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ビジネスホテル名物、「備蓄王」フード自販機が消滅寸前ってホント? “関東最後の一台”を守るホテルで話を聞いた

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西田:撤収しようとしたら、農林省(現・農水省)から電話かかってきて、手薄だった国家備蓄用に商品採用の話が来たんです。

──おお!

西田:そして備蓄用にと指導を受けて改良し、農林省のお墨付きもいただいて。その後、APECで全国から応援に来る3万人の警察官のランチになったんですよ。

──大出世だ!

西田:その警察官が自分の県警に帰った時に、備蓄王が全国の県警に広まったんです。

──前途洋々ですね。

西田:そこから備蓄王は行政への売り上げがメインになりました。改良してだんだん賞味期限も伸びて、7年になりましたね。

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備蓄王の売り上げ減少も、技術を応用した「ユニフーズ」がヒット

コンビニおでんなどの台頭で苦戦を強いられたホテルの備蓄王(Photo by Benzoyl

──それからホテルの売れ行きはどうでしたか?

西田:下がっていきました。夜遅くまでやっているファストフード店やコンビニが増えたのが打撃で。たとえばおでんはコンビニが扱うようになってから売れ行きが激減しましたね。

──時代の流れは避けられないと……そのぶん、新しく開拓した備蓄用のマーケットで売れているわけですよね。

西田:ただし最近では行政での予算の関係で、備蓄王が売れなくなりました。

──ええ?

西田:非常食の王様は安価なアルファ米や乾パンですから。備蓄王はかつて何十万食と売れましたが、いまは年に2~3万食くらいです。

──それじゃ会社の経営も危ういのでは?

西田:ですが、2009年に登場した「調理不要食ユニフーズ7」が当たりました。刻み食や流動食もスプーン1本ですぐできますし、50~100万食売れていますよ。

──おお!

調理不要、出すだけで食べられるユニフーズ7。温めるとさらにおいしい

西田:これも備蓄王の技術を流用したものです。ごはんにかける具材も一緒やからね。

──備蓄王が形を変えて復活したようなものですね。

西田:ちなみに……自衛隊にも「ぐるべんファイター」っていう、冷やしたまま食べられる自衛隊用を卸していますよ。

──おお!

西田:そのほか病院や特別養護老人ホームにも卸しています。

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海外の客たちが続々とケース買い

──ホテル販売で、お客さんから反響はありましたか?

西田:「ホテルにあって助かった」とか、「雨の日に外へ出なくてよかった」とおっしゃっていただいて。「売ってくれ」ともよく言われました。海外に持ち帰られた方もたくさんおられるし。

──日本のおみやげに?

西田:そう、1ケース(12食)をホテルに送ってくださいとか。

──どの国の方が多かったですか?

西田:多かったのはヨーロッパですね。イギリスとかスペインとかあとは中国。やっぱり牛丼とカレーが人気でした。

かつて「夜食王」として出していた商品。「ミートスパゲッティ」もあった
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自販機があったから成長できた

──非常食研究所にとって、自販機はどういう存在でしたか?

西田:自販機があったからいろんな経験ができました。自販機が会社も個人も人間的にも成長させてくれたと思います。

──自販機のファンとして、そう言ってくれて救われた気持ちです。

西田:備蓄王や夜食王から、いま経営を支えるユニフーズも生まれましたから。

自販機があったから発展できた

 長らくフード自販機のトップランナーだったニチレイ自販機が2021年9月末で販売終了。同世代である備蓄王の自販機も数台を残すのみとなった。

 新しく餃子の自動販売機なども脚光を浴びる中だが、フード自販機界を細く長く支えた備蓄王の自販機の勇姿を少しでも長く見たい。興味がある方は、ぜひ「食べて応援」してほしい。

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