ではなく、志を示すことが大切」と期待が高まる文言が並ぶ一方で、「劇場用映画として面白さを凝縮し、世界観を再構築」「気分を一新した現代版のエヴァンゲリオン世界を構築」など、どうも歯切れが悪いところもあり、「本当に完全新作なのか?」という思いを抱きながら「:序」が公開される劇場に向かったことを覚えている。


「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」(2007年)

 かくして公開された「:序」は、テレビシリーズの「使徒、襲来」から「決戦、第三新東京市」を新たに描き直した、それこそ「リニューアル作品」に過ぎないように思えた。絵のクオリティーはもちろん、音響もデジタルリマスター時の経験が生かされたためか、劇場用に大きくブラッシュアップされ、旧作と比べようもないほど進化している。

 しかしストーリーについては旧劇場版を思わせる赤い海や、月面の渚カヲルのセリフからすぐに「ループ説」が囁かれたりしたものの、一部設定を除き大きな変更点は少ない。そのため公開後のインターネット上のトピックは主に第6の使徒の形態変化、そして次回予告であった。

ダイジェスト これまでの『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』

 特に「月より飛来するエヴァ6号機」というこれまでのシリーズではあり得なかった展開や、ゲンドウのセリフによって明かされた「今回の使徒が全12体」という情報から、1993年に作成されたという企画書「人造人間『エヴァンゲリオン』(仮題)」の一部設定を想起したファンも少なくなかったはずだ※。

※同企画書の第24話「今、契約の時」では、最強の12使徒が月より襲来。6号機に関する記述も存在した

 旧作からのファンとしては物語に真新しさがない以上、このような「旧作との差異を探す」「設定をとにかく妄想する」楽しみ方をする他なかったものの、映画は20億円の大ヒット。2004年に稼働開始となった「CR新世紀エヴァンゲリオン」シリーズの継続的な人気に支えられた側面も無視できないが、「エヴァンゲリオン」というIPがいまだ健在であることを見せ付ける結果となった。


「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」(2009年)

 「:序」から約2年後に公開となった第2作「:破」。「奇跡の価値は」「命の選択を」「男の戦い」を主軸としながらも、本編開始早々にテレビシリーズ未登場使徒と新エヴァ・及びパイロットの戦闘が始まり、2号機の登場シークエンスも丸々変更。これまでのエヴァンゲリオンのストーリーを文字通り破壊していき、同時に各キャラクターから受ける印象も大きく変わる。

庵野監督による「:序」〜「:Q」のダイジェスト

 印象の変化は、単純にシンジ、レイ、アスカ、ミサトといった主要人物のコミュニケーションが正常に機能している、ということによるものではない。テレビシリーズでも中盤までは、彼らの関係性は決して悪くなかった。ただ本作では分かりやすく、人の意志が物語の行き先を変える、という物語の筋道が整えられている。それは「せめて、人間らしく」と同じ構図を用いたエレベーターのシーンで「過去とは違う」という主張を明確なものとし、クライマックスで爆発する。

テレビ版と同じ構図の直後、アスカのビンタを受け止め自らの意思を伝えるレイ/「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」より

 これらの展開はもちろん分かりやすく「アツ」く、エンターテインメントとして優れているのは否定できない。碇シンジが成長し、自分の意志と願いを元に行動する姿は強く胸を打つものである。ただし同時に、かつてのスピンオフ作品「碇シンジ育成計画」「鋼鉄のガールフレンド」のような中盤の展開に対し、「本当にみたかったエヴァンゲリオンの新作はこれか?」という感情が起こったのも確かだ。


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