「船外機をプラモにしてください!」とホンダから直訴!? “水上のスーパーカー”BF350はいかにしてプラモデルになったのか(1/5 ページ)
プラモデルになるまでも、紆余曲折の連続でした。
1月発売予定のマックスファクトリー製プラモデル「minimum factory みのり with ホンダ船外機 BF350」。「船外機」という、どちらかといえばニッチなメカがいきなりプラモデルになったのが不思議で、取材するためにホンダの細江船外機工場に取材に伺った結果、冬の浜名湖をBF350を積んだボートで激走することになったのは、前回書いた通りです。
積んでいるのはホンダ初のV8エンジン、パワフルでタフでシンプルでラグジュアリーという、BF350自体の魅力は前回の記事でわかったわけですが、ではこのプラモデルが実際に完成するまでにはどのような事情があったのでしょうか。飛行機や戦車、ロボットや車といったプラモデルの定番モチーフとは異なる題材ゆえ、普通じゃないエピソードがあったのでは……?
ということで、この「みのり with ホンダ船外機 BF350」の企画・開発を担当したマックスファクトリーの高久裕輝さん、そしてホンダ側の担当者として監修や折衝を行った本田技研工業パワープロダクツ事業本部の中島茂弘さんに、キット開発にまつわる経緯をお聞きしました。前代未聞な「内部構造まで再現した船外機のプラモ」は、いかにして実現したのでしょうか。
耕運機、除雪機、それなら次は船外機!
──BF350がどういうもので、どれだけパワフルか、というのは先ほど船に乗ったり説明してもらったりでだいたいわかったんですが、これがプラモになるというのは、やっぱり紆余曲折あったのではないかと思います。あらためてプラモデル化の経緯をお聞きしていいでしょうか?
中島 そもそもなんで船外機のプラモが出たかっていう話だと、そのひとつ前のキットの話からしないといけないんですよ。というのも、元々はF90っていう耕運機のプラモデルからマックスファクトリーさんとのお付き合いが始まりましたけど、F90って1964年の商品なわけですよ。プラモデル化は我々としてもハッピーだし、社内においてもみんな「すごい、すごい」と言ってくれましたが、しかしやっぱり「どうせなら現役のモデルをプラモにしてくれないかな」という声もありまして。
高久 商売のことを考えれば、そうなりますよね。
中島 なので、高久さんと会うたびに「次は現役ね」「現役の商品だよ」ってずっと言い続けてたんです。プラモデルだし、流れとしては「ホンダのパワープロダクツの、歴代有名モデルを順番に出す」というのもありそうじゃないですか。だからそうならないように、ひたすら「次は現役ですよね」って言い続けた(笑)。
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