ジャニーズの性加害問題への言及が原因か 有名プロデューサーが事務所に契約解除される 元社長は過去に「ジャニーさん大好き」など発言(1/2 ページ)
業界内での「忖度」はいつまで続くのか――。
音楽プロデューサーの松尾潔さんが、ジャニーズ事務所の創業者である故ジャニー喜多川氏による性加害問題についてメディアで言及したため、マネージメント契約を結んでいた芸能プロダクション「スマイルカンパニー」との契約を解除されたと訴え、同社の対応が物議を醸しています。
松尾さんは7月1日、15年間在籍したスマイルカンパニーとのマネージメント契約が中途で終了になったと、Twitterで報告。「私がメディアでジャニーズ事務所と藤島ジュリー景子社長に言及したのが理由です」と、その背景を主張しました。また、「私をスマイルに誘ってくださった山下達郎さんも会社方針に賛成とのこと、残念です」と、ミュージシャンの山下さんを名指しで批判しています。
これまで松尾さんはTwitterやラジオ番組などで、ジャニー氏による性加害問題とその対応について、「まずは記者会見を。企業の不祥事は数あれど、文書と自社動画だけで謝罪を済ませた例はどれくらいあるのか」「多くの識者が指摘するように、再発防止特別チーム会見では委嘱事項や独立性に関する開示がないのが残念でした」など、業界の内部から問題提起を繰り返してきました。
元社長「ジャニーさんという人間が大好き」と過去に発言
スマイルカンパニーは、1978年に山下さんのマネジメントを目的に設立され、現在では山下さんのほか、ミュージシャンでその妻の竹内まりやさん、放送作家の鈴木おさむさん、漫画家・文筆家のヤマザキマリさんらが所属しています。
スマイルカンパニーとジャニーズ事務所の関係は根深いと言われており、元社長の小杉理宇造氏はジャニーズ・エンタテイメントの音楽アドバイザーのほか、後に同社の代表取締役社長を務めていました。
小杉元社長は2002年に音楽業界総合情報サイト「Musicman」のインタビュー取材のなかで、ジャニー氏らと自身の付き合いは1970年代ごろからあったと振り返り、同氏への思いをこう語っています。
「僕はジャニーさん、メリーさんという人間が大好きで、この人たちが僕を必要としている限りはお役にたちたい、ただそれだけです。だから目標はもうふたつしかない。達郎、まりやが続ける限りは手助けしたいということ、ジャニーさんメリーさんに必要とされる間はお手伝いしたい、このふたつなんです」(小杉元社長)
また、スマイルカンパニーの現社長は小杉元社長の息子である、小杉周水(Shusui)氏です。山下さんおよび竹内さんに加え、小杉現社長もジャニーズのアイドルに対して多数の楽曲を提供しており、小杉元社長の退任後もスマイルカンパニーとジャニーズの関係は継続しているとみられます。
ジャニー氏の性加害問題をめぐる「忖度」が明るみに
ジャニー氏の性加害問題をめぐる「忖度」は少しずつ表沙汰になっています。4月に博報堂が発行する雑誌『広告』で、ジャニーズ事務所による「メディアの独占的なコントロールやハラスメント」に言及した箇所が削除されたと、批評家の矢野利裕さんが訴えたことは記憶に新しいのではないでしょうか。
この件については『広告』内に一部言及について削除したと明記されているほか、編集長を務める小野直紀さんも「矢野氏の発言の一部が博報堂広報室長の判断により削除されたことは事実です」と認めています。加えて、博報堂広報室は当時、ねとらぼ編集部の取材に対し、詳細は明かさなかったものの、「この件にかぎらず、配慮が必要と判断した原稿に関しては、編集長と相談の上、掲載の可否や適宜修正などを加えています」などとコメントしています(関連記事)。
今回、スマイルカンパニーとの契約を解除された松尾さんは5月、ジャニー氏による性加害問題をラジオで取り上げた際、「メディア全体のあり方が問われている」と主張。放送後にTwitterで「特別な意見だと自分では思いません。ただ同じ業界から声を上げる人が皆無なのが不思議でならないのです」と、業界内でのジャニーズへの「忖度」について疑問を呈していました。業界内での「忖度」はいつまで続くのか――。
ねとらぼ編集部では、スマイルカンパニーに松尾さんの契約を解除した背景や、松尾さんの投稿内容の真偽などについて問い合わせましたが、7月4日の12時時点で回答は得られていません。
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過去には、東京高裁でジャニー氏から受けた性被害が「真実」と認定されています。 - NHK「クローズアップ現代」ジャニー氏の性加害問題を放送 被害者たちの新たな証言を独自取材
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