私がウェアラブルを卒業した理由――買う前に絶対知っておきたいユーザー体験談その買い物、ちょっと待った(1/3 ページ)

ウェアラブルデバイスを身に付ける人が増えてきたと思っていたら、いつの間にかみんなの腕から端末が消えている。単に飽きてしまったのだろうか? その理由をユーザーに聞いてみた。

» 2014年11月21日 22時26分 公開
[村上万純,ITmedia]

 「見てみて! 新しいウェアラブルデバイスを買ったんだ!」

 と、新しい腕時計を見せびらかすかのように意気揚々と語っていたのに、数カ月後には腕に何もしていなかったり、普通の腕時計に戻っていた――ということを目にする機会が多い。

 “ウェアラブル”と聞くと「Google Glass」のような近未来型のメガネ型デバイスを思い浮かべる人もいるだろうが、市販されているのは腕に付ける腕時計型デバイスが大半。スマートフォンと連携して着信やメールの通知をしてくれたり、活動量計として日々の健康を管理したりできるのが特徴だ。購入者の多くは、新しいもの好きの人や、健康に気を遣っている人たちである。

 そんな彼らはなぜ、突然ウェアラブルデバイスを身に付けなくなってしまったのだろうか。単に飽きてしまったのか、それともほかに何か理由があるのか……。かく言う筆者も「Fitbit Flex」というリストバンド型活動量計を利用していたが、充電器をなくしたことが原因でウェアラブル生活を強制終了させられた経験がある。さらに、データによる健康管理への“飽き”もあった。

 魅力的な製品が続々と登場しているため、読者の中にはウェアラブルデバイスへの興味を抱いている人も多いのではないだろうか。だが、製品によっては端末価格が数万円もするなど、気軽に買えるものではない。にもかかわらず、何らかの理由で利用をやめてしまった人たちが続出しているのだ。

 これからウェアラブルデバイスを買おうと思っている人は、使用者たちの生の声を聞いて、ぜひ参考にしてみてほしい。今回話を聞いたのは、ヘルスケア・フィットネス分野のウェアラブルデバイスを使ってきた20〜40代の男女3人。ITリテラシーは一般平均より高い印象で、複数の製品を使ってきた経験がある人もいる。共通するのは、今はウェアラブルデバイスの利用をやめてしまった(もしくは買い換えを検討中)ということ。購入利用や使い勝手などを含め、詳しく話を聞いてみた。

「求めるのは“簡単さ”と“丈夫さ”」 20代女性(メディア企業)

 メディア関係の企業に勤める20代女性のAさんは、仕事柄新しいガジェットに触れることが多かった。ウェアラブルデバイスに興味を持ったのも、2012年に米サンフランシスコに出張に行き、現地の人たちがみんなウェアラブルデバイスを身に付けている姿を見たことがきっかけだ。また、仕事で触れる機会も多く、これまで以下の4つの製品を使ってきた。運動好きで走ることが好きなAさんが使ってきたのは、いずれも活動量計だ。

  • 「Nike+ FuelBand」 (2012年8月から2014年5月まで)
  • 「JAWBONE UP」(2013月8から2014年2月まで)
  • 「Fitbit One/Zip」(2013年3月から2014年2月まで)
  • 「Misfit Shine」(2013年8月から2013年12月まで)
photo 「Nike+ FuelBand」

 この中で唯一自腹で購入したのが、ナイキの「Nike+ FuelBand」。いずれの端末も現在は使っておらず、取材時のAさんの腕にはG-SHOCKがはめられていた。ジョギング好きの彼女にとって、各端末はどのような価値を提供してくれたのだろうか。また、それぞれ使わなくなった理由は何なのか。

 毎日ジョギングをしたり、ハーフマラソンを走ったりする彼女が重視したのは、「簡単な操作性」と「丈夫さ」だ。「4製品の中で最も使い勝手が良かった」と言うFuelBand SEは、ボタンを押せば時間、活動量、消費カロリーがすぐに分かることと、防水仕様で走っていても簡単に腕から落ちない点がほかの端末より優れていたという。タイムの向上を目指すならより詳細なデータを表示する端末が必要だろうが、趣味で走る分にはFuelBand SEで十分だった。


photo 腕にあるのは「G-SHOCK」

 だが、2年ほど使っているとバンドの劣化が目立ち、バッテリー持ちも悪くなってきた。今回の取材に限らず、ウェアラブル端末を使っている人に話を聞くと、バックルが外れたり、部品の一部が破損してしまったということが決して少なくない。部品単位での修理や交換に応じているメーカーは少なく、故障があった場合は新品を買い直すことがほとんどだ。

photo Movesアプリ

 Aさんがウェアラブルデバイスの利用をやめることになった決定打は、「iPhone 5sが発売された」こと。M7コプロセッサが搭載されたiPhone 5sはかなり正確に活動データを取得でき、計測時の省電力性も向上。Nike+ FuelBandを管理する「Nike+ FuelBand」アプリだけでも十分になった。

彼女はアプリを起動したiPhoneを手に持って走り始め、「(ウェアラブルデバイスの)Nike+ FuelBandを使う必要性を感じなくなった」と話す。Aさんのようにスマホを手に持って走るという人は多くないにせよ、ショルダーバックやアームバンドなどにiPhoneを入れて、Nike+ FuelBandや同様の計測が可能な「Moves」アプリなどを使っているという人は少なくないだろう。

 ちなみにNike+ FuelBand以外のウェアラブルをやめた理由は、「デザインが好きではなく、睡眠を計るのにいちいちボタンを押すのが面倒」(JAWBONE UP)、「小さいのでなくしやすい」(Fitbit One/Zip)、「当時のアプリは主にAndroid向けに提供されていたので、iPadで使うのが面倒だった」(Misfit Shine)など、さまざま。普段から身に付けるものだけあって、デザインに関する言及が多かったのも印象的だった。


photo 「JAWBONE UP」
photophoto 「Fitbit One」(写真=左)。Fitbit Zip(写真=右)

ウェアラブルデバイスへの評価(Aさんの場合)

  • 求めるものは、「簡単な操作性」「丈夫さ」「バッテリー持ち」
  • 時間、活動量、消費カロリーなど最低限の情報が分かればいい
  • 故障した際にすぐに修理できる環境が必要
  • 2年以上使うと経年劣化してくる
  • iPhone単体で測定できるようになり必要性を感じなくなった
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