仏名優ジャン=ポール・ベルモンド逝去に元仏代表ジダンら追悼 仏では『ルパン三世』『コブラ』に影響と報道も(1/2 ページ)

フランスの“国宝”とマクロン大統領。

» 2021年09月08日 13時20分 公開
[城川まちねねとらぼ]

 「勝手にしやがれ」(1960年公開)「気狂いピエロ」(1965年公開)などで知られるフランスを代表する俳優ジャン=ポール・ベルモンドが9月6日(現地時間)、パリの自宅で亡くなりました。88歳でした。日本ではヌーヴェルヴァーグを代表する俳優という印象が強い一方、フランスでは危険なアクションをこなし強靭な肉体を持つイメージも強い俳優でした。バンドデシネ(フランス・ベルギーを中心とした漫画)のヒーロー像にも影響を与え、スポーツ愛好家でも知られるベルモンドの死を多くの人が悼み、仏国内外のメディアが報道しています。

ジャン=ポール・ベルモンド エマニュエル・マクロン エマニュエル・マクロン大統領も追悼(画像はエマニュエル・マクロン大統領のInstagramから)

 エマニュエル・マクロン仏大統領は自身のSNSで「彼はずっと“ル・マニフィック”(※素晴らしい人という意味、主演した1973年の映画『おかしなおかしな大冒険』の原題)です」とコメント。「ジャン=ポール・ベルモンドは国宝であり、豪快ではじけるような笑いに満ち、大きな声としなやかな身体、気高いヒーローであると同時に親しみやすい存在、疲れを知らない無鉄砲な人であると同時に言葉の魔術師でもあった。彼の中にみんな、自分自身を見いだしました」とベルモンドについて表現しました。

ジャン=ポール・ベルモンド ジダン 元フランス代表のジダンが公開したサッカーをするベルモンド(画像はジネディーヌ・ジダンのInstagramから)

 スタントを使わず自ら激しいアクションに挑む作品で次々とヒットを飛ばしたベルモンドは、香港の俳優ジェッキー・チェンらによる後年のアクション映画にも影響を与えたといわれています。スポーツ愛好家で、観戦はもちろん激しいアクションをこなす基盤となる身体を作るためにも自ら競技に取り組んでいました。元サッカー選手のジネディーヌ・ジダンは自身のSNSへ「ジャン=ポール・ベルモンド、“ル・マニフィック”。みんなが愛した偉大な人」とベルモンドがサッカーをする姿など数枚を公開して追悼しています。

 東京オリンピックでは個人で銅、団体で金を獲得したフランスの柔道家テディ・リネールは、ベルモンドと撮った写真をSNSに公開し「伝説的な俳優であり、スポーツに情熱を注ぎ、唯一無二のプロフェッショナルであるこの偉大な人物に会えたことは、私にとって大変光栄なことでした」と追悼。「私の思いは彼の家族と友人にあります。さようならムシュー・ベルモンド、安らかに眠ってください。私たちに残してくれた全てに感謝します」とコメントを添えました。

ジャン=ポール・ベルモンド パリ・サンジェルマンFC PSGへは初期に出資していた(画像はパリ・サンジェルマンFCのInstagramから)

 仏パリに拠点を置くサッカーチーム、パリ・サンジェルマンFCは設立当時、ベルモンドが出資していたことが知られています。同チームは「ジャン=ポール・ベルモンドが月曜に88歳で亡くなったことを知り、パリ・サンジェルマンFCファミリー全員が深く悲しんでいます」との声明を発表。「私たちの“ベベル”はずっとフランス国民から愛される俳優の1人であり、ゴールキーパーとして熱心にプレイしていたサッカーに夢中でした」とコメントし、ベルモンドの家族と友人にお悔やみを述べています。

 また若いころから、テニスの4大国際大会全仏オープンを観戦することも多かったベルモンド。大会公式SNSは観戦中のベルモンドの写真とともに「偉大な俳優のジャン=ポール・ベルモンドが亡くなったことを知り悲しみに暮れています。全仏オープンは最も忠実な恋人の1人を失った、孤児となりました」とベルモンドが同大会に大変な情熱を注いでいたことを明かしています。

ジャン=ポール・ベルモンド ローランギャロス 全仏オープン 全仏観戦中のベルモンド(画像は全仏オープンのInstagramから)

 ベルモンドはバンドデシネにも大きな影響を与えていました。『孤独のグルメ』作画の故・谷口ジローさんが影響を受けていたことを公言していた仏漫画家ジャン・ジロー(※メビウスの本名)の代表作「ブルーベリー」はベルモンドにインスパイアされたもの。

 また仏Le Figaro紙では「日本でもジャン=ポール・ベルモンドの男性的でゆったりした雰囲気が模倣されている」として故モンキー・パンチさんの『ルパン三世』と寺沢武一さんの『コブラ』を例に挙げました。さらに「寺沢武一さんは『コブラ』を制作する際に「ベベル」の体格だけではなく彼の演じるキャラクターの特徴(魅惑的、シニカル、口うるさい)からもインスパイアされた」とも付け加えられています。

 カンヌ国際映画祭のTwitterは、ベルモンドが名誉賞であるパルム・ドール・ドヌールを受賞した2011年でのエピソードに写真を添えてツイート。「カメラマンたちは“彼に拍手を送るため”と階段にカメラを置いた。人として、俳優としての度量の広さが映画史に残る名場面を生み出した。ありがとうジャン=ポール」とベルモンドをたたえ追悼しました。

 仏パリのアンヴァリッドでは9日に故人を追悼する国家式典が催され、葬儀は10日にサン=ジェルマン=デ=プレ教会で執り行われる予定です。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2502/01/news016.jpg 消波ブロックの隙間にカニカゴを仕掛けたら…… 「うそでしょ!」“想像を絶する結果”に大興奮「見てて声出た」
  2. /nl/articles/2501/31/news050.jpg 「許されると思ってんの?」 スマホのアラームを設定→翌朝…… “絶望の通知内容”が430万表示 「ほんとこれ」
  3. /nl/articles/2502/02/news005.jpg 「正直破格です」 成城石井の元店長が辞めてからも買い続ける“名品”がリピ必至 「ヨダレが出そう」
  4. /nl/articles/2501/31/news013.jpg これは“1秒”で解きたい! 「8×2×0÷4」の答えは? 【算数クイズ】
  5. /nl/articles/2502/01/news047.jpg 【編み物】彼氏のために、緑と黄緑の毛糸を正方形に編んでつなげると…… 圧巻のおしゃれな大作完成に「息をのむほどすばらしいよ」
  6. /nl/articles/2502/02/news069.jpg 「レベル間違えてる」 イオンの“1944円恵方巻”、衝撃ビジュアルにネット大騒然 「なにこれ」「本気かよ」
  7. /nl/articles/2502/02/news038.jpg 100均ビーズをどんどんテグスに通していくと…… うっとり見入る完成品に世界が注目「これは傑作」「どれも可愛いいい!」
  8. /nl/articles/2502/02/news003.jpg 「こんなお母さんになりたい」 北海道で暮らす67歳女性の“手作り料理”がすてき 「参考にしたい」「ぱぱっと作ってみな美味しそう」
  9. /nl/articles/2502/02/news027.jpg 「この子はきっと豆柴サイズ」と言われた子柴犬、4年後の姿が大きな話題に…… それから約1年たった“現在の様子”を聞いた
  10. /nl/articles/2501/30/news003.jpg 親の反対を押し切り、17歳で同棲を開始→それから13年後…… 若くしてママとなった女性の“現在”が話題
先週の総合アクセスTOP10
  1. 風呂に入ろうとしたら…… 子どもから“超高難易度ミッション”が課されていた父に笑いと同情 「父さんはどのようにしてこのお風呂に入るのか」
  2. DIYで室温が約10℃変わった「トイレの寒さ対策」が310万再生 コスパ最強のアイデアへ「天才!」「これすごくいい」
  3. 岡田紗佳、生配信での発言を謝罪 「とても不快」「暴言だと思う」「残念すぎ」と物議
  4. スーパーで買った半玉キャベツの芯を植え、5カ月育てたら…… 農家も驚く想像以上の結末が1300万再生「凄い」「感動した」
  5. 東京藝大卒業生が油性マジックでサンタを描いたら? 10分で完成したとんでもない力作に「脱帽です」「本当にすごい人」
  6. 定年退職の日、妻に感謝のライン → 返ってきた“言葉”が約200万表示 大反響から7カ月たった“現在の生活”を聞いた
  7. 【ヤフオク】“3万円”で購入した100枚の着物帯 →現役着付師が開封すると…… “まさかの中身”に驚き
  8. 「立体的に円柱を描きなさい」→中1の“斜め上の解答”に反響「この発想は天才」「先生の優しさも感じます」 投稿者に話を聞いた
  9. 「すんごい笑った」 “干支を覚えにくい原因”を視覚化したイラストが勢いありすぎで1700万表示の人気 「確かにリズム全然違う!」
  10. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. ドブで捕獲したザリガニを“清らかな天然水”で2週間育てたら…… 「こりゃすごい」興味深い結末が195万再生「初めて見た」
  2. 「配慮が足りない」 映画の入場特典で「おみくじ」配布→“大凶”も…… 指摘受け配給元謝罪「深くお詫び」
  3. 母「昔は何十人もの男性の誘いを断った」→娘は疑っていたが…… 当時の“モテ必至の姿”が1170万再生「なんてこった!」【海外】
  4. 風呂に入ろうとしたら…… 子どもから“超高難易度ミッション”が課されていた父に笑いと同情 「父さんはどのようにしてこのお風呂に入るのか」
  5. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  6. 市役所で手続き中、急に笑い出した職員→何かと思って横を見たら…… 衝撃の光景が340万表示 飼い主にその後を聞いた
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. DIYで室温が約10℃変わった「トイレの寒さ対策」が310万再生 コスパ最強のアイデアへ「天才!」「これすごくいい」
  9. 「こんなおばあちゃん憧れ」 80代女性が1週間分の晩ご飯を作り置き “まねしたくなるレシピ”に感嘆「同じものを繰り返していたので助かる」
  10. 岡田紗佳、生配信での発言を謝罪 「とても不快」「暴言だと思う」「残念すぎ」と物議