「ないことこそが豊かさ」――新宿駅に登場したあまりにも素朴で肩の力が抜ける広告、そこに書かれた「おだかる」とは……?

1度“ゼロ”になったまちの素直で前向きな言葉が、都会で働く“誰か”にきっと響く……!

» 2023年02月28日 10時30分 公開
[宮原れいPR/ねとらぼ]
PR

 人々が足早に歩く新宿駅構内に「ないことこそが豊かさ」などの文章が書かれた広告が登場しました。ワードがあまりにも素朴で、ポジティブ――― そう感じさせるメッセージは、“一度居住者がゼロとなったまち”の広告でした。

福島 南相馬市 小高 おだかる 新宿駅 広告 移住 田舎 暮らし 新宿駅構内に掲出された広告には「おだかる」の文字が

 掲出したのは、福島県南相馬市小高区。広告をよく見てみると、ほかにも「差し出しあって暮らす」や「小さなことが大きなよろこび」といった、ふっと肩の力が抜ける文章が目にとまります。強く何かをアピールするわけではなく、ありのままをただ伝えようとするような内容だけに、一体どんなまちなのか妙に気になってくる……。

福島 南相馬市 小高 おだかる 新宿駅 広告 移住 田舎 暮らし 「ないことこそが豊かさ」

 南相馬市小高区についての情報は、Webサイト「おだかる」にまとめられています。広告の風景写真からも分かる通り自然豊かで、夏は涼しく、冬は降雪が少なく、1年中過ごしやすい気候なんだとか。

 有名なのは、1000年あまりの歴史を持ち、国の重要無形民俗文化財にも指定されている祭礼「相馬野馬追(そうまのまおい)」。福島県・浜通り(太平洋側沿岸の地域)の北部で開催される伝統行事で、馬に乗った“武士”たちがまちを練り歩くなど、まるで戦国時代にタイムスリップしたかのような光景がみられます。

 そんな歴史と文化の香り漂うまちは、2011年の東日本大震災と原発事故の影響で、一時全ての住民(約1.3万人)が域外への避難を余儀なくされ、居住人口が一度ゼロになってしまいます……。しかし、いや、だからこそ小高ならではの魅力がいま生まれているように感じました。

福島 南相馬市 小高 おだかる 新宿駅 広告 移住 田舎 暮らし 「差し出しあって暮らす」

 1つは、避難により、全員が1度“よそもの”になった経験があるため、外から来たひとをお互いさまの精神で迎えてくれる。もう1つは、いまの小高には、一度離れることを余儀なくされたが自分の意思で戻ってきた人たちと、おだかに魅力を感じ移住してきた人が集まっているため、みんなで一緒に新たなまちを作ろうという前向きな思いがある。

 これは「おだかる」に掲載された住民たちへのインタビューから伝わってきます。一方で、今回の広告で移住促進を強くアピールしていない理由は、ただ多くの人々に周知するのではなく、そもそも上記の点を魅力的だと感じてくれるひとに伝えるメッセージだからだと感じました。

福島 南相馬市 小高 おだかる 新宿駅 広告 移住 田舎 暮らし 「小さなことが大きなよろこび」

 「ないことこそが豊かさ」「差し出しあって暮らす」「小さなことが大きなよろこび」――― 小高に暮らす人々の価値観を素直に伝える言葉たち。現在の住民の数は約3800人。徐々にその数は増えていますが、広告の写真にはたくさんのひとが写っているわけではありません。

 何より、地方移住は1つの大きな決断です。筆者自身もこれまで東京を離れるという考え自体もありませんでした。それでも、小高駅前の旅館「双葉屋旅館」のおかみさんの素直で思いのこもった言葉に、1度このまちを訪ねてみたいと思ってしまいました。

「まだ不便なところもたくさんあるから、無理矢理『いいところだから戻っておいで』とはならない。だけど、今の状況でも『ここがいいね』っていう人たちが集まって、みんなで街を作っていけばいいと思ってるの。」
「だから、移住を考えている方には、『自分はここでこれがしたい』っていう想いを持って小高に来てもらいたいんです。その想いがあれば、きっと地元の人は手を差し伸べてくれるから。」(南相馬市小高区Webサイト「おだかる」内の記事より抜粋)

福島 南相馬市 小高 おだかる 新宿駅 広告 移住 田舎 暮らし 「しあわせはいつも あしもとに」

 Webサイト名「おだかる」は、「おだかで、〇〇する」という意味。「おだかで、はじめる」「おだかで、つながる」。このまちで自分らしく人生を謳歌してほしい、という思いが込められた言葉です。小高の魅力を発信する同サイトで、「おだかる」な人々のくらしを是非のぞいてみてください

福島 南相馬市 小高 おだかる 新宿駅 広告 移住 田舎 暮らし
福島 南相馬市 小高 おだかる 新宿駅 広告 移住 田舎 暮らし もしいつか地方移住を考える日がきたら、「おだかる」で検索

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2410/02/news120.jpg 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  2. /nl/articles/2410/01/news047.jpg プロ警鐘「エアコン、夏が終わったらコレやらないと……」が530万再生 水漏れや“内部のスライム化”を防ぐコツが目からウロコ
  3. /nl/articles/2410/02/news185.jpg “医療ミス”で両頬に大きな火傷 「鏡見るたび涙が止まらない」フォロワー24万人のモデルが悲痛の声 「周りの目が怖い」
  4. /nl/articles/2410/02/news188.jpg 「平成に戻っちゃった」 マクドナルドが「まさかの内容」を投稿→“ネット老人会”のみなさんが思わず二度見
  5. /nl/articles/2410/03/news031.jpg 実家からヤバそうな「母のイチオシ」段ボールが届く→開けてみると…… 胸がじわっとあたたまる裏切りに「母様 最高」「愛がいっぱい詰まってる」
  6. /nl/articles/2410/03/news172.jpg 「驚愕の修理代」の金額明かす お見送り芸人しんいち、約2000万円の愛車が故障で「終わった」「お金がないです」
  7. /nl/articles/2410/02/news013.jpg 【今日の計算】「5−5÷5+5」を計算せよ
  8. /nl/articles/2410/03/news073.jpg 母が高校生娘に作る“モザイク弁当”をのぞくと…… 325万再生の芸術のような美しさとおいしそうな見た目に驚き
  9. /nl/articles/2410/03/news022.jpg 「こんなことになるなんて」 安全靴を購入→10分もしないうちに…… 買った直後に起きた“まさかの事態”に騒然
  10. /nl/articles/1809/23/news019.jpg 炊飯器いっぱいに炊けまくった米…! 「5.5合炊いて」が生んだ悲劇に「全米が泣いた」「笑いすぎてしんどい」
先週の総合アクセスTOP10
  1. ネットで大絶賛「ブラウニー」にカビ発生 業務スーパーに7万箱出荷…… 運営会社が謝罪
  2. 「全く動けません」清水良太郎がフェスで救急搬送 事故動画で原因が明らかに「独りパイルドライバー」「これは本当に危ない!!」
  3. トラックがあおり運転し車線をふさいで停車…… SNSで拡散の動画、運転手の所属会社が謝罪
  4. 「ヤヴァすぎる!!」黒木啓司、超高級外車の納車を報告 新車価格は5000万円超 2023年にはフェラーリを2台購入
  5. そうはならんやろ “ドクロの絵”を芸術的に描いたら…… “まさかのオチ”に「傑作」の声【海外】
  6. 「ウソだろ?」 ハードオフに3万円で売っていた“衝撃の商品”に思わず二度見 「ヤバいことになってる」
  7. 「結局こういう弁当が一番旨い」 夫が妻に作った弁当に「最強すぎる!」「絶対美味しいビジュアル」
  8. “メンバー全員の契約違反”をライブ後に発表 異例の脱退騒動背景を公式が釈明「繋がり行為などではなく」
  9. 「言われる感覚全く分からない」 宮崎麗果、“第5子抱いた服装”に非難飛び……夫・黒木啓司は「俺が言われてるのかな?」
  10. 大沢たかお、広大プールを独り泳ぐ“バキバキ姿”が絵になり過ぎ 盛り上がる筋肉の上半身に「50代とは思えない」「彫刻みたい」
先月の総合アクセスTOP10
  1. “緑の枝付きどんぐり”をうっかり持ち帰ると、ある日…… とんでもない目にあう前に注意「危ないところだった」
  2. 「しまむら」に行った58歳父→買ってきたTシャツが“まさかのデザイン”で3万いいね! 「同じ年だから気持ちわかる」「欲しい!」
  3. 友人に「100円でもいらない」と酷評されたビーズ作家、再会して言われたのは…… 批判を糧にした作品が「もはや芸術品」と490万再生
  4. 高校3年生で出会った2人が、15年後…… 世界中が感動した姿に「泣いてしまった」「幸せを分けてくださりありがとう」【タイ】
  5. 「ま、まじか!!」 68歳島田紳助、驚きの最新姿 上地雄輔が2ショット公開 「確実に若返ってる」とネット衝撃
  6. 荒れ放題の庭を、3年間ひたすら草刈りし続けたら…… 感動のビフォーアフターに「劇的に変わってる」「素晴らしい」
  7. 食べた桃の種を土に植え、4年育てたら…… 想像を超える成長→果実を大収穫する様子に「感動しました」「素晴らしい記録」
  8. 「天才!」 人気料理研究家による“目玉焼きの作り方”が目からウロコ 今すぐ試したいライフハックに「初めて知りました!」
  9. 「エグいもん売られてた」 ホビーオフに1万1000円で売られていた“まさかの商品”に「めちゃくちゃ欲しい」
  10. 義母「お米を送りました」→思わず二度見な“手紙”に11万いいね 「憧れる」「こういう大人になりたい」と感嘆の声

提供:南相馬市
アイティメディア営業企画/制作:ねとらぼ編集部/掲載内容有効期限:2023年3月6日