3グラム食べただけで死に至る猛毒キノコを、ある生き物に与えてみたら…… 興味深い実験結果に「むしろすごい」「勉強になる」(1/3 ページ)

キノコも昆虫もカタツムリも、みんな興味深くて面白い。

» 2024年11月22日 19時00分 公開
[三日月影狼ねとらぼ]

 最近増えているという猛毒キノコ・カエンタケを探し回り、ずっと気になっていたことを実験して確かめていく様子がYouTubeに投稿されました。動画は記事執筆時点で94万回以上再生され、1万1000件の高評価を獲得しています。

猛毒カエンタケをカタツムリに食わせると…

猛毒キノコ・カエンタケで確かめたいことがある投稿主

 動画が投稿されたのは、YouTubeチャンネル「うごめ紀」。投稿主のうごめ紀さんは、昆虫や冬虫夏草(虫に寄生するキノコ)を中心にさまざまな生物を探し、写真や動画を撮影している生物系YouTuberです。

 以前はネットカフェでトコジラミを発見、どうすれば人はトコジラミに勝てるのか体を張って実験した様子を見せてくれました(関連記事)。今回は猛毒のキノコ「カエンタケ」を探し、ある実験をするようです。

カエンタケを探せ!

 カエンタケは夏〜秋に生える猛毒のキノコ。その毒は触れるだけで皮膚に炎症を起こし、3グラム食べただけで死に至るというものなのだとか……!! うごめ紀さんは今回そんなカエンタケについて確かめたいことがあるため、関東地方のある公園にカエンタケを探しにやってきました。

触れるだけで 触れても食べてもいけない猛毒キノコ・カエンタケ

 うごめ紀さんによると最近はクヌギやコナラなどの広葉樹がナラ枯れ菌という菌にやられて枯れ、多く切り倒されているとのこと。その原因はナラ枯れ病菌を運んで広葉樹に感染させてしまう「カシノナガキクイムシ」という5ミリくらいの昆虫で、最近この昆虫がとてつもなく増えているのだそうです。

 その原因ははっきりしないものの、里山が管理されなくなってきたことからカシノナガキクイムシが好む太い木が増え、その結果、増えたのではないかという説もあるのだとか。

 カエンタケはナラ枯れ菌にやられて枯れかけた木の根元に生えることから、ナラ枯れ菌にやられる広葉樹の増加に合わせて全国的に増えているとのこと。しかし実際に探してみると、意外と見つからないようです。

 うごめ紀さんによるとまだ仮説ですが、カエンタケはナラ枯れ菌にやられた木から生えるものの、木(木材)を分解する「木材腐朽菌」ではなく、ナラ枯れ菌もしくは他の木材腐朽菌に寄生する「菌寄生菌」だと考えられているそうです。

菌寄生 木ではなく菌に寄生する説があるのだとか

 そのため倒れた木ではなく、ナラ枯れ菌にやられているけれどやられきっておらず、ギリギリ生きている木の根元を探していきます。100本くらい見回っても見つからない様子を見ると、全国的に増えているといっても心配しすぎることはなさそうです。

 その後2日探し、ようやくカエンタケの幼菌を発見しました。しかし今回の実験には成熟したカエンタケを使いたいこと、成熟するまでに1〜2週間かかりそうであることから、水分を与えて育ててみることに。

まだ小さい 2日かけてようやくカエンタケを発見しました!

 1週間後様子を見に来ましたが、残念ながらカエンタケは全く成長せず未熟なまま終わってしまっていました。しかし周辺にカエンタケがたくさん生えていたため、さらに1週間待ち、大きく成長していた1本を採取して持ち帰ることに成功したのでした。

カエンタケを採取 念願のカエンタケをゲットです

 なおうごめ紀さんは素手でカエンタケに触っていますが、人によっては炎症を起こす可能性があるため、絶対に素手で触らないようにしてくださいね。

カエンタケを使った実験

 うごめ紀さんが今回確かめたいこと、それは「カエンタケを食べる生き物がいるのかどうか」ということです。普通、キノコはすぐに昆虫やナメクジ、小動物に食べられてしまいますが、カエンタケが虫に食われた痕をほとんど見たことがないのだとか。

たとえ毒キノコでも カエンタケを食べる生き物がいるのか調べたいとのこと

 そのため今回はキノコを食べる昆虫・ゴミムシダマシとカタツムリを捕獲し、カエンタケを与えてみることに。捕獲してきたゴミムシダマシをカエンタケと同じケースに入れて3時間ほど放置してみましたが、カエンタケを食べた様子はありませんでした。

全然食われてる キノコ食のゴミムシダマシもカエンタケは食べないようです

 次に、捕獲してきたカタツムリとカエンタケを同じケースに入れてみることに。しばらく観察するとカタツムリは少々カエンタケをかじった程度。食べて「おいしい」と思ったのならもっと食べてもいいはずです。

カエンタケに乗るカタツムリ なんでも食べるカタツムリにカエンタケを与えると
ここに注目 少しかじってみた形跡が

 そこで次は狭いケースにカタツムリ2匹とカエンタケを入れ、12時間放置してみましたが……一口かじった形跡はあるものの、カタツムリはほとんどカエンタケを食べていませんでした。

2匹で長時間 カタツムリを2匹にして、ケースを狭くしてみると……
みたいなかじりあとが ちょっとだけ食べてやめたようです

 うごめ紀さんによるとカエンタケの毒はカビ毒の類いであり、カタツムリにはカビ毒を嫌がる傾向があるようです。そのためカエンタケからキノコの香りがするからかじってはみたものの、すぐに食べることをやめたのではないかとのことでした。皆さんもカエンタケを見つけても触ったり、かじったりしないようにしてくださいね。

 今回の実験結果から、新鮮なカエンタケを食べる動物はあまりいないのかもということが分かり、「やっぱ食わないんだ……」という一種の感動を覚えたうごめ紀さんなのでした。なおカエンタケを食べたカタツムリはその後、何もなかったかのように元気にしているとのことです。

「素晴しい研究者ですね」「ちゃんと食べてから好き嫌い決めるのえらい」の声

 動画には「素晴しい研究者ですね」「ここまで『オレ、毒あります。』と体言してるのはありがたい」「ちゃんと食べてから好き嫌い決めるのえらい」「ちょっとかじってみても全く毒にやられないカタツムリがむしろすごい」「好んで食べないとはいえ毒は効かなそうなのか…勉強になるなぁ」といった、多数のコメントが寄せられています。

 うごめ紀さんは世界中を飛び回り、撮影した昆虫や冬虫夏草などの動画や写真を同チャンネルとX(旧Twitter/@UgomekiMushi)で公開しています。

カエンタケに触れるとどうなるのか実験してみた
セミを海に投げると、大型魚が釣れまくる
「兼六園」にヤバい外来種の昆虫が大発生してる
       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/21/news189.jpg 「大物すぎ」「うそだろ」 活動中だった“美少女新人VTuber”の「衝撃的な正体」が判明 「想像の斜め上を行く正体」
  2. /nl/articles/2411/22/news014.jpg 川で拾った普通の石ころ→磨いたら……? まさかの“正体”にびっくり「間違いなく価値がある」「別の惑星を見ているよう」【米】
  3. /nl/articles/2411/22/news114.jpg 中村雅俊と五十嵐淳子の三女・里砂、2年間乗る“ピッカピカな愛車”との2ショを初公開 2023年には小型船舶免許1級を取得
  4. /nl/articles/2411/21/news027.jpg 大きくなったらかっこいいシェパードになると思っていたら…… 予想を上回るビフォーアフターに大反響!→さらに1年半後の今は? 飼い主に聞いた
  5. /nl/articles/2411/22/news032.jpg 「壊れてんじゃね?」 ハードオフで買った110円のジャンク品→家で試したら…… “まさかの結果”に思わず仰天
  6. /nl/articles/2411/22/news018.jpg 猫だと思って保護→2年後…… すっかり“別の生き物”に成長した元ボス猫に「フォルムが本当に可愛い」「抱きしめたい」
  7. /nl/articles/2411/22/news171.jpg なんと「身長差152センチ」 “世界一背が低い”30歳俳優&“世界一背が高い”27歳女性が奇跡の初対面<海外>
  8. /nl/articles/2411/22/news145.jpg 大谷翔平と真美子さん、「まさかの服装」に注目 愛犬デコピンも大谷家全員で“歩く広告塔”ぶり発揮か
  9. /nl/articles/2411/20/news027.jpg 「こんなことが出来るのか」ハードオフの中古電子辞書Linux化 → “阿部寛のホームページ”にアクセス その表示速度は……「電子辞書にLinuxはロマンある」
  10. /nl/articles/2411/22/news184.jpg 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  4. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  5. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  9. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  10. 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた