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引退する静鉄「1000形」2編成、えちぜん鉄道と熊本電鉄へ譲渡決定 地方私鉄→地方私鉄の珍しい譲渡、そのワケは?(1/2 ページ)

1009号は2月29日、1010号は3月6日に最終運行。そしてびっくりの再就職!

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 静岡鉄道は2月18日、長年親しまれ、2021年3月までに引退する「1000形」2編成の譲渡先が決定したと発表。「熊本電鉄」と「えちぜん鉄道」で今後も活躍します。

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静鉄電車のオリジナル車両「1000形」。新天地へ(写真:呼んでる渋沢)

 1000形は1973年に静岡鉄道のオリジナル車両として登場し、長年親しまれるステンレス製の車両。近年、こだわりの新型車両「A3000形」(関連記事)へ置き換えが進んでいます。

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(参考)7色レインボーカラーの編成も用意した新型車両「A3000型」(画像:静岡鉄道)

 運用する1000形のうち、「1009号」は2021年2月20日13時05分発の新静岡発柚木行きを最後に引退し、熊本電気鉄道へ。「1010号」は同年3月6日13時05分発の新静岡発柚木行きで引退し、えちぜん鉄道へ、それぞれ譲渡されます。

 譲渡決定を記念し、2021年3月6日から「1000形」の熊本鉄道/えちぜん鉄道とのコラボグッズも静鉄新静岡駅などで販売します。グッズはメッセージカード付き。記入して提出すると引退車両へのメッセージが譲渡先にも届きます。

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えちぜん鉄道へ譲渡される1010号(写真=左)と、熊本電鉄へ譲渡される1009号(写真:呼んでる渋沢)

「珍しい」地方私鉄間の譲渡、なぜ実現したの?

 静岡鉄道、熊本電鉄、えちぜん鉄道はそれぞれ地元・地域に寄り添って走る地方私鉄。コストの都合で新車の導入が難しい地方私鉄は、大手私鉄から中古車両を譲り受けて運用することが一般的です(関連記事)。その一方で、自社・顧客のニーズに沿った独自車両を自社発注して運用する鉄道事業者もあります。

 大手私鉄から地方私鉄への車両譲渡は多くあります。しかし地方私鉄のオリジナル車両は同じ鉄道会社で活躍を終えることが多く、譲渡されるのはなかなか珍しいことです。

 地方私鉄のオリジナル車両は大手私鉄の車両と比べて活躍期間が長く、結果として老朽化し、廃車になることが大半なためです。静岡鉄道1000形は引退時点でも状態が良く、譲渡先の鉄道事業者で走れることで譲渡が実現。引退かと思っていたところの再就職、まだ走る姿を見られることがとても喜ばしいです。

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富山地方私鉄17480形電車(元東急8090系)。地方私鉄への譲渡車両は大手私鉄出身が大半を占める(写真:呼んでる渋沢)

1000形初の譲渡は、縁のある都市への譲渡

 熊本電鉄はかつて静岡鉄道から譲り受けた車両を「500形」と「600形」として運行していた実績があります。これらは2000年に廃車となりましたが、1000形が再就職すると、21年ぶりに静岡鉄道の車両がやってくることになります。

 えちぜん鉄道の路線がある福井市でも、元静岡鉄道の車両が活躍。福井鉄道が静岡からやってきた「300形」を2006年まで運行していました。路線は変わりますが、福井の街に再び静岡鉄道の車両が走ることになります。

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えちぜん鉄道三国港駅(画像:呼んでる渋沢)

 鉄道ファンも早速「楽しみが増えた」「新天地でも頑張ってほしい」などと譲渡先の決定を歓迎。特に熊本と福井への譲渡ということで「もともと縁のあるところだ」「時代は繰り返す」といった声も聞かれました。

 普段乗る電車も、旅先で乗る電車も、こんな縁があって走っていることを知るとほんわかと親近感がわいてしまいます。地方私鉄の名車が歩む第二の車生、新天地での活躍を楽しみにしたいですね。



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