「東方見文録」弾幕系じゃない方の“東方”ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(3/3 ページ)

» 2010年03月02日 10時00分 公開
[ゲイムマン,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 元の首都・大都に着いた文録とマルコは、チンキンに謁見し、アフマットのクーデター計画を伝えると、上都に取って返す。そしてその場にあった材料を混ぜて黒色火薬を作り、竹筒をバズーカにして宮殿に砲弾を発射! 一撃で木っ端微塵に破壊してしまう。

 この展開も荒唐無稽に見えるが、火薬を作って竹筒をバズーカにするくだりは、スタートレック「宇宙大作戦」の、「怪獣ゴーンとの対決」という話に出てくるらしい(わたしはスタジオぬえの「宇宙でパズル」という本で知った)。

 かくしてフビライ・ハーンへの謁見を果たした2人。文録は望みどおり、元国の船団とともに“黄金の国ジパング”へ向かうこととなる。ただし船団の目的は、ジパングとの交易ではなかった。

皇太子チンキンも実在の人物なのに、このゲームでは「おチビちゃん」扱いである
早朝バズーカよろしく上都の宮殿を攻撃。一発で宮殿が影も形もなくなるほどのすごい威力だ
フビライ・ハーンに謁見。このゲームが発売される前の年まで総理大臣だった中曽根さんに似てる

文録! 文録! 助けて文録!

 この記事を書くにあたって、ネットで「東方見聞録」について調べてみたが、調べれば調べるほど、このゲームに対するイメージが変わってきた。破天荒に思えるストーリーにも、その多くに元ネタがあって、作り手が「東方見聞録」をよく研究していることがうかがえるのだ。今ネットで調べてもあまり情報が出てこない、マルコ・ポーロの足跡や、あの時代の中国・中央アジア情勢を、当時よくこれだけ調べたなあと思う。

 アドベンチャーゲームとしても、意外にいい出来。プレイ時間は短いが、音の高さを使って抜ける迷路とか、2人がメッセージウィンドウに逃れる演出とか、場面によって変わる枠のデザインとか、けっこう凝っている。正しい選択肢を選ぶと、効果音が鳴るという親切さも見逃せない。

 もっとも、無理やりな展開や、危なすぎてここには書けないネタが、どっさりあるのも事実。最後の第5章に入ると、一層そういうのが増えて、“プレイヤー置いてけぼり感”が強くなっていく。

 文録とマルコが乗った船は、フビライがジパング征服のために遣わしたものだった。つまり元寇、弘安の役である。マルコ・ポーロが元寇に同行しているのも変だが、この章のツッコミどころはそこじゃない。

 本来この戦では、日本側の激しい抵抗と“神風”によって、元国の船団は壊滅的な被害を受ける。だが航行中、一向に神風が吹かないことで、文録は「このままでは日本が占領されてしまう」と心配する。これは彼の思い違いで、神風が吹くのは元軍と日本軍が戦端を開いた後のこと。だが文録はあせってしまい、タイムマシンを遠隔操作して、強引に神風を呼び込もうとした。

文録のせいでタイムマシンが暴走。芸者が空を飛び交い、日米貿易摩擦の波が渦巻き、上越新幹線がマッハ3で走る
いかに14万の大軍といえども、戦闘機の砲撃の前にはひとたまりもない。マルコも巻き込まれてしまう

 詳しくは書かないし書けないが、一応史実どおり元国の船団は壊滅する。だが問題はその後だ。まずマルコがこの戦闘に巻き込まれて姿を消す。文録はジパングの岸に打ち揚げられるが、タイムマシンの暴走による時空のひずみに陥ったジパングは、時代も世界観もぐちゃぐちゃ。文録が思い描いていた鎌倉時代の日本とは、遠くかけ離れてしまっていた……。

 ファミコンの変てこアドベンチャーゲームとして、「アイドル八犬伝」(トーワチキ)と並び称される「東方見文録」。だが「アイドル八犬伝」と大きく違うのは、ハッピーエンドで終わらないことだ。

 わたしは個人的に“鬱展開”と“人死に”が嫌いなのだが、このゲームの場合はあまりにハチャメチャ過ぎて、鬱な気分になるよりも、あ然とする方が先だった。

 もっとも、この変なジパングをもうちょっと見てみたい気もするので、文録がこの国を探索しつつ、歴史を正しい形に戻していくような、続編があったら良かったのになあと思う。

 そして実はマルコが生きていて、ゲーム中盤で文録と再会する。そういうストーリーを後ろにつなげたら、「東方見文録」の第5章も、それほどおかしな話ではないように見える……かなあ。

ジパングで文録には、恐ろしい運命が待ち受けていた。タイムトラベルもののSF作品に、あり得る展開かもしれないが
衝撃のエンディング画面。このままスタッフ紹介に入って、ゲームは終わる

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「現場を知らなすぎ」 政府広報が投稿「令和の給食」写真に批判続出…… 識者が指摘した“学校給食の問題点”
  2. 「二度と酒飲まん」 酔った勢いで通販で購入 → 後日届いた“予想外”の商品に「これ売ってるんだwww」
  3. 「思わず笑った」 ハードオフに4万4000円で売られていた“まさかのフィギュア”に仰天 「玄関に置いときたい」
  4. 「なぜ今になって……」 TikTokで“15年前”の曲が大流行 すでに解散の人気バンド…… ファン驚き 「戸惑いが隠せない」
  5. どういう意味……? 高橋一生&飯豊まりえの結婚発表文、“まさかのタイトル”に「ジワる」「笑ってしまう」
  6. サーティワンが“よくばりフェス”の「カップの品切れ」謝罪…… 連日大人気で「予想を大幅に上回る販売」
  7. “世界一美しいザリガニ”を入手→開封して見ると…… 絶句を避けられない姿と異変に「びっくり」「草間彌生作のザリガニみたい」
  8. 「誰かと思った」 楽天・田中将大の“激変した風貌”にファン驚き…… 「一瞬わからなかった」
  9. 複数逮捕&服役の小向美奈子、“クスリ”に手を出した理由が壮絶すぎ……交際相手の暴力で逃亡も命の危機 「バレてバルコニー伝って入られて」
  10. 耐火金庫に“溶岩”を垂らしてみたら…… “衝撃の結果”に実験者も思わず「なんだって!!!」と驚愕【海外】
先月の総合アクセスTOP10
  1. 庭に植えて大後悔した“悪魔の木”を自称ポンコツ主婦が伐採したら…… 恐怖のラストに「ゾッとした」「驚愕すぎて笑っちゃいましたw」
  2. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  3. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  4. 「歩行も困難…言動もままならず」黒沢年雄、妻・街田リーヌの病状明かす 介護施設入所も「急激に壊れていく…」
  5. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
  8. 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  9. 築152年の古民家にある、ジャングル化した水路を掃除したら…… 現れた驚きの光景に「腰が抜けました」「ビックリ!」「先代の方々が」
  10. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評