沼勢・ライト勢双方のハートをわしづかみにした「少年ジャンプ+」の定期購読施策
アニメのヒットから培った資産を最大限に活用し、作品の人気を維持する取り組みには、週刊少年ジャンプ編集部も熱を入れているようです。
電子版週刊少年ジャンプや電子版ジャンプ・コミックスなどをアプリで提供する「少年ジャンプ+」は、「鬼滅の刃」の定期購読を公式Twitterアカウントから促進しています。
2020年1月~2月に上演された舞台「鬼滅の刃」のチケット抽選エントリーの案内や、スピンオフ作品、画集といった限定コンテンツの公開、特別Tシャツのプレゼントなど、ファンが喜ぶ特典とともに定期購読を訴求しています。
「少年ジャンプ+」が「鬼滅の刃」を全面に出す形で定期購読の訴求を始めたのは、2019年7月1日が最初です。
これ以前は、「鬼滅の刃」を宣材にする形での定期購読訴求はされていませんでした。
2019年7月1日といえば、アニメ放送が始まって、徐々にTwitter上のクチコミが増え始めた時期。つまり、アニメ「鬼滅の刃」が注目され始めた時期と、「ジャンプ+」による定期購読訴求の開始タイミングは重なっています。
週刊少年ジャンプ編集部としては、作品の人気が徐々に出始めてから、良いタイミングのところで定期購読のPR施策を打ったことが予想できます。
ちなみに、アニメ放送終了後から現在までの期間(2019年10月15日から2020年3月11日)に投稿された「鬼滅の刃×定期購読」というワードを含むツイートを確認したところ、定期購読を始めた人は、大きく4タイプに分類できると考えました。
(1)売り切れ続出により書店でコミックスが買えるか心配のため定期購読を始めた鬼滅ライト勢
(2)展開が気になる、ドハマりした勢いで定期購読を始めた鬼滅ライト勢~沼勢
(3)定期購読の特典に惹かれた鬼滅沼勢
(4)コミックスも定期購読も両方読みたい鬼滅沼勢
こうしたクチコミから、「少年ジャンプ+」が展開する定期購読施策は鬼滅ライト勢・沼勢双方のハートもわしづかみにしていることがわかります。
定期購読施策もまた、アニメで得た資産を活用し、原作にも熱視線を注がせることに成功した施策のひとつであり、現在の鬼滅人気を支える要因のひとつ、といえるでしょう。
人気が高まり続けている現状を鑑みると、今後もなんらかの特典をつけた定期購読促進が行われる可能性もありそうです。
すべては作品の素晴らしさあってのことである
以上、2回に渡って「鬼滅の刃」の人気の背景や秘密を紐解いていきました。
アニメ人気から端を発し、周辺コンテンツの打ち出しや毎週月曜日に発生する本誌の盛り上がり、定期購読の促進、はたまた書店での売り切れなど、色々な要素や要因が複雑に絡み合って、現在の「鬼滅の刃」フィーバーが巻き起こっているのかもしれません。
とはいえ、一番の人気の秘密は、やはり作品そのものの面白さやクオリティの高さでしょう。考察してきた事柄はあくまで人気を支えていると考えられる要因であり、本質的には、作品の素晴らしさが何よりも大きい人気の土台なのだと思います。
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