延滞し過ぎ! フィンランドの図書館へ84年越しにコナン・ドイルの本が返却 司書「こんなに遅れたことない」(1/2 ページ)

返しに来たことがすごい。

» 2024年05月30日 19時23分 公開
[城川まちねねとらぼ]

 2019年には「公共図書館・オブ・ザ・イヤー」にも選出され、世界中から愛されるヘルシンキ中央図書館(以下:Oodi)にまさかの珍事が発生。返却期限1939年12月26日までの歴史小説が、なんと約84年越しに返却されたと現地フィンランドを中心に話題になっています。

フィンランドで返却期限を84年過ぎた本が返却 貸し出しカードに返却期限スタンプが!(画像はヘルシンキ中央図書館のInstagrmから)

延滞はあるある でもさすがにびっくり「この本は別格」

 84年越しに図書館へ戻ってきたのは、アーサー・コナン・ドイルが1893年に出版した歴史小説『亡命者』のフィンランド語版です。Oodiは5月27日、Instagramに返却された本と貸出カードに返却期限の判子が押された画像を投稿。末尾の返却期限は確かに「26.12.39」と読むことができます。

 Oodiはこの投稿へ「以前にも何十年も期限を過ぎた本が返却されたことはあったけれど、この本は別格」とコメント。貸出カードの情報から、ヘルシンキの「Pursimiehenkatu」に住むビジネスマンが借りたようだと述べています。

「返却は当然のこと」としつつも、歴史的背景から推測

 返却を受け付けたOodiの司書ヘイニ・ストラルドは29日にAFPの取材に答え、「こんなに遅れて本を回収したことはない」と強調しました。そして実際に本を返しに来た人物と、借りた本人の関係性は不明であるものの、「通常は、返却期限を何十年も過ぎて返される本というのは、亡くなった親戚の遺品を整理しているときに発見されるものです」と推測。また彼女は「図書館の所蔵である本を返却するのは当然のことです」とこれほど長く月日が過ぎながらも誠実に本を返しに来た人物の行動に感動を表しました。

フィンランドで返却期限日を84年過ぎた本が返却 本の中表紙からも歴史を感じる(画像はヘルシンキ中央図書館のInstagrmから)

 さらに当時本を借りた人が返却を忘れていた理由について、ヘイニは1939年12月26日という返却期限が、ソビエト連邦がフィンランドへ侵攻した1カ月後であったことを指摘。「返却期限が近づくにつれ、借りた人は本の返却に考えがいかなくなってしまったのかもしれませんね」と述べています。

「戦争は正当な延滞理由」「延滞料は?」 さまざまな反応

 1939年9月1日の第二次世界大戦勃発から3カ月後、11月30日にソビエト連邦がフィンランドへ侵攻し、冬戦争が勃発。フィンランドは1940年3月12日に結ばれたモスクワ講和条約により、独立を守りながらも領土の一部を割譲されました。

 『亡命者』は『シャーロック・ホームズ』シリーズの連載終了後にコナン・ドイルが執筆した作品で、17世紀フランスで弾圧されていたプロテスタントの一部カルヴァン派と、彼らのアメリカへの亡命を描いたもの。

 このニュースに対してネット上では、「延滞料は発生するんだろうか?」とペナルティの有無を心配したり、「冬戦争は正当な延滞の理由だよね」と延滞に理解を示したり、「この本がまだどこかで生き続けられるといいな。ここで有用な生命が終わってしまったら悲しいよ」など、本がこれからも図書館で生き続けることを望んだりと、さまざまなコメントが寄せられています。

 なおヘイニによれば「昔の本は今の本より丈夫」であり、このように画像が公開できたのは本の状態が良好だったからだとしています。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2407/01/news071.jpg 天皇陛下の英国訪問、「王妃の日本製バッグ」「皇后さまの菊のティアラ」などに注目 宮内庁公式に360万いいね
  2. /nl/articles/2406/30/news007.jpg 汚れたホースに綿を詰めて流したら…… 無色透明の水が“信じられない色”へ変化する光景に思わずゾッとする
  3. /nl/articles/2407/01/news016.jpg テーマパークで娘を撮影、親に送る→返ってきた“まさかの1枚”に感涙の声 25年前の奇跡に「素敵すぎる」「こういうの熱い」
  4. /nl/articles/2406/28/news086.jpg レジンで生のイチゴを閉じ込め→4年放置したら……? “まさかの姿”に「100万年後に発見されて欲しい」
  5. /nl/articles/2406/25/news183.jpg 絶対に笑ってしまう“ダンシング折り鶴”と作り方に反響の嵐 合計1300万再生突破「涙出るほど笑った」「元気をありがとう」
  6. /nl/articles/2406/29/news006.jpg “100歳おばあちゃん”の朝食作りに密着したら…… 驚きの姿とおかずに「最高の朝食」「めちゃめちゃ感動」
  7. /nl/articles/2406/25/news138.jpg 「めちゃくちゃ吹いたwwwww」「悲劇!w」 蛇口の水を猫ちゃんがペロペロ→その水が注ぐ“まさかの場所”が263万表示
  8. /nl/articles/2406/29/news080.jpg 「こんなんもうピザやん」 “エグいピザポテト”を引いた人が幸運過ぎてうらやましいと話題に 「SSRだ」「かき揚げかと思った」
  9. /nl/articles/2406/30/news011.jpg オーダーウエディングケーキを「お任せで」と言われた職人、完成したのは…… 依頼者もドン引きの全貌に「次元が違いすぎる」「ケーキ入刀できない」
  10. /nl/articles/2406/29/news071.jpg ビートたけし、数千万円級の“超高級外車”で商店街行く姿がエグかった……ギャップある光景に「威圧感あり過ぎ」「どう考えても映画のワンシーン」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 18÷0=? 小3の算数プリントが不可解な出題で物議「割れませんよね?」「“答えなし”では?」
  2. 「これはさすがに……」 キャッシュレス推進“ピクトグラム”コンクールに疑問の声相次ぐ…… 主催者の見解は
  3. 和菓子屋の店主、バイトに難題“はさみ菊”を切らせてみたら…… 282万表示を集めた衝撃のセンスに「すごすぎんか」「天才!?」
  4. 「やばすぎ」 ブックオフに10万円で売られていた“衝撃の商品”に仰天 「これもう文化財」「お宝すぎる」
  5. 都知事選掲示板に“ほぼ全裸”ポスターが掲出で騒動に→アイドルが懸念示す 「300万円を考えると安いものなんでしょう」「真面目に頑張りたい人が可哀想」
  6. いつも遊びに来る野良猫がケガ→治療するもひどく威嚇され…… 「嫌われた」と思った翌日の光景に「涙が出ました」
  7. あずきバーに砲弾を撃ち込む様子が“そんなわけなさ過ぎる結果”で爆笑 ツッコミが不可避の投稿はどのように生まれたのか聞いてみた
  8. 「別人かよ」「泣けた」 “オタク”と言われ続けた男性が…… “激変イメチェン”に「こんなに変われるなんて」と称賛の声
  9. 定年退職の日、妻に感謝のライン→返ってきた“言葉”が193万表示 「不覚にもウルッとした」「自分も精進します」と反響多数
  10. 0歳赤ちゃん、寝ていたはずがベビーモニターに異常発生!→ママが駆け付けるとまさかの…… 爆笑の光景に「かわいすぎるっっ」「朝から癒やしをありがとう」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 18÷0=? 小3の算数プリントが不可解な出題で物議「割れませんよね?」「“答えなし”では?」
  2. 日本人ならなぜかスラスラ読めてしまう字が“300万再生超え” 「輪ゴム」みたいなのに「カメラが引いたら一気に分かる」と感動の声
  3. 「最初から最後まで全ての瞬間がアウト」 Mrs. GREEN APPLE、コカ・コーラとのタイアップ曲に物議 「誰かこれを止める人いなかったのか」
  4. 「値段を三度見くらいした」 ハードオフに38万5000円で売っていた“予想外の商品”に思わず目を疑う
  5. 「思わず笑った」 ハードオフに4万4000円で売られていた“まさかのフィギュア”に仰天 「玄関に置いときたい」
  6. かわいすぎる卓球女子の最新ショットが730万回表示の大反響 「だれや……この透明感あふれる卓球天使は」「AIじゃん」
  7. 「これはさすがに……」 キャッシュレス推進“ピクトグラム”コンクールに疑問の声相次ぐ…… 主催者の見解は
  8. 天皇皇后両陛下の英国訪問、カミラ王妃の“日本製バッグ”に注目 皇后陛下が贈られたもの
  9. 「この家おかしい」と投稿された“家の図面”が111万表示 本当ならばおそろしい“状態”に「パッと見だと気付けない」「なにこれ……」
  10. 和菓子屋の店主、バイトに難題“はさみ菊”を切らせてみたら…… 282万表示を集めた衝撃のセンスに「すごすぎんか」「天才!?」