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» 2023年09月05日 11時00分 公開

アーケードゲームの保存に取り組む「アーケードゲーム博物館計画」が現設備から撤収へ 切実な移転先募集に「喪失の危機」と大きな反響(1/2 ページ)

今後の見通しについて話を聞きました。

[沓澤真二ねとらぼ]

 アーケードゲームの保存に取り組む有志団体「アーケードゲーム博物館計画」が、11月30日までに現在の拠点から撤収すると発表しました。新天地は未定で、もし見つからない場合は解散の可能性もあるとのことで、ネットでは「貴重な筐体が失われる危機」と、大きな反響を呼んでいます。

アーケードゲーム博物館計画 公式発表(以下、画像は「アーケードゲーム博物館計画」のWebサイトから)

 同団体は、アーケードゲーム筐体がいつかは失われて遊べなくなる危機感から、有志のゲームファンやコレクターが集まって結成。ただ保存するだけでなく、「実際にゲームで遊べる場」としての博物館を設立するべく活動しており、6人乗りシステムの「ギャラクシアン 3」をはじめに貴重な筐体を多数保有しています。

アーケードゲーム博物館計画 奥で存在感を発揮しているのがギャラクシアン 3
アーケードゲーム博物館計画 レースゲームの専用筐体も充実

 機材の保管場所には、元デパート倉庫や元レンタルビデオ店を使用し、2012年からはタイトーの協力を受け、同社の熊谷倉庫へ移転。遊べる場として「倉庫開放」イベントを不定期に催してきました。

 しかし9月1日、団体の代表が公式サイトで「タイトー様の施設設備の都合により、2023年11月30日までに現地より撤収することと相成りました」と発表。移転先は未定で、活動を継続することを第一に動いているものの、適切な物件が見つからない場合は保有機器の縮小や活動の休止、解散も視野に入れているといいます。

 また、コロナ禍で3年間活動を休止し、2023年から倉庫開放を再開するも、規模は縮小せざるを得なかった経緯もあり、代表は「営利を目的とした活動ではない当方にとって、将来的な活動をどうすべきか悩ましいというのが正直なところです」と心情を吐露。「移転を機に、今後の活動については検討を重ねている」としつつ、12年もの間協力を受けたタイトーへの感謝で発表を締めくくっています。

 ネットでは「ついにこんな日が来てしまった」「どうにか良い物件が見つからないものか」「必要とされる広さやアクセスの良さなどを考えると簡単ではなさそう」など、今後の活動を懸念する声が多数。ねとらぼ編集部はアーケードゲーム博物館計画を取材し、現況や展望について聞きました。

―― 現在所蔵されている筐体を保管するには、どの程度の広さが必要なのでしょうか

アーケードゲーム博物館計画 所蔵品は、フラッグシップ機のギャラクシアン3シアター6をはじめとする大型筐体と、汎用ビデオゲーム筐体を合わせて約50台です。入居当初より補修パーツなども増えましたので、ただ詰めておくだけでも、おそらく150平方メートルでギリギリなのではないかと考えています。また、機器によっては高さが必要なもの、重量のあるものなどもあるため、広さ以外の課題もあります。

 それをイベントで展開するとなると、より広い場所が必要です。現在の倉庫開放では、撮影可能エリアだけで160平方メートル以上あります。現状の機材をそのままに開催するためには、実際は200平方メートル以上必要になりそうな気配です。

―― 移転の見通しは立ちそうでしょうか

アーケードゲーム博物館計画 現在、「保管のみを条件に倉庫を提供できる」といったお話を数件いただいております。ただ、倉庫代や機材維持費は代表と代表補佐、来場いただいた方のカンパで維持費を捻出しておりますので、イベント展開できない物件ですと正直厳しいです。

 そこで、イベントが可能な物件が見つかるまでは、「一時的に保管倉庫を借りつつ広い場所を探す」と、「イベント展開できる広い場所へ直接移転できる物件を探す」、この2本立てで動いております。

―― 2023年の倉庫開放は以前より小規模での開催になったとのことですが、コロナ禍前と比べてどの程度縮小しているのでしょうか

アーケードゲーム博物館計画 来場者数は、直近の6月倉庫開放ではコロナ禍前の6〜7割くらいでした。事前の来場者数の想定が難しく、利用時間の制限やチケット制を導入したために、今までの開放と比べて来場しにくかったこともあると思います。9月の開放では、もう少し緩和できないか検討していますが、換気の良くない屋内のため苦慮しております。

―― 「移転を機に、今後の活動については検討を重ねている」とのことですが、もし十分な場所が見つかった場合でも、縮小などの可能性はあるのでしょうか

アーケードゲーム博物館計画 今後の活動については本当に未定です。コロナ禍での行動制限やイベント自粛の3年間、倉庫開放イベントを開催できず倉庫代を含む維持費を支払い続けていたわけですし、当方にとっても大変な痛手でした。

 それでも、これらの機器を後世に残していきたいとの思いからなんとか継続していました。保管場所の利便性と維持費を考慮しながら、他にはないようなユニークな機器に絞って活動を続けることも検討しています。「遠い場所に長期に保管して誰も遊ぶことができないより、なるべく皆さんにお楽しみいただけたほうが良い」とは考えています。


 熊谷倉庫での倉庫開放は、9月後半の開催が最後に。以降は10月にギャラクシアン 3の解体を行い、移転先が決まり次第に撤収する予定で、詳細はX(Twitter)で告知するとのことです。

協力:有志団体アーケードゲーム博物館計画@gehaku

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