業界の突破口はネットワーク?:くねくねハニィの「最近どうよ?」(その29)(3/3 ページ)
やっぱりハニィの締めはネットワークだった!
高い開発費の回収を実現させていくには、現状の高スペック機向けのソフトウェアの場合は、「大量に売る」か「安く作る」以外には、ネットワークを駆使する以外に考えられない。これは日本だけがあまりノウハウを持っていない部分かもしれないね。だから海外から見ると、日本はインフラ(ネット環境)が整ってるのになぜオンラインゲームがウケないんだろ? って話題があちこちで出ます。
表層的なところでは、日本で立ち上がったオンラインゲームがあまり功を奏さなかったことが原因だろうけど、本質的なところでは「日本人は目に見えないものにお金を払えない」ってことなのかもしれないなと。ほら、日本に「チップ」って習慣はないわけで、パッケージという目に見える「物質」に対しては払えるけど、ケーブルを通って手に入ってはいるけど実態が見えないもの、ってのにお金を出せるのか? ってことかもなと。
アメリカのテレビはほとんどがケーブルテレビで、各世帯はサブスクライブ(月額支払)してるから、流れてるコンテンツ(映像もコンテンツでしょ?)にお金を払うってことに抵抗がないわけですよ。その点、日本は地上波にしろ地デジにしろ無料が基本でしょ? そういうことも、ひとつのギャップの原因かなと物思いにふけったりするハニィでやんす。
いや、余談ですけど、日本には実はi-modeをはじめとするモバイルコンテンツという過去の成功例もあるのだよね。モバイルコンテンツが立ち上がった時(ハニィもその渦中にいたこともあったな……)、日本人がコンテンツにお金を払うって知って驚いたことをよく覚えてるわ。
モバイルコンテンツ業界も今やアドモデルをうまく取り入れてユーザーニーズを絶やさないようにしてることを考えると、据置型ゲーム機に向けて供給するコンテンツに関しても「変化」を察知していかなきゃいけないんだと思うのでした。
ハニィのあとがき
新年早々の記事のつもりが、あらあら、こんなに遅れちゃったわ。気持ちと実態のミスマッチ! 市場と業界のミスマッチと言えば、前回書いたことだけど、案の定、北米では2008年ゲーム市場は、史上最大の市場規模と言われた2007年より19%(売上高ベース)アップ、空前の大市場になったっちゅうリポートが上がってきました。すごいよね〜。
でも、ウハウハのはずなのになぜかしょんぼり。市場規模がさらに大きくなってるのになぜかリストラの話や開発中止の話が出たりして……。これってまさに「ミスマッチ」よね? こんなことって今までなかったわけだし、そういう意味では過去のノウハウや経験だけに頼れなくなってるってことじゃないかしら。
とはいえ、今までの流れを急に変えるのは難しい。でも、環境や市場の変化をきちんと理解して受け止めていかないといけないと思うのですよ。日本のオリジネーター集団が、日本という枠を超えてコンテンツを供給していくには、枠外のインフラや環境の変化に対して柔軟に対応していかないといけないのよね。我ながらなかなか難しいことを言っとるが……。おこがましくも、ハニィはそういうギャップを埋める懸け橋になって行きたいと思ってます。くねくねハニィの今年の抱負でしたぁ! 今年もよろしこっ!
あ、今年はGDCが3月末ってことになってます。若いクリエイターの方々には刺激的になることだと思うし、アメリカまで行ったついでに小売店なんかも見てきてもらえればと思います。ぜひご参加くだされ(実は参加費は高いんですけどね……)って、別にGDCからお金もらってるわけではありませんよぉ(笑)。
くねくねハニィのプロフィール
1967年アメリカサウスダコタ生まれの日本人。
小学生からはゲームセンターに通いまくってやたら大きく育つ。
1990年に都内K大学を卒業後、大手ゲーム会社にて海外ソフト担当となり、2001年に退職。それ以降は自称フリーのゲームアナリストとして暗躍。暗躍しすぎたので名前を変えて表舞台に。くねくねと唐突に現れて「親父ギャグ」をかまして周りの人々のレベルを下げまくる。独特の語り口調ですが、もう慣れてくださいとしか言えません。言ってる中身は至極マジメなので。ちなみに「風来のシレン」が好物で、名前もそこから借用。なんだか公認してもらったそうです。
それにしても1月も後半で、「あけましておめでとうございます」とはなんたることでしょう。時代は「チェンジ」。ハニィも性根をチェンジしてもらいたいのですが……多くは望みません。
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