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ビジネスホテル名物、「備蓄王」フード自販機が消滅寸前ってホント? “関東最後の一台”を守るホテルで話を聞いた

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──備蓄王(夜食王)はどんなきっかけで生まれたんでしょうか。

西田:かつて素泊まりが前提のビジネス旅館に泊まると、飲食店が18~20時には閉まり困っていたんです。そこから「ホテルですぐ温かいごはんを食べられるもの」の発想に行き着きました。

──食べるものがない寂しさったらないですもんね。

西田:やがて、同じく素泊まり客の多いビジネスホテルが増えてきたので、そこに売りました。ビジホはフロントの人数も少ないですから、自動販売機にしたんです。

──夕食難民の救世主登場ですね。

西田:ええ。1994年に『夜食王 HOT!ぐるべん4』として発売し、最初に440台作りました。

──いきなり“4”? しかも最初から440台? 賭けですね。

西田:ただし、メンテナンス、お金のやり取りは全てホテル側にやってもらう条件でした。うちは商品だけ売ることにして。

──ラクに回るシステムを構築したわけですね。

西田:その代わり、自販機は無償で貸しました。

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かつてはいまの6倍売れていた

とにかく特大サイズの備蓄王。3つあるとかなりの迫力

──味へのこだわりは何ですか?

西田:各地域にある味の基準に左右されない、万人ウケのする「まあまあ」な味です。

──当時はどれくらい売れましたか?

西田:毎日10食売れるところもありました。地方では1日1個も売れない自販機もあるし、全国平均では1日に3~4食くらいですね。

──いまよりだいぶ売れていたんですね。

西田:とくにイベントがあると、1日何十食も売れました。たとえば甲子園で高校野球があると、選手や応援団が来ますよね。だからむちゃくちゃ売れます。

──とくに売れたのはなんですか?

西田:一番人気はカレー。牛丼、ハヤシライス。おでんも人気で、ビジネス客には部屋でビール飲みながらつまむのが多かったみたいです。

備蓄王のラインアップ。「豆腐丼」「きのこ丼」「すきやき丼」などのレア商品も

──逆にあまり人気がなかったのは?

西田:きのこ丼、豆腐丼あたりです。

──ちょっとマニアックですからね。

このあと「豆腐丼」も購入。甘い味付けに辛さが載ったなかなか個性的な一杯だった

西田:ほかにも、「山奥だから自販機を置いて」と、全国数十カ所のダム管理事務所に設置しましたよ。

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阪神大震災から備蓄用フードの道へ

──よく売れていて、順風満帆ですね。

西田:ところが、1990年代前半に多くのホテルが倒産しまして。

──ええ?

西田:彼らがみな「企業再生法」を使ったから、売り上げの2~3%くらいしか回収できませんでした。

──じゃあ大赤字……。

西田:だから1995年の阪神大震災、タダで3万食ほど配ったんです。もうやめるつもりやったから。泣いて喜ばれて、もらい泣きしたんやけど。

阪神・淡路大震災で被災したダイエー三宮第一店(写真提供:神戸市)

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