肉弾戦がないのは海外進出のため? 「わんだふるぷりきゅあ!」の海外事情を考えるサラリーマン、プリキュアを語る(1/2 ページ)

20周年を機にプリキュアもさらなる海外進出を考えているようです。

» 2024年07月25日 18時00分 公開
[kasumiねとらぼ]

 「わんだふるぷりきゅあ!」が絶好調です。

 「戦わない」平和な作風も子どもたちに受け入れられているようで、売り上げも好調。「猫組(キュアニャミー、キュアリリアン)の変身アイテム玩具「PrettyHolicシャイニーキャッツパクト」も大好評で、6月の女の子向けのおもちゃの月間ランキング(おもちゃ情報net.)で1位、おもちゃ売り場の棚からも消えるほどの人気となっています。

わんだふるぷりきゅあ! 肉弾戦がない「わんだふるぷりきゅあ!」

 そう。今回のプリキュアは「戦わない」のです。

 「わんだふるぷりきゅあ!」はパンチやキックといった肉弾戦を一切せず、「抱きしめて浄化」する平和的な作風となっています。

 これはもちろん「友達であるどうぶつを傷つけることはしない」といった理由でもあるのですが、1つの側面として、この肉弾戦をしない作風は「海外展開」の拡大をも視野にいれているのでは、と自分は思うのです。

kasumi プロフィール

プリキュア好きの会社員。2児の父。視聴率などさまざまなデータからプリキュアを考察する「プリキュアの数字ブログ」を執筆中。2016年4月1日に公開した記事「娘が、プリキュアに追いついた日」は、プリキュアを通じた父娘のやりとりが多くの人の感動を呼び、多数のネットメディアに取り上げられた。


プリキュアの海外事情

 2024年6月25日に開かれた東映アニメーションの株主総会で、株主からの質問事項に答える形で「プリキュアは20周年を迎え、あらためて海外に力を入れようと考えている」との経営者側の発言がありました。東映アニメーションとしては、ドラゴンボールやONE PIECE、セーラームーンといった海外での成功例もあり、それに続く形で「プリキュアシリーズ」もさらなる海外進出を考えているようです。

わんだふるぷりきゅあ! 香港、台湾ではプリキュアの最新作がテレビ放送されています(画像はYOYOTV YouTubeチャンネルから)

 2024年時点のプリキュアの海外事情を見てみると、シリーズにより異なりますが、東南アジア、中東、ヨーロッパ、南北アメリカなど海外30カ国以上で外国語吹き替え版が放送もしくは配信されているようです。

 中心となっているのはアジア圏。2020年以降、香港と台湾でプリキュアは「光之美少女」の名前で日本での最新作がテレビ放送されています。台湾ではケーブルテレビのチャンネル「東森幼幼台(YoYoTV)」、香港ではViuTVで放送されています。

 ちなみに「わんだふるぷりきゅあ!」は「美妙寵物 光之美少女」。キュアワンダフルは「美好天使」、キュアフレンディは「友愛天使」となっています。主題歌もメロディーは日本と同様で、歌詞だけがローカライズされたものになっています。

 韓国においても一部作品がケーブルテレビなどで放送されています。過去のWebインタビュー記事で「スター☆トゥインクルプリキュア」のプロデューサー・柳川あかり氏も「日本以外で一番人気なのは韓国」と発言しています。

わんだふるぷりきゅあ! 香港、台湾でのプリキュアの名称
わんだふるぷりきゅあ! OP映像、メロディーは日本と同じで、歌詞がローカライズされています(画像はYOYOTV YouTubeチャンネルから)

 また、2023年に日本でも大ヒットとなった「映画プリキュアオールスターズF」も海外7カ国(タイ、ラオス、カンボジア、台湾、香港、マカオ+イタリアでのイベント)で上映されました。

 配信に目を向けると、南北アメリカでは「Crunchyroll(クランチロール)」がプリキュアシリーズを公式配信しており、最新作「わんだふるぷりきゅあ!」の他、一部の過去作も見られます(著者の調査では2024年現在は以下の10作品が配信されているようです)。

クランチロールでの配信シリーズ

ふたりはプリキュア

Go!プリンセスプリキュア

魔法つかいプリキュア!

キラキラ☆プリキュアアラモード

ヒーリングっどプリキュア

トロピカル〜ジュ!プリキュア

デリシャスパーティプリキュア

ひろがるスカイ!プリキュア

わんだふるぷりきゅあ!

キボウノチカラ〜オトナプリキュア'23〜


 ただ、2024年7月に日本貿易振興機構(JETRO)が発表した、米国市場のアニメ事情をまとめたレポート「アニメ関連サービス・商品に関する米国市場レポート(2024年版)」によると、米国で人気のアニメは1位「Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba(鬼滅の刃)」、2位「JujutsuKaisen(呪術廻戦)」、3位「Hell's Paradise: Jigokuraku(地獄楽)」、4位「Oshi No Ko(【推しの子】)」、5位「Vinland Saga(ヴィンランド・サガ)」……と続く中、「女の子向けアニメーション」としては38位に「アイカツ!」が入っているものの、プリキュアシリーズはランクインしておらず、米国での認知度はまだまだこれからのようです。

 東映アニメーションのプリキュアの海外映像の売り上げも年々増加し続けています。2016年から2022年の6年で2倍以上(3億3000万円→7億1500万円)の規模となり右肩上がりで拡大。2024年現在の海外映像売り上げでは「セーラームーン」を超える規模となっています(2018年3月期決算:「セーラームーン」3億6700万円、「プリキュア」4億8600万円)。

わんだふるぷりきゅあ!

かつての海外展開「グリッターフォース」は苦戦?

 プリキュアは過去に米国に進出したこともありました。

 2015年、米国のブランドマネジメント会社「サバン・ブランド」が、「スマイルプリキュア!」の英語版ローカライズ作品「GlitterForce(グリッターフォース)」を制作。主人公・星空みゆきはエミリー、キュアハッピーはグリッターラッキーになるなどキャラクターの名前も変更され、敵キャラクターやストーリーの一部も米国の視聴者向けに調整されてシーズン1、2が放送されました。続編「ドキドキ!プリキュア」のローカライズ「GlitterForceDokiDoki」もNetflixで配信されました。

わんだふるぷりきゅあ! GlitterForceのミュージック・ビデオ(画像はGlitter Force YouTubeチャンネルから)

 しかし、一部では人気を博すものの、日本ほどの大きなムーブメントにはならず、2作が作られたのみで終了という形になってしまいました。

 「グリッターフォース」のPVや予告映像はまだGlitterForcのYouTubeチャンネルに残っているので、興味ある方は見てみてはいかがでしょうか。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/29/news100.jpg 大谷翔平、妻・真美子さん妊娠公表→エコー写真に“まさかの勘違い” 「デコピン妊娠?」「どう見てもデコピンで草」
  2. /nl/articles/2412/29/news101.jpg チェジュ航空社長、日本語で謝罪 犠牲者は170人以上との報道 公式サイトは通常のオレンジからブラックに
  3. /nl/articles/2412/30/news070.jpg 大谷翔平の妻・真美子さん妊娠→現役時代に語っていた「将来の夢」に感動の声 「なんか泣けてくる」
  4. /nl/articles/2412/29/news005.jpg 母「昔は数十人もの男性の誘いを断った」→娘は信じられなかったが…… 当時の“想像を超える姿”が2800万再生「これは驚いた」【海外】
  5. /nl/articles/2412/29/news075.jpg 「スマホ入荷しました」 ハードオフ店舗がお知らせ→まさかの正体に大横転 「草しか生えない」
  6. /nl/articles/2412/30/news071.jpg 子どもがお店で“高額おもちゃ”を欲しがる→通りすがりの“五輪選手がまさかの理由”でプレゼント 「すごすぎる話」「今年一番感動」
  7. /nl/articles/2412/29/news098.jpg 大谷翔平と妻・真美子さん“家族ショット”に210万いいね 「素敵な1枚」「幸せな家族写真!」【“大谷家”の新たな一歩】
  8. /nl/articles/1611/04/news117.jpg 「ヒルナンデス!」で道を教えてくれた男性が「丁(てい)字路」と発言 出演者が笑う一幕にネットで批判続出
  9. /nl/articles/2412/30/news039.jpg ヤクルトが“投げ売り状態”かと思ったら…… 「大勘違い」引き起こしかねない光景に「さすがに飲めない」
  10. /nl/articles/2412/29/news013.jpg 毛糸で“お花をぷくぷく”編んでいくと…… 思わず笑顔になるアイテム完成に「なんて美しい」「母に編んであげよう」
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. 新1000円札を300枚両替→よく見たら…… 激レアな“不良品”に驚がく 「初めて見た」「こんなのあるんだ」
  3. 家の壁に“ポケモン”を描きはじめて、半年後…… ついに完成した“愛あふれる作品”に「最高」と反響
  4. 「庶民的すぎる」「明日買おう」 大谷翔平の妻・真美子さんが客席で食べていた? 「のど飴」が話題に【大谷翔平激動の2024年 「お菓子」にも注目集まる】
  5. 100均のファスナーに直接毛糸を編み入れたら…… 完成した“かわいすぎる便利アイテム”に「初心者でもできました!」「娘のために作ってみます」
  6. “プラスチックのスプーン”を切ってどんどんつなげていくと…… 完成した“まさかのもの”が「傑作」と200万再生【海外】
  7. 「バグってる」 シャトレーゼの“864円で買える”「1人用クリスマスケーキ」に大絶賛の声 「企業努力すごい」
  8. 「昔モテた」と言い張るパパ→信じていない娘だったが…… 当時の“驚きの姿”が2900万再生「おおっ!」「マジかよ」【海外】
  9. トイレットペーパーの芯を毛糸でぐるっと埋めていくと…… 冬に大活躍しそうなアイテムが完成「編んでるのかと思いきや」【海外】
  10. “月収4桁万円の社長夫人”ママモデル、月々の住宅ローン支払額が「収入えぐ」と驚異的! “2億円豪邸”のルームツアーに驚きの声も「凄いしか言えない」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」