アメリカのゲームイベントがアラブの投資家連合に買収されて中国で開催!? CPL2009リポート(2/2 ページ)

» 2009年10月19日 14時02分 公開
[松井悠,ITmedia]
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大盛り上がりの「ストリートファイターIV」トーナメントを始め、イベント盛りだくさんだったCPL

 さて、今回の渡航の主目的のCPLについて説明しよう。CPLとは、アメリカのダラスで1997年にスタートした参加者が自分のパソコンを持ち寄って参加するLANパーティーイベントで、イベント内で賞金を賭けたトーナメントが開催されることで有名で、最盛期には500万ドルもの賞金・賞品が提供され、数千人規模のプレイヤーが集まる大規模なものであった。しかし、2008年にその活動を突如停止し世界の多くのプレイヤーが落胆していたところ、ゲームイベントビジネスに興味を持ったアラブの投資連合が権利を取得。その去就が見守られる中、再生CPL第一回のイベントが、この成都で行われることになったわけだ。

 今回のCPLは、LANパーティーとして世界最大のギネス記録をもつ、スウェーデンの「Dreamhack」との共同イベントとして開催された。オープニングセレモニーでは、CPLのCEOを務めるスコット氏とDreamhackのオーナー、ロバート氏による開会宣言の後、コスプレイベントがスタートし、三国志をモチーフにしたコスプレイヤーがステージを埋め尽くした。

 ESPORT STUDIUMでの3日間にわたって行われたのは、LANパーティーイベントに加え、オンラインFPS「クロスファイア」、オンラインアクションゲーム「Dungeon & Fighters(日本名:アラド戦記)」、サッカーゲーム「Pro Evolution Soccer(日本名:ウイニングイレブン)」、協力型リアルタイムストラテジーの「三国争覇」、そして対戦格闘ゲーム「ストリートファイターIV」のトーナメントと非常に盛りだくさん。ストリートファイターIVトーナメントの勝者は、今年11月27日から30日までスウェーデンで行われる「Dreamhack」に招待されるということもあってか、100名を越える選手のエントリーがあった。

 スタジアム前の特設ステージで行われた「ストリートファイターIV」のトーナメントは、筆者の目から見ても非常にレベルが高く、相手の技の硬直への反撃、難度の高い目押しやセービングキャンセルを絡めたコンボをきっちりと決めているプレイヤーが数多く見受けられた。大会で多く使用されていたキャラクターはコンボの火力が高く、一発逆転を狙いやすいサガットとリュウ。印象に残っていたのはトーナメントの後半まで勝ち残っていたエドモンド本田で、通常技からの百烈張り手で敵を押さえ込みつつ、要所要所で投げを仕込んでいくスタイルで他のプレイヤーを蹴散らしていた。優勝を決めたのは、きわどい試合を何度も勝ち抜けてきたルーファス。あわや、と思われた瞬間でも、冷静に銀河トルネードからウルトラコンボのスペースオペラシンフォニーで逆転するなど、会場を大いにわき上がらせていた。

 また、会場の試遊エリアでは新作タイトル「超神英雄:HEROES OF NEWERTH」が出展されていた。これは、リアルタイムストラテジー要素を含んだ5vs5の対戦型戦略ゲームで、プレイヤーは使用キャラクターを選び、他のプレイヤーと協力して相手のチームを制圧するというもの。日本ではなじみの薄いものだが、現在アジア圏で非常に人気の高いジャンルで数多くのプレイヤーが日々対戦を繰り返しているという。今後日本でも大きく化ける可能性の高いジャンルかも?

LANパーティー会場。欧米のPCやモニターを全て持ち込むスタイルではなく、会場に設置されたものを使用する。おそろいのユニフォームを着ているのはプロチームのメンバー
クロスファイアのプレイ風景。多くのプレイヤーは自分でゲーミングデバイスを持ち込んでいる。人気の高いのは、マイクロソフトのIntelliMouse Explorer 3.0、Razerマウスパッド、ヘッドセットはSteel Seriesのもの

コスプレショーの一幕。三国志、というよりも三国無双のコスプレのような気がするが……
ストリートファイターIVトーナメントは、ステージの後部の巨大スクリーンに試合の映像が映し出される。多くの人々が足を止めて試合に見入っていた

三国志をモチーフにしたリアルタイムストラテジーの「三国争覇」の試合風景。筆者もプレイしてみたが非常にとっつきやすく、日本でも受けそうなタイトルだ
現在世界的なβテストが行われている「HEROES OF NEWERTH」の体験コーナー。開発はS2 Games社

相変わらず元気な中国e-sportsシーン。今後の国際大会情報は?

 筆者は昨年の武漢に続いて、今年は成都に行ってきたわけだが、国家主導のデジタルゲーム競技大会として開催された武漢のIEF2008と比べると、CPLはややルーズなスケジューリングやアナウンス不足などがあったものの、LANパーティーの要素があったせいか、参加者が自分たちでイベントを楽しもうとしている雰囲気が強く感じられた。「イベントに参加する」ことを目的としているプレイヤーと、「競技に勝利する」ことを目的としているプレイヤーとでは、若干スタンスが違っていたが、それでも「ゲームをプレイする」ことが好きな人々が集まるイベントは非常に盛り上がっている。CPLのスコット氏は、今後も継続的に中国にフィットさせたイベントを行っていきたい、と話していた。

 今後の国際的なe-sportsイベントのスケジュールとしては、10月30日〜11月2日に韓国・水原で「International E-sports Fetival 2009」が、11月11日〜15日、中国・成都で「World Cyber Games 2009」が、そして、11月27日〜30日にスウェーデンで「Dreamhack 09 Winter」が、さらに11月29日には、韓国・釜山で「Game And Game World Championship」が行われる。また、CPLは、来年の上海万博でのイベントを現在検討中で、Dreamhackは、同万博のスウェーデン館でイベントを行うとのこと。

 日本ではなかなかLANパーティーが開催されることは少ないが、現在有志プレイヤーによって不定期に開催されている「Tokyo Game Night」や、筆者が毎月最終土曜日に開催している「ゲーマーズラウンジ」(ゲーマーたちが集う社交場「ゲーマーズラウンジ」に行ってきた)など、自ら遊びたいゲームのハードやソフトを持ち込んで楽しもうというカルチャーは日本にも少なからず存在している。オンラインでの対戦・協力プレイとは異なり、実際に一緒に遊ぶプレイヤーの顔を見ながら、声を聞きながらプレイするのは非常に面白い。もし、興味を持った方がいればぜひとも一度足を運んでみてもらいたい。

イベントの開場をいまかいまか待ちわびるプレイヤーたち。この風景は万国共通か
スウェーデンで開催される世界最大のLANパーティー「Dreamhack」。この灯り全てがPCモニターというのだから驚かされる



Dreamhackのオーナーのデビッド氏、ロバート氏から日本のプレイヤーへのメッセージをいただいた。「Dreamhackは、アルコールフリー、ドラッグフリー(禁止)の健全なゲームパーティーです。今年はストリートファイターIVのトーナメントもありますし、賞金を出す予定もあります。ぜひ、日本の方々も遊びに来てください! See you in Dreamhack!!」

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