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» 2020年11月21日 11時30分 公開

庵野秀明は再び、何を作ろうとしているのか? エヴァ完結に備え「トップをねらえ!」「ふしぎの海のナディア」を見る(1/2 ページ)

今だからこそ見よう。

[将来の終わり,ねとらぼ]

 エヴァンゲリオンが、あと2カ月で終わる。

 1995年に始まったアニメ放送から25年。当時碇シンジと同い年だった人間も、とうとう40歳になろうという今日である。地上波版26話、旧劇場版、無数のメディアミックスを経ての2007年、再度世に現れた新劇場版。「またエヴァか」と思ったその日からも、もう14年が過ぎようとしている。

「エヴァ」はくり返しの物語です。

主人公が何度も同じ目に遭いながら、ひたすら立ち上がっていく話です。

わずかでも前に進もうとする、意思の話です。

曖昧な孤独に耐え他者に触れるのが怖くても一緒にいたいと思う、覚悟の話です。

同じ物語からまた違うカタチへ変化していく4つの作品を、楽しんでいただければ幸いです。

/庵野秀明総監督 所信表明文「我々は再び、何を作ろうとしているのか?」より引用

 庵野秀明は、今再び、何を作ろうとしているのか? それには彼が今まで作ってきたものを見ていくしかない。「シン・エヴァンゲリオン劇場版」公開まで約2カ月。本連載ではこれまでの庵野秀明監督作品を一気に振り返る。

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』ティーザーポスター/『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 全記録全集』p.472より

熱血ロボット根性ロマン「トップをねらえ!」(1988年〜1989年)

 庵野秀明のキャリアを飾る初監督アニメ「トップをねらえ!」は、全6話のOVA作品。不朽のスポ根・熱血テニス漫画「エースをねらえ!」と、空軍戦闘機パイロットの悲喜こもごもを描いた「トップガン」を組み合わせた異色タイトル。

 炎の熱血友情ハードSF宇宙科学勇気根性努力セクシー無敵ロボットスペクタクル大河ロマンというキャッチフレーズにも表される通り、等身大の主人公タカヤ・ノリコと才能あふれるアマノ・カズミの関係を主軸としながらも、舞台は学園からやがて銀河へ。宇宙怪獣と闘う「ガンバスター」のパイロット候補となったノリコが戦いの日々のなか成長し、鬼コーチ、オオタ・コウイチロウの指導のもとついには地球を救うーーという、一大スペースオペラとなっている。


 「スポ根とロボットバトルがどう組み合わさるのか?」視聴者の間に当然発生する疑問を説得するため、本作ではとにかく絵の持つ力にこだわる。それはすなわちロボットでの走り込み、組体操といったどこまで本気で見ていればいいのか分からない描写に始まり、レオタード姿に鉄ゲタで階段を走り込む先輩パイロットという、ツッコミが追いつかないシーンにまで発展。

 それらを照れやごまかしなしに強引に本作内のリアリティーとして提示し、この世界の中に視聴者ごと放り込むことで、ストーリーの展開と同時に重厚になっていく人間関係・人類の危機に対して笑いの余地を挟ませないことに成功している。

 前編の学園描写の明るさからどんどん乖離し、敵の数が基本的に億単位というインフレ、病に犯されるコーチとカズミの恋愛模様など、一歩間違えれば完全にギャグになりかねないものに対し、疑問を持たせないよう非常にうまくさばいている。

 そして苛烈を極めていく戦闘の中、ジリ貧に陥ってきた人類を救うべくついに「ガイナ立ち」にてその姿を表す人類最強兵器・ガンバスター。全長200mの勇姿が宇宙怪獣を次々と必殺技で爆破していく様に感じるのは、これまでの鬱屈を吹き飛ばすほどの開放感。どうしてもアガらざるを得ない展開となっている。

人類最強の合体マシーン兵器・ガンバスター(『トップをねらえ!』5話より)

 また本作について語るとき、どうしても外せないのはウラシマ効果である。地球から離れて超光速移動を繰り返す主人公らは時間的に取り残され、地球では何年という年月が経過している……という現象。

 感動的なラストシーンはもちろんのこと、作中何度も登場するノリコの親友・キミコの描写が非常に手厚い。変わらぬままのノリコに対し子を産んで母となり、老いていくキミコ。キミコの存在は物語後半、ノリコにとってかけがえのない地球とのつながりになるが、彼女にとって過去にいるはずのノリコが娘にとっての未来を守っているという逆説的な面白さを感じる。

一番の親友であるノリコを見送るキミコ(『トップをねらえ!』5話より)

 落ちこぼれパイロットの成長と女同士の友情、そしてとにかくカッコいい、胸を熱くするロボットバトル――それらがここぞとばかりに詰め込まれた傑作。11月27日からは本編全6話の劇場公開が決定している。見直すのであればぜひこのタイミングに。


大人は大人、子供は子供「ふしぎの海のナディア」(1990年〜1991年)

 時は19世紀末、パリ万国博覧会。飛行機コンテストに出場するためやってきた少年・ジャンは、怪しげな一味に追われる美少女・ナディアを助けることに。彼女の持つ宝石・ブルーウォーターを狙う彼らから逃げる途中、ジャンとナディアは万能潜水艦ノーチラス号船長・ネモに救われる。

 ネモ船長らはアトランティス帝国の末裔を名乗る秘密組織、ネオ・アトランティスと戦いを繰り広げており、ネオ・アトランティスの統領であるガーゴイルもまた、ブルーウォーターを求めていた……というストーリー。


 キャラクターデザインが「エヴァ」同様に貞本義行ということ、またヒロインであるナディアの魅力から今でも根強い人気のある本作は2020年12月、ブルーレイボックスの再販が決定。2021年には関係資料を集めたナディア展も予定されている。


 もともと本作の始まりは宮崎駿の手による企画書「海底世界一周」。一度は頓挫したその企画をNHKがすくい上げ、ガイナックスが引き継いだという経緯がある。庵野らは制作にあたり「天空の城ラピュタ」のエッセンスも盛り込んだ上で、「謎の宝石をめぐる少女と少年の冒険活劇」という骨子はそのままに、古代アトランティス帝国の秘密およびネオ・アトランティスとの戦い、少女の秘密、かつ大人たちの戦いの中で成長していく少年少女のキャラクターといった面で独自色を発揮した。

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