「mixi日記は黒歴史」なのか? ユーザーの人生刻んだ20年史「SNSの蓄積は、人生そのもの」(1/3 ページ)
20周年を迎えたmixiの今を聞いた。
「ミクシィ」と聞いて、あなたは何を思い浮かべますか。モンストこと「モンスターストライク」のようなスマホゲーム運営会社のイメージも強いですが、30代なかばの筆者のような世代には「最初に使い始めたSNS」という人も少なくありません。どのユーザーが訪問したかがわかる「足あと」機能に一喜一憂した――なんて体験談は、同世代にとって「あるある」です。
SNSの「mixi」は、2004年2月22日にプレオープン、3月3日に正式オープンされ、この春、サービス開始20周年を迎えました。そこで今回は、「SNSとしてのmixi」について、事業担当者の渡部喜正さん(MIXI Vantageスタジオ mixi事業部 部長)に話を聞きました(以下、企業名はMIXI、サービス名はmixiと表記)。
著者紹介
城戸譲
1988年生まれ。Jタウンネット編集長、J-CASTニュース副編集長などを経て、フリーランスに転身。「ネットメディア研究家」「炎上ウォッチャー」を名乗り、政治経済からエンタメまで、幅広く執筆活動をしている。ねとらぼ連載「あのSNSは今」では、一時代を築いたウェブサービスや、ネット上で話題になった出来事・人物などの「その後」を紹介する。
競合の動向と、コロナ禍による変化
そもそもmixiは現在、どのような人々に利用されているのでしょうか。渡部さんによると、ユーザー数や売上などの数字は非公表ながら、年齢層のイメージとしては「20代から始めて、そのまま長く続けていただいている方も多く、そのままシフトした30代、40代に多く使われている」。アンケートでも「10年以上使っている」との回答が多いとのことでした。
この20年間では、FacebookやX(旧Twitter)など、競合になり得るSNSも数々登場しました。影響を聞いてみると、他社サービスの継続性に不安が出たときに、「mixiのことを思い出していただいて、戻ってこられたユーザーがいると感じる」。かつて使用していたアカウントに戻る場合もあれば、こうしたタイミングでは新規登録も増えるそうです。
近年では、BlueskyやMeta(Facebook)のThreadsといった、新たなSNSも誕生しています。これらが話題になったときにも、「招待制」や「コミュニティー」といったキーワードから、mixiを再認識する機会が多いのではないかと渡部さんは指摘します。
市場の変化に加えて、コロナ禍での「巣ごもり需要」も、オンラインでのコミュニケーションに大きな変化を与えました。最初に緊急事態宣言が出された2020年4月〜6月ごろは、とくに利用者が増えたそうです。その後も、天気がいい日は使われにくく、また日曜日には週末の出来事が投稿されるなど、アクセス頻度から生活リズムが見えてくるといいます。
「巣ごもり需要が終わったことで、1週間の動きをまた感じられています。やはりSNSは生活の一部として、人々のライフサイクルの中に置かれていると、すごく実感できます」
mixiが「X」で発信する理由
mixiといえば最近、X上での投稿もよく話題になります。今年1月には、アイドルグループ「Kis-My-Ft2」のメンバーが、mixiを始めたとライブで公言。mixi公式のXアカウントが「ぜひマイミクの輪を広げてください」などと反応して、大きな注目を集めました。
このXアカウントでは、mixi関連の投稿をした一般ユーザーとも交流を重ねています。一見「競合」とも言える他社SNS上にもかかわらず、積極的に発信しているのは不思議に思えますが、渡部さんはその理由を「コミュニケーションサービスを提供しているだけでなく、我々自身もコミュニケーションしていくことが大切と考えている」からだと語ります。Xについても、情報発信やプロモーションだけでなく、ファンや一般ユーザーとの交流の場に位置づけているようです。
渡部さんの話を聞いていると、他のSNSと競合するのではなく、共存や「すみ分け」していく思いが伝わってきます。その背景には、mixiそのものが、異なる関係性のコミュニケーションを包み込んでいることもあるようです。
「『マイミク』との交流は比較的、内輪感があるのが心地よい。趣味・関心でつながる『コミュニティ』は、知らないけれどもオンラインで仲良くなった人と、ひとつの趣味を突き詰めてやりとりするのが得意です。ゲームで熱狂するつながりもあれば、mixiのような心地よい、ゆるいつながりもある。いろいろな『つながり』を事業として、会社としてやっていきたいと思っています」
SNSは「使い分ける時代」へ
サービス開始時から振り返って、SNS業界にどのような変化があったと感じるのか、漠然な質問かなとも思いつつ、渡部さんの「肌感覚」を聞いてみました。
「SNSが多様化するにつれて、ひとつのサービスに集まる時代から、関係性も機能も使い分ける時代になったと思います。mixiも『mixiがすべて』のような世界を目指していなくて、他のSNSと併用していく使い方が、一番いいんじゃないかと感じています」
この20年で、集まるSNSから、使い分けるSNSへ。その間ずっと使い続けてきたmixiユーザーへの思いを語ってもらいました。
「20年続けて来られたのは、多くのユーザーの方が使い続けてくださっているからで、非常に感謝しております。心地の良いつながりや、コミュニケーションの場を提供できたのであれば、非常に光栄です。これからもmixiをずっと続けていく、そのために機能改善も行う予定なので、ぜひ今後ともよろしくお願いします」
「細く長く、歴史を刻んで」
渡部さんは、しばらく離れているmixiユーザーにも、「おやすみされている方も、過去すごく楽しかった時期もあるのかなと思います。『日記書いていたな。ちょっと見てみたい』で構わないので、ぜひ1回ログインしていただければ」と呼びかけます。
「SNSの蓄積は、人生そのもの。よく『mixiの日記は黒歴史』といった書き方をされて、感じ方は人それぞれですが、恥ずかしかった、若かった頃の思い出も、大切な人生の一部だったんじゃないかと思います。振り返るきっかけにログインして、いまの気持ちを日記に書き残しておくと、また戻ってきたときに読み返せます。細く長く蓄積していって、歴史を刻んでいただくといいのではないでしょうか」
そんな自分史を振り返るきっかけとして、2024年3月4日から提供される「mixi年表」が活用できるかもしれません。2004年から2024年まで、mixiや世間で起きた出来事や、ユーザーの日記を振り返れる、20周年記念の機能です。あわせて、ピンバッジのプレゼントキャンペーンも行われるそうです。あなたも「黒歴史だから……」と言わず、思いのまま飛び込んでみては?
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すごいペース。MIXI運営の作業通話アプリ「もくり」がサービス終了、約5年の歴史に幕 ネット上では驚きと嘆きの声
現役で使っている人も多かったようです。
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