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半田健人「僕には『仮面ライダー555』を守る権利と義務がある」 新作撮影で監督に直談判、20周年記念インタビュー(2/2 ページ)

「(20周年記念作では)ファイズフォンはスマホになってますよ」

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半田健人さん
半田健人さん

消えゆく渋谷を残すため誕生したヒーロー 「超絶戦士サプライザー」

―― 最近のお仕事の話をお聞かせください。このところは俳優業より音楽関係のお仕事が多い印象ですが、今具体的に取り掛かっているプロジェクトはありますか?

半田 ちょうど自主制作のアルバムを作っています。そろそろ作ろうと思ったのが2023年の初めで、年が明けてから一気にやろうと決めてもう大詰め。僕はわりと曲はすぐできる方だけど、作る動機が結構大事なんです。曲を量産することはできても「じゃあこれを何のために作ってるの?」とか考えて行き詰まるときがある。

 今回の場合は前作が5年前で時間も空いたし、2022年のうちに「これをレコードジャケットに使えたら」って写真素材が先にあったので「写真に合わせてアルバムを作っちゃえ」とスタートしました。

―― ジャケ買いの作り手バージョンみたいな。初めて聞きました。

半田 おっしゃる通り、僕自身がレコードを集める中でジャケ買いが多い方です。経験を重ねると、ジャケットを見て中の音がだいたい分かるようになってくる。年代や歌手の風貌から見えるようになるので、逆に自分でやってみようと思ったんです。「このジャケットがあるとしたら、ここに入っている中身は」と作ってみたら面白いんじゃないかなって。

―― この手のインタビューのお決まりの質問として、「作品のテーマは何ですか?」と聞きたくなるのが常なのですが、この場合はジャケット写真になってくるわけなんですか?

半田 テーマとはまた違う。写真はいわば制作動機で「何で作ろうかと思ったか」。

 偶然ですがちょうど今から10年前、29歳で人生初のアルバムを出したんです。当時は俳優業とバラエティー出演の仕事がほとんどだったけど、20代になってから「どんな形であれ20代のうちにアルバムを出そう」と決めていた。紆余(うよ)曲折ありギリギリ滑り込みで作った、それが僕の最初のアルバム。そこから10年たったから、みたいな気持ちはもしかしてあるのかな。直接つながっているわけではないので聞く人がどう捉えようと自由ですけど。

 僕も自分でいろいろと口出しをするタイプなので「何だったら俺が帯作るから!」と、昨日もずっとデザイナーさんとメールのやりとりをしていました。マスタリングもやり直しては「もうこれで完成!」って家に持ち帰り聞いてみて、「やっぱ違う」。「もう1回」「もう1回」と、われながらうっとうしいやつなんです。

―― 自主制作ならではですね。

半田 そうですね。これがメーカーだと、こっちが多少引っ掛かっても「いや、そういうもんだから」と丸め込まれちゃうんですけど、自分がプロデューサーだとOKするのも自分、NG出すのも自分。本当にキリがないです。でもそうまでしても、これまで作った作品で100%満足できたといえるものは1つもないです。

―― クリエイターには「満足したらもうそこでおしまい」とおっしゃる方が多い印象です。

半田 音楽に限らず、物作ってる人は絶対そう。僕は作詞、作曲、編曲、演奏もまとめて全部やるけど、オケは100点でもいい歌が歌えなかったら合計でダメですよね。逆にオケは大したことないけどたまたまいい歌が歌えたとか、歌もいいんだけどミックスバランスが良くなかったとか音質が良くなかったとか。

 絶対に前回の反省点を克服したものを作ろうと、それを次へつなげるわけです。でも克服するたびにまた新たな課題と欲が見えてくる。たぶん、100%を目指していないと思う。別にかっこいいことを言うつもりはないですけど、まず何が100%なのかも分かっていないですし。

半田健人さん

―― 俳優としてはどうでしょうか。演技にはどう取り組んでいますか?

半田 今まで自分で満足した演技なんてできていないんじゃないかな。演技の場合は、もう腹をくくっていて“監督が全て”。「こういう芝居どうですか?」と提案はしても監督がOKならOKで、監督がNGならもう1回やる。音楽なら「2回目のテイクのここを使ってください」「サビは3回目の方が良かったね」とできるけど、どんな大御所でも「監督! 2回前にやったやつを使っておいてください」とは言えないですよ。そういう文化がないから。

 映画やドラマは俳優じゃなくて監督のもの、僕はそう思っていて“料理されに行く”というか。自分のアイデンティティーは髪形とかで多少出せても、基本的には台本があってそれを演じに行くわけですから内心納得がいかなかったとしても、よほどのことがない限り「もう1回」と僕からは言わないですね。

―― 音楽の場合とは全くアプローチを変えているんですね。

半田 もう全然違います。受動的なのが演技であって、自分主体で動いていくのが音楽です。

―― そういった意味で、半田さんがYouTubeで展開されているオリジナルヒーロー「超絶戦士サプライザー」のシリーズは、音楽と演技のハイブリッドといえるのでしょうか。

半田 あれはもう遊びですから(笑)。

超絶戦士サプライザー 第1回「恐怖!姿なき怪人」

―― 事前のリサーチでも、なかなかサプライザーについての記録がなくて。どういうスタンスで続けているシリーズなのでしょうか?

半田 話すほどのことでもないというのが正直なところ(笑)。きっかけから話すと、ここ数年、渋谷の再開発がすごいじゃないですか。僕は古い建物や街並みが好きだから、この流れはあまり好ましくない。だから消えていく東京の景色を写真に残すなり映像で残すなりしておこうと思ったことが起点です。

 レコード会社の担当ディレクターに相談したら、写真やムービーを撮るのが趣味だと乗ってくれて、「まだ建ってるうちにこのビルをバックに撮っておいてくれ」という話から、「ただ撮るだけじゃ面白くないから小芝居やシリーズものにしちゃった方がいいんじゃないの」と発展していった。基本的に台本はディレクターが書いています。普通は作品を撮るからロケ地を決めなきゃいけないけど、ロケ地が決まっちゃっているから作品を作らなきゃいけない。実は今まで撮ったやつのロケーションになった場所はもう全部ないんじゃないかな。

―― なんと。「見覚えがある場所だな」と思いましたが、そう思えるのは今だからなんですね。

半田 そう、今はまだ見ている方の中にも記憶があるけど、10年たてば「ここどこだ?」となるはず。そういった意味で、サプライザーの価値はゆくゆく出てきますよ。やっぱり動機が一番大事。僕はそういうのが多くて、ジャケット写真が撮れたから中身を作る、ビルを撮りたいから作品を作る。逆でしょ?

 「何で撮ろうと思ったのか」「実行に移したのか」動機に関しては二の足を踏まず直感的に作る。「こんな作品を残して何になるんだ」とか、バズるのかバズらないのか、そんなことは最初から考えていないです。俺がやりたいからやってます。何よりも早くやらないとビルが取り壊されちゃうから。

―― ビルだけではなくロマンスカー・VSEの引退も扱っていました。ご本人を前に申し上げることではないですけど、どこかで聞いたような名前がいっぱいクレジットに入ってたり、画質の古さだったり、よくできてるなと感じます。

半田 基本的にはなめきってますからね、クレジットは。YouTubeのいいところって、無責任やご都合主義が通用する世界じゃないですか。ソフト化するとかちゃんと作品化するとなれば、やれ権利だ何だ、撮影の許可1つ取るのも大変だと思うんですけど、この規模であればギリギリいろいろと都合が良かったりしますから。

 もう演技っていうかコントみたいなものですし、せりふも現場で「何でしたっけ?」なんて言いながら適当にやって、だいたい1本2時間以内で撮っています。当日の夜には仮編集ラッシュが上がってきます。

―― 想像以上のスピード感。現在12回まで配信されていますが、いまだにサプライザーは変身していません。今後、変身を見られる可能性はあるのでしょうか?

半田 ビルを撮りたいという目的に合致したのがたまたまヒーロー番組だっただけで、変身もいつかやれればいいかみたいな感じ。目的が変身じゃないですから。僕が何かを演じるにしても「仮面ライダー555」をやっていたからヒーローものをやるのが一番受けやすい、入りこみやすい事情もある。

 変身したいんですけどね。ただ用意しなきゃいけないものが多いでしょ? そういう理由でああいう逃げ方(※サプライザーの変身には小田急ロマンスカーVSE50000形からの電磁波傍受が必要で、プロセス開始から3時間かかるとの設定が6回から登場)をしていたりもするんですけど……。ちまちまと続けて、そのうち「協力したい」ってスポンサーが現れたら、「サプライザー ザ・ムービー」をできる日が来るかもしれませんね。

 そうしたら僕はキャスティングからやります。声をかけるメンツを今頭に思い浮かべると、「これ555じゃねえか」ってメンバーになっちゃうな。まず村上さんでしょ、あと芳賀優里亜さんにも来てもらって、監督は俺とディレクターがいるとして……。サプライザー2号※も育児が忙しくなければ出てもらう(笑)。ただサプライザーを見ていると、乾巧じゃなくて明らかに本郷猛のところがありますけどね。

※サプライザー2号……第2回で登場。演じる秋山依里さんも「仮面ライダー響鬼」の天美あきら役で特撮ファンには知られた存在

―― 画面の質感からして完全に昭和のヒーローです。

超絶戦士サプライザー
全編から昭和の香りがじわじわくるサプライザー

半田 そう昭和のヒーローです。ちゃんと夏でも革ジャンを着るように心掛けています。

―― 暑そう。しかもシリーズが開始したのはまだコロナ禍の2021年でした。

半田 それも目的の1つでした。最初に始めたときはもうとにかく仕事がなくて、世の中が止まっていたんですよ。そうなってくるとファンのみんなにとっても、イベントはない、ライブはやらないでいろいろつまらないでしょ? でもコロナ禍では人が少なかったから撮影はやりやすかった。渋谷ですら誰もいないから通行人を消す必要がない。

―― テーマソングもどこかで聞いたことがあるような、いかにも昭和のヒーロー番組っぽい曲です。

半田 サプライザーで唯一こだわっているのが音楽。最近は歌詞も僕が自分で書いています。毎回変わる主題歌がサプライザーの押しです。ぜいたくなんですよ。

 さっきも言った通り、何でも作るためには動機がほしいんです。だから“サプライザーがあるから曲が増えていく”って僕としては都合が良くて、音楽作品の玉数が増えることは誇らしい。ちょっとしたBGMも作ってるから気が付けば「サプライザー音楽全集」で1枚アルバムが作れちゃう。でもまだ増えるだろうな。

―― 次回の予定は?

半田 僕から言わせると今の東京は再開発がひどいので、撮る場所はいっぱいあります。しばらくやっていなかったからまた撮ろうかなんて話はしてるんですけど、夏はおっくうなんですよね。暑くてしんどい(笑)。「革ジャンやだな」みたいなね。ディレクターと決めているのが体調優先。しんどかったらやらない。無理してやる必要はどこにもない。ペースを決めちゃうと重圧で面白くなくなっちゃうし、決まりを作らないことが続くコツですね。

 訴求力のないコンテンツだなとは思います。中には「何でもっと伸びないんだろう」みたいなことをコメントしてくれる人もいますけど、やっぱりYouTubeには売れるためのメソッドがある。僕もどうやったらバズるか聞いたことがあって、およそ全部やりたくないことだし自分には無理だと思いました。YouTuberの皆さんはすごい。だから僕は見る専門で、プレミア会員です。

誰だってヒーローになれる 「僕はげたを履かしてもらってます」

半田健人さん

―― 人生100年と考えたらまだ前半。これをやっていきたいという目標や夢はありますか?

半田 みんな口をそろえて「目標を持ちましょう」「夢を持ちましょう」と言うけれど、何かに影響された変な教育概念だと思います。否定するわけではなく、人による。目標があるからこそ伸びる人もいれば、目標が重圧になる人もいる。夢があるから俺は生きていけるんだって人もいれば、夢がない人もいるし、ないからこそ俺は欲をかかずにやれるんだって人もいるかもしれないでしょう。

 「555」では“夢”が1つの大きなテーマになっていて、乾巧は「俺には夢がない」と言っています。当時はそのせりふの意味が分かっているようでいなかった。実感がなかったというか「夢がそんなに大事なのか?」と。

 僕のじゃないけど「555」には「夢ってのは呪いと同じなんだ」って有名なせりふ(※海堂のせりふ、第8話に登場)もあります。これは脚本の井上(敏樹)先生が生み出した名せりふで、まさにその通り、夢は呪縛になり得る。こだわっちゃうとそこから抜けられなくなっちゃう。

 僕に大きな夢はないけど、自分に正直に生きたい。偉業を成し遂げたいとかはないです。ただ自分に正直に、自分と深く縁を持った人にはありがとうと言いたい。当たり前のことですけどね。使い古された言葉かもしれないけど、これができてる人って少ないと思うんです。嫌なものは嫌って言う、逆にダメと否定されても性に合えばやってみたらいいんじゃないかな。ちゃんと人に感謝できて、人を恨むことなく一生正直にやっていけるって、実は大金持ちになるとか偉業を残すとかよりも大切なことなんじゃないかなと僕は思います。

―― “仮面ライダー俳優”という肩書は一生絶対についてくるものだと思いますか?

半田 いいんじゃないですか。ヒーローって応援する人みたいな見方をされることもあるから、僕なんかに応援されて本当に励みになるのか? と思うけど、それも含めてファイズを演じることが人生の役割の1つだったならば僕は否定しません。

 分かっていますよ。音楽は好きですし、僕の主体性が強く反映されているジャンルの仕事ですが、世の中は半田健人の音楽よりも、半田健人のファイズを待ち望んでいる。それは光栄です。自由に音楽をやれてるのも「555」があるからのこそだと思うし全然気にしていません。

 “ライダー俳優”の肩書に関しては先輩方も、後輩も含めていろんな解釈があると思います。皆さんいろんなことを仰ってますが、かくいう藤岡弘、先輩ですら一時期はよりハードボイルドな本格派アクション俳優を目指して変身ポーズすら封印された時期があったと聞きます。ところが藤岡先輩もある時期を境にそうではない生き方をされてますし、みんなそうなんじゃないかな。

―― 後輩の話が出ましたが、今のライダーはご覧になっていますか?

半田 いや、それが全く見ていないです。チラッと断片的に見た作品はありますけど、作品全体としては「555」以外は全部見ていないです。

―― では例えばライダーのOBとして、これからの仮面ライダーや、後輩ライダーにこうあってほしいとかそういう思いもない?

半田 全然ないです。言う資格がないし。ただ、「555」に関しては言う。実は今度の映画の台本が届いたときに、あるシーンがすごく引っ掛かったんです。変な話、半田健人としては別に良かった。役者としてやれるかやれないかと言えばやれます。でも「555」を20年間背負ってきた人間からするとダメ。

 それから20年を経てようやく客観視できるようになったという話をしましたが、ある意味ではようやく皆さんと同じファン目線で「555」を見たときに、これは許されない、断じて容認できないぞ、と思った。

―― なかなか面白い視点ですね。

半田 そう。これに関して僕は監督とプロデューサーに直談判してシーンを差し替えました。別に喧嘩していないですけど(笑)、第1戦はねじ伏せられたんです。監督たちが「半田くんの言うことも分かるんだけど、こっちには意図があり心配には及ばない」「心配してるようなことにはしないから、こっちもプロだから」と言われたんですけど、やはり納得できずに「もう1回時間ください!」って。

 そのシーンは芳賀さんも関わる場面で、僕と芳賀さんは共通の意識を持っていて、「どう思う?」と聞いたら「ないよね」「これはもうわれわれが立ち上がるしか阻止できないよね」と第2戦へ。2人で監督やプロデューサーに会いに行って、そのときに僕が言ったのはこんな趣旨の内容です。

 「プロデューサーにしても監督にしても、皆さんは平成ライダーというものを他の作品も撮っておられるし、作っておられましたよね。だから良くも悪くも『555』はワンオブゼムだと思うんです。でも僕らにとっては『555』がたった1つの仮面ライダーなんです」

 「はっきり言えば、僕は皆さんよりも『555』を背負ってます。僕は人生に『仮面ライダー555』を背負ってます。そういう人間には『555』を守る権利があると思うんです。いくら生みの親であっても、いってみたら育ての親は俺だ。あなた方は産んだかもしれない。だけど育てたのは俺、俺とファンだ。であればその育ての親から見たときに、これはアカンと言う権利がある。もっといえば義務がある」

 こんなことしたのは初めてでしたよ。今までも「ん?」と思うことは多々ありましたが、小僧だったしそこまでの体力がなかったのか、愛情がまだ芽生えていなかったのか、それを口にすることはありませんでした。20年の年月が自然とそういう気持ちになれるまでさせたんだと思います。「555」だけじゃなくて会ってきた人から学んだこととか、していただいたことで人間が形成されていく中で、トータルでそういう感覚の持ち主になれたのだと思います。

 これからの40代が楽しみです。身構え方がここ最近でちょっと変わって、そうすると捉え方も変わる。同じボールを投げられても足腰しっかり踏ん張っていればより多くの球を受けられるし、見えている範囲も変わってくる。これから40代に向けていろいろ楽しみです。具体的には何もないですけどね。

半田健人さん

―― この20年のスパンを振り返って、出会いやターニングポイントといった考え方が変化する具体的なきっかけはあったのでしょうか?

半田 よく成功者のドキュメンタリーでは「あのときこれが〜」ってありますけど、僕は日々の全てがポイントで、見方を変えるとポイントなんて1個もないと考えています。全部が流れるように続いてるんですよ。

 普通の高校生だった僕がある日突然仮面ライダーとして世に出た。ここは分かりやすいポイント。でもそこから芸能人生が始まり今日までずっと続いているわけで、話としては盛り上がりに欠けますが自分でこの出来事が劇的に人生を変えたと思えるようなことはないんです。

―― 「俳優をやりたい」「音楽をやりたい」という活動指針も、そのタイミングでやりたいことをやるみたいなスタンスでしょうか?

半田 音楽に関しては主体的に動くもの。俳優は受動。あまりスピリチュアルな例えはしたくないんだけど、口に出したらかなったことが何度かあった。科学的に解釈するのなら人生って毎日が選択だから、脳裏にあるやりたいことへ近い方を選んでいくんでしょうね。

 先日、2月に亡くなった東映の手塚治社長をしのぶ会があって、僕も顔を出したんですけど、そこで内藤剛志さんと久しぶりにお会いしました。それこそ「555」の翌年に出演した「科捜研の女」からたびたびお世話になった大好きな先輩で、役者としても、人間としてもすごく尊敬しています。そこで「またなんかやりたいね」なんて話をして、内藤さんとはまた仕事したいって気持ちになったのでもしかしたらかなうかもしれない。

―― 半田さんにとってヒーローはいますか? ヒーロー番組はあまり見ていらっしゃらなかったという話をいろんなところでされていますが。

半田 いっぱいいますよ。要するに憧れの人でしょ。俳優なら(アーノルド・)シュワルツェネッガーさんが好きです。アクション俳優の鑑じゃないですか。僕はアクションしない男で、体もきゃしゃだし自分と逆すぎて、だからああなりたいわけじゃない。なれないから好きなんです。だってどの世界でもシュワルツェネッガーさんに勝った男はいないんですよ。どの映画でも、必ず最後にシュワは勝つ。子どものころから大好きです。

―― 逆に半田さんを私のヒーローとして見ている方がいるとしたら、どんなメッセージを送りたいですか?

半田 実はよく分からないんです。ファンイベントなんかでそれこそ乾巧に憧れている人がベルトを巻いてくれたり変身ポーズを見せてくれたりする。本当にありがたいことだけど、半田健人として言えることは申し訳ないけど何もないかな。乾巧を通して感じ取っていただくのは皆さんの自由です。

―― では半田さんが考えるヒーローはどういうものになりますか?

半田 人それぞれ。正義って立場によるものだから、一概には言えない。裏社会の人たちからしたら悪の組長がヒーローなわけじゃないですか。

 けど「この人見てりゃ今日も一日元気に、笑顔になれるな」「力出たな」って思える人がヒーローなんじゃないかな。僕だったら女性でもいいと思うんですよ。この人のこと思うと気持ちが晴れる、“ほれてる女”ってそういう存在でしょう。僕にとっては最大のヒーローです。

 ヒーローっていろんな要素がある。救ってくれたり守ってくれたり、あとは光だったり希望なわけですよね。それが時に恋人でも、母親でも、父親でもいいし別にマントをつけてムキムキである必要はない。シュワルツェネッガーさんやスーパーマンでなくても身近なところにヒーローはいくらでもいると思う。

―― すごくすてきな考えです。

半田 例えば道を歩いていて車からひかれそうになったとき「危ない!」って守ってくれた人がいたとしたらその人はヒーローでしょう。それが仮にさえないおっさんだったとしても。身近な人も、僕みたいに役として仮面ライダーを演じた人間も、ヒーローになり得る確率としてはそう変わらない。僕はげたを履かしてもらってます。“仮面ライダー”という立派なげたのおかげです。

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