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──いったいなぜこれを選んだんですか?

古川:オープンに当たって、自販機コーナーを設置したんですが、なかなかしっかりしたフード自販機がみつからなくて。

──ニチレイさんではなくこっちなのはなぜですか?

ニチレイ自販機。2021年9月末に全台が撤去されるまで長らくフード自販機の代名詞的存在だった

古川:オープン時、周辺が開発途上でなにもなかったんですよ。「ここじゃお客さんは来ないのでは?」とやんわりお断りされて。

──大変だ。

古川:いろいろフード自販機会社さんにお声がけさせていただいた中で、真っ先に設置OKをもらったのが非常食研究所さんの備蓄王だったんです。

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深夜にやっているお店がないので選ばれる

──売上はいかがですか?

古川:ずっと月に10~15個ペースで、多い月は20個くらいです。

──850円する割には売れるんですね。客層は?

古川:ほとんどビジネスの方です。駅前のコンビニとスーパーも夜12時くらいで閉まって、食べるところが飲み屋さんくらいしかなくなりますから。

──食事だけで飲み屋に1人では行きづらいですからね。

古川:サクッと食べてサクッと寝たい人が多いですからね。

──選択肢が限られる中で、運よくこれがはまったのか。ちなみに、売れるメニューはなんですか?

古川:やはりカレー、そして牛丼です。

やっぱり日本人のごちそう、牛丼は永遠の人気
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東日本大震災時にヒット

──ご自身も食べたことありますか?

古川:導入のときと、東日本震災で家に帰れなかったときに食べました。

──震災のとき、売れていそうですね。

古川:ええ、お客様に通常の食事も提供できましたが、備蓄王も売れに売れました。最盛期は1カ月で4~5万の売り上げでしたよ。

発熱する箱にのせながら食べると約20分保温できる

──いつもの4倍くらいのペースで売れたわけですね。ちなみに筐体の故障はありませんか?

古川:シンプルな機械なので、一度基盤のスイッチが壊れた以外の故障はありません。

──調理をするなどの複雑な機構がないですもんね。

古川:ええ。ただ、自分で取り出さなきゃいけないタイプの自販機なので、まれに酔ったお客さまから「お金入れたけど出ない」と言われるんです。

──勝手に出てくるから「自動販売機」なんですもんね。

古川:さらにそのまま時間が経つと閉まっちゃうんです。

──けっこう難易度高いですね。

古川:説明書きはあるんですけども。

──酔ったら注意書きも見逃しがちですからね。今後も自販機置いてくれそうですか?

古川:はい。食べ物系の需要はありますし、ふつうの電源で動くので電気代も安く、省スペースなので。

──冷やしたり温めたりしなくていいから、筐体が薄いですね。

古川:それでいて、震災の時も倒れなかったですし。

とにかく省スペースで済む

──ホテルマークワンさんにとって、この自販機はどんな存在ですか?

古川:オープン時から一緒にいる、なじみのベテランスタッフみたいなものですね。話のネタ的にも、ひと役買ってくれているんじゃないかな。

──客としても、もう忘れられない存在ですよね。黒い筐体の妙な自販機で。

古川:関東唯一の自販機になっていたとはびっくりです。

──ビジネスホテルに泊まる楽しさに上乗せしてくれて。きっと”孤独のグルメ”の友ですね。

備蓄王を設置しているホテルには、この札もよく置いてあった
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自販機はタダで貸して、食べ物だけ売った

 ここで真打ち登場。備蓄王を製造・販売している株式会社非常食研究所の代表取締役社長・西田東藏氏にお話を伺った。

非常食研究所の西田東藏社長

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