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「エピソードありき」から「キャラクターありき」へ

 現在のまる子のクラスメイトである「3年4組」のメンバーは、固定で全員にフルネームがついている。しかし、初期のクラスメイトには、名前がなかったり一度しか登場しなかったりするモブキャラがたくさんいた。数名の固定メンバーのほかは「なんかその辺にいそうな子」として描かれていたが、そんなクラスメイトは徐々に消えていった。

 結構目立ってたのに消えた子も何人かいる。学級委員選挙で丸尾君と対抗馬だったぐらい目立ってたクラスのモテ男子・えびす君も、たまちゃんの次に仲よかったんじゃないか? というほどよく登場してたゆみこちゃんも、いったいどこに行ったんだ……。

たまちゃんの隣が「ゆみこちゃん」(画像は「Amazon.co.jp」より引用
現在の「3年4組」のクラスメイトたち(画像は「ちびまる子ちゃん オフィシャルサイト」より引用

 さらに初期アニメでは、ほぼ単発キャラでストーリーが成り立ってたんじゃないか? という頃もあった。お姉ちゃんの家庭教師なんて一度きりの出演だったのに、その回のメインキャラだ。ほかにも印象に残る単発モブは多く、「プールびらきのときにプールが嫌すぎて暴れて学校を脱走してその日の夕方に海パン姿で遠い町で見つかった男子」とか、「ラジオ体操で勢いがつきすぎて屁を連発してた男子」とか、挙げればキリがない。

 つまり最初のころは、「作者が観察した人や物事を面白く見せるために単発でキャラクターが描かれていた」のが、「徐々にキャラクターありきでストーリーが作られるようになっていった」のだ。

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ナレーションの立ち位置の変化

 アニメの中で起こる出来事に対して、解説したりツッコミを入れたりするあのナレーションは、元々作者自身の語りとして作中に入れられていたものだ。例えば「父はいい年して照れ屋なので気持ちが悪い」みたいな家族視点の無遠慮な一言が入るようなことも多々あった。

 最初のころは、本編+ナレーションでひとつのエッセイのようだったというか、ツッコミ(ナレーション)があったからこそボケ(本題)が活きてたというか、ナレーションが今よりも圧倒的に必要不可欠なものだった。

長らくナレーションを務めたキートン山田さんは、2021年3月28日の放送をもって番組を卒業

 アニメ化から10年ぐらい経ったころ、ナレーションはどんどん減って「後半へ続く」「そして翌日」だけになったりもした。作者がアニメの現場から離れたのも関係してるのかもしれない。

 近年はそこまで少ないことはないが、脚本が完全に作者以外の人に書かれてる今、作者が憑依したかようなナレーションを入れるのは困難だろう。それに対して、今回のように原作がリメイクされると「ナレーション=作者の声」になるので、近年のナレーションとは当然質が違ってくる。

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アニメ化を心待ちにしていたあの頃

 そんな訳で、アニメ「ちびまる子ちゃん」は主にこんなところが変わったんだぞ! というのを、キャラクター、ストーリー、ナレーションという観点でまとめてみた。

 私は小学生時代に「りぼん」に載ってる「ちびまる子ちゃん」がアニメ化される! と喜んで初回を心待ちにした世代なのだが、初期を知らない人に「ちびまる子ちゃんが好き」と言ってもなんだか上手く伝わってないような感じを覚えていた。

初期のアニメ「ちびまる子ちゃん」(画像は「Amazon.co.jp」より引用

 けど、ものすごく長続きしてるアニメって、どれもこういう変化を経てきてるのかもしれない。「サザエさん」「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」など30年以上続く作品のガチファンの方たちは、現在のアニメ放送に対してどんな思いを抱えてるのだろうか。

 現在リメイク版を放送している、ちびまる子ちゃんの「原作まつり」は1月30日までなので、またなにか新たな発見を期待しつつ見ようと思う。

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