プロが教える「ブロッコリーの火の通し方」が参考になる 見た目も色鮮やかに(1/2 ページ)

飲食店経営者歴14年目、料理人歴20年目の岩野上幸生さんによるYouTube動画。

» 2023年07月04日 11時00分 公開
[谷町邦子ねとらぼ]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 知っていると見た目の美しさやおいしさなどに差が出る、ブロッコリーの洗い方や火の通し方についての動画がYouTubeで好評です。再生回数は200万回を超え、多くの人が調理に役立てていることがうかがえます。

調理器具の使い方や、ボウルに水を入れる時の飛び散らない方法など、調理の基本も伝授

 料理人歴20年目の岩野上幸生(いわのうえ こうせい)さんが、YouTubeチャンネル「飲食店独立学校 /こうせい校長」で紹介したのは「意外と知らないブロッコリーの火の通し方」です。

知ってるようで意外と知らない【ブロッコリーの洗い方/茹で方】 色も形もちがうのは、なぜ?

 動画はまず新鮮なブロッコリーの選び方からスタート。花を咲かせる前のつぼみの状態を食べるブロッコリーは、つぼみがまだ固く閉じていて、房同士が密集していて、黒ずんでなくて、形がこんもりしていて、濃い緑色のものを選ぶと間違いないとのこと。また、茎に葉っぱがついていると栄養が取られてしまうので、処理されているものを選ぶと良いそうです。

知ってるようで意外と知らない【ブロッコリーの洗い方/茹で方】 ブロッコリーを選ぶところから、すでに調理は始まっている

 次は洗い方。ブロッコリーは水分の蒸発や雨や病気から身を守るために、表面をブルーム(果実)というもので覆っているので、直接水をかけると弾いてしまい内側までうまく洗えません。そこで、ボールにはった水にブロッコリーの房を下に向けて入れてねじり洗い。中まで入り込んでしっかり洗えます。

知ってるようで意外と知らない【ブロッコリーの洗い方/茹で方】 ねじり洗いをした後で浮いてくる白くて脂っぽいものは農薬ではなくてブルーム

 キレイな水で表面をざっと洗い流した後に、ボウルも水洗い。再びボウルに水をはってブロッコリーの房を下にして入れて、浮いてこないように小さなざるで固定したら10分間沈めておきます。こうすることで、中にいた虫が空気を求めて浮かんでくるとのこと。10分経ったら水から取り出し、念のためにさっと表面を洗い流します。

知ってるようで意外と知らない【ブロッコリーの洗い方/茹で方】 房の間に潜む虫を取り除くために水に付け込みます

 続いてはカットの仕方。葉っぱを切り、外側の茎の根元から1つ1つ切り取って房を切り分けます。中心部分はまとめて切り落とし、先にカットしたものとだいたい同じ大きさにカット。ある程度の大きさにそろえておくと、均一に火が通せて色も安定するそうです。茎も乾燥している切り口を切り、厚めに皮をむき、他のブロッコリーと同じ大きさにカット。袋に水を入れて振り洗いし、最後に密集している房と房の間の汚れや虫を取り除きます。

知ってるようで意外と知らない【ブロッコリーの洗い方/茹で方】 房を切り分ける時は、小回りがきくペティナイフを使うと作業がしやすいそうです。茎のでっぱりや太い部分の根元の皮は口に残るので取り除くなどして、形を整えます

 動画では実験として、ブロッコリーを2つに分けて別の方法で火を通しています。まずは、処理をせずに水からゆでる方法。ブロッコリーに火が通りお湯から取り出すまでにかかった時間は11分30秒。お湯は黄色っぽく濁っており、これは長い時間ゆでていたブロッコリーから出た色素成分だと言います。

知ってるようで意外と知らない【ブロッコリーの洗い方/茹で方】 長時間お湯につけていたことにより、ブロッコリーの緑色の色素成分「クロロフィル」が抜けています

 今度はきちんと処理をして火を通します。塩を入れたたっぷりの水を沸騰させ、鍋の上にのせた網にブロッコリーを並べ、ボウルでふたをして蒸します。その後、蒸したブロッコリーを30秒間ふたをせずゆでます。

知ってるようで意外と知らない【ブロッコリーの洗い方/茹で方】 蒸して加熱することで、水溶性のビタミンCなどの栄養素や色素成分や旨みが抜けにくくなるので、栄養満点で旨みが濃い仕上がりに
知ってるようで意外と知らない【ブロッコリーの洗い方/茹で方】 緑色の色素、クロロフィルには熱と酸に弱い性質があります。たっぷりのお湯を使うのは食材を一気に入れた時にお湯の温度が下がり長く加熱することになるのを避けるため。塩を入れるのは、ナトリウムにえぐみを抑え、ビタミンCなどの栄養素を残りやすくする効果があるのと、塩が水の沸点を上げるためクロロフィルが分解される前に高めの温度で素早く茹でることができるから

 火が通ったらすぐ冷水に落とし、栄養素などが抜けないように冷めたらすぐに水の中から取り出して房についている水分をしっかりきります。

知ってるようで意外と知らない【ブロッコリーの洗い方/茹で方】 クロロフィルは熱に弱いので、冷水で急速に冷まします。水は痛みの原因になるので、冷えたら房を下にしてザルに置きます

 この2段階に分けた火の通し方は幸生さんいわく「おそらく史上初の火の通し方だとおもいます」。蒸すだけだと青臭さが残り、茹でるだけだと栄養素や色や旨みが抜けやすくなるという理由から編み出された「蒸すとゆでるの利点を最大化」できる方法とのこと。ブロッコリーは季節や産地や状況によって加熱にかかる時間が変わるので、ゆで時間の30秒は変えずに、蒸し時間を2分15秒〜2分45秒位の間で調整してあげるといいそうです。

知ってるようで意外と知らない【ブロッコリーの洗い方/茹で方】 右が処理をしたブロッコリー、左が処理をしていないブロッコリー

 処理をしたブロッコリーと処理をしていないブロッコリーを並べて比べてみると、処理していない方は形がいびつで、色がかなり抜けています。一方、処理した方は形がきれいでかなり色鮮やか。試食でも違いは歴然で、処理していない方は食感がなくなっていて、青臭さが際だっているなど本来のおいしさが失われているようですが、処理をした方のブロッコリーは、歯ごたえがコリコリシャキシャキしていて旨みがものすごく濃厚とのことです。

 幸生さんが投稿した動画には、「これまでは何となく美味しいブロッコリーの作り方でやったが丁寧に説明していただきありがとう!理屈、理由が分かればめんどくさがらずにちゃんと作るようにします!」「化学的で素晴らしい 理にかなっていて素晴らしい 料理が苦手だけどこれだと楽しく応用の効く料理ができそうです」「減塩目的で塩を入れずにブロッコリー茹でてたけど、塩茹でするのには科学的根拠があったんですね」など、方法だけではなく、「なぜそうするのか」という根拠も教えてくれているのが良いという声が多数寄せられていました。

 また、「ブロッコリーのことだけ教えてくれるのかと思ったらボウルの水の注ぎ方とかすごい細かい調理の注意点までたくさん教えてくれて最後には個性の活かし方まで教えてくれて盛りだくさんの動画でびっくりしたし楽しかったです」「ブロッコリー以外の正しい姿勢が丁寧すぎて水張る時の飛び散る注意点は笑っちゃいましたがすごく親切でわかりやすかったです◎!!また見に来ます!!」など、調理の基本について教えてくれるのが良いという声も。

 さらに、「ブロッコリー農家です。こんなにも大切に料理して頂けると嬉しいです!虫ゼロにしたいですが、あの形状なので、なかなか難しいです」という喜びの声までありました。

 幸生さんは、YouTubeチャンネル「飲食店独立学校 /こうせい校長」でさまざまな調理のコツやレシピなどを紹介。Instagramではさまざまな料理や食材の知識を披露しています。2021年には『プロのコツでいつものごはんが100倍おいしくなるレシピ』(KADOKAWA)が書籍化されました。

動画提供:岩野上幸生さん

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2410/13/news078.jpg フリーアナウンサー、13歳娘が“超難関国家資格”に合格したことを報告 「ひー! すごすぎます」「おめでとうございます」
  2. /nl/articles/2410/14/news047.jpg 「怖すぎる」 昔のCDのバックアップを試みたら…… “悲惨すぎる結果”が280万表示 「こんな壊れ方するんか」
  3. /nl/articles/2410/14/news038.jpg 尻尾がちぎれた子猫をサーキット場で保護→1年後“ムキムキ最強生物”に 驚異の成長ビフォアフが大反響 さらに1年後……飼い主に話を聞いた
  4. /nl/articles/2410/12/news045.jpg 「ワロタw」 “最近のAIの賢さ”が一目で分かる会話が12万「いいね」の人気 「コントだ」「草」
  5. /nl/articles/2410/10/news018.jpg 「どえらいもん売ってた!!」 ハードオフに2万2000円で売ってた“まさかの商品”に「必要性ないけど欲しいw」
  6. /nl/articles/2410/13/news007.jpg 高級メロンの種を植え、4カ月育てたら…… 予想外の展開に「人生で初めてメロンを応援しました」「まるで魔法のよう」
  7. /nl/articles/2410/14/news011.jpg 柴犬に新車をプレゼントしたら…… まさかの展開に「なにこれ最高じゃん」「オレンジのJeepバチくそお似合いです」と61万再生
  8. /nl/articles/2410/10/news047.jpg 東京駅で“あるはずのない落とし物”が見つかり話題に 深まる謎に「未使用なのか」「すげぇ」「意味が分からない」
  9. /nl/articles/2410/13/news020.jpg 「変な声出た」 独特な“芸術”の2文字→よく見ると……  分かると気持ちいい仕掛けに10万いいね 「何度もスマホくるくるした」
  10. /nl/articles/2410/13/news034.jpg “韓流ブーム”の元祖「冬のソナタ」から22年、出演キャストらの現在 突然の逝去にファンに衝撃も
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  2. 「驚愕の修理代」の金額明かす お見送り芸人しんいち、約2000万円の愛車が故障で「終わった」「お金がないです」
  3. プロ警鐘「エアコン、夏が終わったらコレやらないと……」が530万再生 水漏れや“内部のスライム化”を防ぐコツが目からウロコ
  4. “医療ミス”で両頬に大きな火傷 「鏡見るたび涙が止まらない」フォロワー24万人のモデルが悲痛の声 「周りの目が怖い」
  5. スーパーで買ったニンニクを土に植えると…… ぼこぼこ増える驚きの簡単栽培に「たくさん出来て最高」「植えてみよう」
  6. 「これは合格出せない」 リンガーハットがジョブチューン挑戦→“まさかの不合格メニュー2品”に騒然
  7. 「全く動けません」清水良太郎がフェスで救急搬送 事故動画で原因が明らかに「独りパイルドライバー」「これは本当に危ない!!」
  8. 「本当に56歳…?」 “王騎”大沢たかお、“腕と足の太さがほぼ同じ”の圧倒的肉体を披露 「かっこよすぎる」
  9. モグラに似てる“ヤベぇ虫”を、2カ月育ててみたら…… 感動の展開に「これはマジで凄い」「学術発表レベル」
  10. カインズの「撒くだけで防草できる砂」本当かどうか検証してみたら…… 驚きの結果に「魔法のような砂、買いに行きます!」「これさえあれば」
先月の総合アクセスTOP10
  1. “緑の枝付きどんぐり”をうっかり持ち帰ると、ある日…… とんでもない目にあう前に注意「危ないところだった」
  2. 「しまむら」に行った58歳父→買ってきたTシャツが“まさかのデザイン”で3万いいね! 「同じ年だから気持ちわかる」「欲しい!」
  3. 友人に「100円でもいらない」と酷評されたビーズ作家、再会して言われたのは…… 批判を糧にした作品が「もはや芸術品」と490万再生
  4. 高校3年生で出会った2人が、15年後…… 世界中が感動した姿に「泣いてしまった」「幸せを分けてくださりありがとう」【タイ】
  5. 「ま、まじか!!」 68歳島田紳助、驚きの最新姿 上地雄輔が2ショット公開 「確実に若返ってる」とネット衝撃
  6. 荒れ放題の庭を、3年間ひたすら草刈りし続けたら…… 感動のビフォーアフターに「劇的に変わってる」「素晴らしい」
  7. 食べた桃の種を土に植え、4年育てたら…… 想像を超える成長→果実を大収穫する様子に「感動しました」「素晴らしい記録」
  8. 「天才!」 人気料理研究家による“目玉焼きの作り方”が目からウロコ 今すぐ試したいライフハックに「初めて知りました!」
  9. 「エグいもん売られてた」 ホビーオフに1万1000円で売られていた“まさかの商品”に「めちゃくちゃ欲しい」
  10. 義母「お米を送りました」→思わず二度見な“手紙”に11万いいね 「憧れる」「こういう大人になりたい」と感嘆の声