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どうしてロボットゲーは流行らないのか? タニタのツインスティックがイイ感じだったので勝手に「ロボゲーについて語る会」をやりましたマシーナリーともコラム(2/4 ページ)

なぜ身体は闘争を求めるのに一向にロボットゲーは流行らないのか……。

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っていうかロボットゲームって何……?

池谷:あらためて調べてみたんだけど「ロボットを操縦するゲーム」って思ったより少ないんだよねえ。

とも子:そうなんだ。

池谷:特にファミコン前後のころのゲームとかだと、ロボットを操るゲームとうたいつつ、ゲーム的にはロボットが人間でもとくに変わらない、マリオでいいじゃんみたいなゲームも多いんだよね。

しげる:まあそうだよねえ。ロボットだろうが人間だろうがゲームで動かすキャラクターってことには違いないからなあ。

池谷:ロボットゲームの定義というわけではないけど、大事な要素というか「そういう要素があるとロボットゲームっぽく感じるもの」ってなんだろうと考えてみたんですよ。例えばロボット操縦感であったり、またはパーツカスタマイズであったり。

しげる:まあそうなりますよね。カスタマイズがないゲームも多いけど。

池谷:あと「ロボットのAIをカスタマイズするゲーム」というのもあるよね。「カルネージハート」とか。


ロボットゲーム座談会 カルネージハート」1995年、アートディンクよりプレイステーションにて第1作発売。横山宏デザインの無人機動兵器OKEは自分で操作できないため、戦闘中どんな行動を取るかをプログラミングする必要がある

とも子:「アーマード・コア フォーミュラフロント」もそうだけど……。じゃあ「頑張れ森川くん2号」もロボットゲームか……?

しげる:まあアレはロボットだけどどっちかというと人工知能要素強めに感じるな……。

池谷:あとは「ロボットアニメっぽい雰囲気」とかね。そういう要素を複数持ってるものってなると意外と少ない。

とも子:まあ「ロボット操縦してる雰囲気」っていうのもかなり曖昧な話だよな。「ガンダム vs.」シリーズなんかもモビルスーツ動かしてて楽しいけどさ、とくに初代の「連邦 vs.ジオン」なんかはわざとロボットっぽくない、中に人が入ってるみたいな挙動でアニメっぽさを出したりしてて、「ロボット操縦してる感」があるかっつーとそうでもないし。PS2版のミッションモードはガンダム世界の一兵卒ごっことしては楽しかったけど。


ロボットゲーム座談会 「ガンダムVS」シリーズ。2001年の「連邦VSジオン」から2018年稼働開始の「エクストリームバーサス2」に至るまで絶賛現役のアーケードゲーム。3Dのマップを2on2のチームバトルで戦う

しげる:「ロボット操縦してる感」だとやっぱ「鉄騎」が究極だし正解だよな。ああなるよなって感じ。

とも子:そうなあ。それをマイルドにしていくと「バーチャロン」とか、最近の作品だったら「星と翼のパラドクス」みたいになるわけだ。


ロボットゲーム座談会ロボットゲーム座談会 「星と翼のパラドクス」スクウェア・エニックスから2018年にリリースされたアーケードゲーム。エア・リアルと呼ばれるロボットを操り8対8の空中戦を行う。コックピットのような筐体はジョイスティックやフットパネルのほか、タッチパネルでキャラクターとのコミュニケーションが可能、ゲームに合わせて椅子がガタガタ動くなど非常にリッチな仕様

しげる:やっぱりさ、脚と腕が2本ずつあるものを十字キーで右や左に動かすってだけだと人間を操作してるのと変わらないわけじゃん。ロボットっぽさを覚えるためには、「人間のアバターにはできない動き」が重要なんじゃない?

とも子:それはそうだね……と言いたいんだけど、動きってだけなら超人でもできるからなあ。昔、ニンテンドーDSで「バトル オブ エレメンタル」っていう魔法使いが戦うゲームがあったんだけど、これがゲーム的にはまんま「バーチャロン」だったんだよ。

池谷:そんなゲームあったんだ。



とも子:当時のバーチャロン新作に飢えてたヤツらがみんな「これ実質バーチャロンじゃん!!!」って遊んでるくらいバーチャロンだった。だから私もバーチャロンは間違いなく好きなロボットゲームだし、ロボットであることが好きなゲームなんだけど、ゲームシステムとしては別にロボットじゃなくても成立するゲームなんだよね。

池谷:僕もニンテンドーSwitchの「ARMS」やったときに「実質バーチャロンじゃん!!!」ってなったので気持ちは分かる。

とも子:あれそうなんだ。



池谷:Joy-Conをツインスティックみたいに使うのでめちゃめちゃバーチャロンやってる気分になった。

しげる:全然知らないんだけど「バーチャロン」のオタクってそんなに常日頃「実質バーチャロン」を求めてるの???

とも子:常に飢餓状態だから……。

しげる:「バーチャロン」ってそんなに新作出てないの???

とも子:去年(2018年)ようやく出たけどそれも新作としては15年以上ぶりだからな……。


ロボットゲーム座談会 セガの「電脳戦機バーチャロン」シリーズ。第1作は1995年発売。ジョイスティック2本の「ツインスティック」でロボットを操縦してる雰囲気が存分に楽しめると話題になってヒットした。最新作は2018年に「禁書」とコラボして製作された「とある魔術の電脳戦機」

しげる:マジかよ。

池谷:細かいアップデートを除けば20年以上の歴史の中でナンバリングタイトル5つしか無いからね……。

しげる:アッ!!! そんなもんなの!?!? そりゃ飢えるわ。

とも子:「アーマード・コア」は15作も出てるのに……。

池谷:でもそんな「アーマード・コア」もぷっつり……。最近のフロムは「ダークソウル」とか「SEKIRO」とかばかりで……「SEKIRO」面白かったけど!

とも子:マシーナリーとも子は「アーマード・コア」ゾンビでもあるので「デモンエクスマキナ」も買うよ。


ロボットゲーム座談会 2019年9月13日にニンテンドーSwitchで発売予定のマーベラス「デモンエクスマキナ」。「アーマード・コア」の開発陣が関わっており、機体カスタマイズや操作性などがめちゃめちゃ「アーマード・コア」っぽい、元レイヴン・リンクス注目の一作

しげる:やっぱりロボットゲームって売れないんですかね?

池谷:よくそう言われてるし、追いかけてる身からしてもそんな気はすごいしてる……。

とも子:それこそ20年以上前の話ではあるけど、「バーチャロン」が企画されたときにセガの偉い人から「お前ら若者はすぐにロボットゲームを作りたがるけど売れないからやめとけ」って言われたって有名な話があるのね。ロボットゲームがタブー視されてた時代だったのよ。

池谷:今もそうなのかねえ。

とも子:どうなんスかね。景気が良い話は聞かない反面で「星翼のパラドクス」とか「HARDCORE MECHA」みたいな新作ゲームも発売され続けてるわけで一定の需要はあるともいえると思うんだけどな。


ロボットゲーム座談会 HARDCORE MECHA」2019年6月にPS4とSteamで発売された、中国のRocketPunch Gamesによる2Dアクションゲーム。ロボットの滑らかな挙動が「ほぼ自分で動かせるスパロボの戦闘アニメじゃん」と話題に

しげる:まあでも「アーマード・コア」の新作が出なくて「ダークソウル」や「SEKIRO」が作られ続けてるというところでなんとなく察するものはあるな……。ロボットのゲームって結局、あんまり求められてないってことなんかね?

池谷:そうかも……。


ロボットを操るとはどういうことなのか

池谷:ロボット操縦してる感強いゲームといえば昔、すごいデカい「バトルテック」のアーケードゲーム筐体があったんだよね。まさにコックピットっていう感じの。


「バトルテック」1984年のボードゲームからスタートしたアメリカのロボットもの。ここで話題に上がっているのは1990年(日本では1992年)から稼働開始した、メックのコックピットを模した超大型筐体と、それを置いた専用の施設「バトルテックセンター」

とも子:ゲーセンが元気なころの、大型筐体華やかなりし頃だよな。さすがに遊んだことないけどちょっと憧れたなあ。「バーチャロン」も開発するときに参考に遊んでみたって本で読んだ。

しげる:うーん。俺、思うんだけど、そもそも論として「ロボットを操縦したいか?」問題がある気がする。

池谷:えっ!? したいよ! なに言ってんだよ!

しげる:俺はそんなにないし、もしやるんだったらちゃんとやりたい。

池谷:どういうこと?

しげる:なんというか十字キーで動いてほしくないんですよ。

とも子:でもいまの時代、リアル戦車だって十字キーで動くんだぜ。

しげる:それはそう! そうなんだけど、なんだろう。例えば「パンツァーフロント」ってあるじゃん。あれは「いかに戦車に乗ってる感を出すか」に全振りしてるゲームなのよ。ミリタリーオタク向けのゲームだから。なんか「向こうの丘の地平線の上からT-34が大量にやってくる! んでこっちはティーガーに乗ってて、その様子を双眼鏡で見ながらめちゃめちゃな数来てるな〜〜」みたいな気持ちを味わえるんだよ。小林源文の戦記漫画みたいな気持ちになれるわけ。


ロボットゲーム座談会 パンツァーフロント」アスキーから発売された戦車シミュレーター。戦車乗組員になりきれる! と当時のミリオタを狂わせた

とも子:なりきりゲーが好きってことでしょ?

しげる:まあ、そう。だから「パンツァーフロント」も十字キーで戦車を動かすゲームなんだけどさ、でもそこだけに収まらない魅力があるわけよ。

とも子:シチュエーションであったり視点とか縮尺であったりってことだろ?

しげる:そう。そこがヤベェ〜なってのをやりたい。そういう意味で言うとT-34に撃破されてもうれしいんだよ。死んだドイツ兵になりきれるから。

とも子:わかるわかるわかる。「コロニーの落ちた地で…」でハチャメチャに強いアムロにぶち殺されたときうれしかったもん。


ロボットゲーム座談会 1999年にドリームキャストで発売されたガンダムゲーム「機動戦士ガンダム外伝 コロニーの落ちた地で…」。基本的にガンダムとかニュータイプとかが出てこない、キャラクターデザインが小林源文とガンダムゲーにしては異常に渋いゲーム

しげる:そうそうそうそう! アムロに殺られたらうれしいじゃん。

とも子:うれしいっていうか仕方ないよね。勝てる方がおかしいんだから。相手アムロだぜ?

しげる:そうそうそうそう! だって「俺はアムロに勝てるくらい強いパイロットになりたい」ってやっぱりガンダム方面の欲望としてあんまり健全ではないじゃない。

とも子:連邦軍のプロパガンダで生み出された書類上の架空の人物っぽさある。

しげる:だから単に操作方法うんぬんだけじゃなくてさ、ロボットのゲームを作るぞ! ってなるとすごくロボットに対しての解釈の幅とか深度を問われる気がする。十字キーで動かせるんだったらそれはそれで別に没入できる仕組みがないと良くないと俺は思う。

とも子:「アーマード・コア」は十字キーでロボットを動かすゲームだけど、アレはめちゃめちゃ操作をややっこしく忙しくすることでそのへんをカバーしてるんだよな。

しげる:そう。あれは操作を習熟するうれしさみたいなのがあるじゃない。俺はロボットを操縦することができるようになったぞ〜〜! というさ。

とも子:しげる的には「ガンダム vs.」シリーズみたいなのはシンプルすぎてロボット動かしてる感が薄いってことだろ。「ガンダム vs.」シリーズは横2回入力すればステップするけど「アーマード・コア」はL1押しながら十字キー押しながら×ボタンをいい感じに押さないと横に小ジャンプ移動できないもんな。

しげる:うん、そう! そうそうそう。

とも子:「鉄騎」なんかまさにその塊だよな。ようするに段取りを大事にしたいんだろ?

しげる:うん、そう。段取りなんですよ! ロボットに対してうるさくなればなるほど手元のコントローラーでは足りなくなってくるんじゃないか! ……って思ってたんだけど、さっきも戦車の話とか出てきたけどさ、いま米軍のドローン操縦とか全部ゲームパッドなんだよなあ。

とも子:現実の方が追い付いてきちゃったねえ。

池谷:こないだ話題になったイスラエルの新しい戦車(カルメル計画)なんか完全にゲームだよねえ。

しげる:あれー!? 俺が思ってたロボットの操縦ってこういうんじゃなかったけどなんか現実がこうなっちゃったかあ〜〜!! っていうショックはあった。


ロボットゲーム座談会 参考記事:まるでゲーム? 「未来の戦車」イスラエルが試作機を公開(AFP BB NEWS

池谷:でもゲームプレイ以上に、そこに至るまでの段取りが大事ってのはロボットゲームにおいて大事なことかもしれないね。繰り返し出てる話題だけど「ロボットも人間もゲームの上では見た目が違うだけじゃん」というのを、段取りをキチンと経てちゃんと没入させているのがロボットゲームなんだと思う。

とも子:そうね。そこで言うと「バーチャロン」はツインスティックの時点でそれが成立してる。

池谷:ストーリーも初代は「アーケード筐体を通して実際の戦場に赴いてる」って設定だもんね。

しげる:ああ、アレってそういう話なんだ。

とも子:「民間人が実際の戦場で戦えちゃってるのでバーチャロン世界のリアル軍人が困る」みたいなストーリーがある。

しげる:ふーん。本当に全然知らない作品だから変なことを聞いて申し訳ないんだけど「バーチャロン」のオタクって何にハマってるの?

とも子:またすごいこと聞くね。

しげる:だって20年で数作だけ発売された作品に対して、ずーっと飢餓感を覚えて新作を求めたり、新しいツインスティックのクラウドファンディングにお金出したりしてるんでしょ? その情熱の源ってなんなんやろなあって思って。

とも子:うーん、ガンダムみたいなもんでひと口では言えないんだよな。単にゲームがめちゃめちゃ好きって人もいるし、メカデザインがめちゃめちゃクールだから好きって人もいるし……。私は世界設定が好きだなあ。例えばガンダムだとさ、モビルスーツが人の形してることの理由付けってのが「宇宙空間で腕とか脚振ると慣性で移動できるから燃料の節約になって〜……」みたいなのあるじゃん。

しげる:AMBAC(※)な。

※AMBAC(アンバック)……ガンダムシリーズに登場する架空の技術。モビルスーツの手足を使った宇宙空間用の姿勢制御システムのこと


とも子:バーチャロンだとそのへんはすごく割り切っててさ。バーチャロンの世界ってロボットが戦う理由は「儲かるから」なんだよ。あの世界って戦争が興業化されてて、ずっと従来通りの戦争してるなかで「ロボットで殴り合いしたらすげえビジュアル的に撮れ高あってウケるんじゃね?」って理由でロボットが作られるの。

しげる:ああそういう感じなんだ。「スカイ・クロラ」みたいなのな。

とも子:だから客にウケるからみたいな理屈で続編が出るたび、どんどんロボットの意匠がハデになっていったりするのよ。

しげる:だんじり祭りみてぇーなもんか。

とも子:まあそういう、いちいちちょっとひねくれたというか、シニカルな感じの世界設定が好きだな私は。

しげる:なるほどね。じゃあとも子はバーチャロンのそういうフレーバー的なとこが好きなのね。

とも子:いやでも、今はそうってだけで、最初にプレイしてみたきっかけはやっぱりゲームでツインスティックを見たインパクトかなあ。みんなそうなんじゃない? やっぱりアレを握ってロボットを操作できるってのは当時衝撃的だったよ。

しげる:うん。やっぱそういうとこなんじゃない?! ロボットゲームが難しいのはさ。何を語るにしてもひとくちでは言えねえっていうか……。

とも子:そうだな……。「どこが好き!?」って聞かれたときに延々と前提を語らなくちゃいけない感じが……。


ロボットゲーム座談会 チリコンカン。ふだんあんまり食わないスパイス効いててうまい

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