大阪・梅田駅に貼られていた奈良の観光ポスター「泊まれ」「日帰りなんてマジカ」が切実すぎると話題になっています。制作した奈良市観光協会にそんなに切実なのか聞いてみました。
話題となっているポスターには、鹿が悠々と歩く横断歩道に「泊まれ」の路面標示が描かれています。制作は2016年度末で、大阪駅で奈良市のキャンペーンを実施するため、協会が最近何枚か提供したうちの1枚だったそうです。今頃になって大きな反響が返ってきたことに驚いているとのことでした。宿泊してもらえない切実さが直球で伝わるポスターですが、実際にどれくらい宿泊者が少ないのでしょうか。
――奈良に泊まる人は、そんなにも少ないのでしょうか?
データでお話すると、2017年に奈良市を訪れた観光客は1631万人です。対して宿泊者は180万人。京都や大阪から日帰りする方も多く、宿泊者は少ないんです。奈良に泊まってほしいという気持ちを、どう伝えたらいいかと考えたときに、率直に「泊まれ」というのがいいかなと。それに、奈良は鹿が歩いている光景をあちこちで見られますので、合わせてみました。
――この「泊まれ」という横断歩道は実際にあるんですか?
実際にはないです。合成です。鹿も合成です。実際にいる鹿を撮って合成しました。
――奈良に泊まるメリットというか、アピールポイントは?
2019年夏に、奈良の夜と朝を楽しむキャンペーンを実施します。例えば、夜景鑑賞バスです。奈良市内にある若草山は新日本三大夜景なので、そこへ行くバスを走らせます。
――奈良は盆地ですし、キレイな夜景が楽しめそうですね。
そうなんです。また、朝は朝で、午前中にしか楽しめないものがあります。例えば「鹿寄せ」ですね。
――ホルンを吹くと、鹿がわらわらと集まってくるヤツですね。
そうですそうです。それを売り出したりとか。もう一つ、ロータスロードというのがありまして。ロータスは蓮(はす)という意味なんですけど、蓮は午前中にしか咲きません。西大寺(さいだいじ)、喜光寺(きこうじ)、世界遺産の薬師寺(やくしじ)、唐招提寺(とうしょうだいじ)が蓮で有名で、この4カ寺を巡る共通拝観券を作っています。
――そういえば、奈良に宿泊したときに、東大寺大仏殿は7時30分から開いていて、朝一で行ったら混んでいなくてビックリした経験があります。柱の穴もくぐり放題でした。
修学旅行ですと結構混みますので、奈良に宿泊して、朝に東大寺大仏殿へ行くという学校も結構多いです。そしたら混まずに、みんな柱の穴をくぐれますし。
あとは、東大寺や世界遺産の興福寺は境内だけなら24時間入れます(お堂の中は拝観時間内のみ)。夜ちょっと散歩をしたり、早朝に参拝したりできるのが魅力かなと思いますね。そういったものを楽しんでもらうためには、やっぱり奈良に宿泊してもらわないとできないですし、奈良の夜は静かで、ゆったり過ごすにはいい場所です。是非、泊まってほしいです。
※当初「東大寺や世界遺産の興福寺は24時間入れます」としていましたが、厳密には敷地内のみ入れるため表現を一部修正いたしました
画像提供:奈良市観光協会
(高橋ホイコ)
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