ゲーム作りの参考になる? 「えりかとさとるの夢冒険」ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(1/3 ページ)

連載第82回は「えりかとさとるの夢冒険」(ナムコ)。2人同時プレイができるアドベンチャーゲームです。動物が人間のように暮らす“不思議な世界”を探検する、ほのぼのとした世界観なのですが……。

» 2010年01月29日 10時08分 公開
[ゲイムマン,ITmedia]

新しいゲームを買ってみたら、2本続けてクソゲーだった

箱根駅伝の激闘が記憶に新しい横浜駅前にて。「えりかとさとるの夢冒険」には、ヨコハラという港町が出てくる

 ゲームを作りたい。

 昨年「リアルサウンド 風のリグレット」(ワープ)をプレイしてから、「こんなアドベンチャーゲームを作りたい」という思いが、日に日に高まってきているのだ。

 その参考にすべく、ここ最近、ニンテンドーDSのアドベンチャーゲームを立て続けにプレイしている。中でもやっぱり、レベルファイブの「レイトン教授」シリーズや、「スローンとマクヘールの謎の物語」にはハマった。

 あと、意外に良かったのが「フリーライター橘真希」(ゼンリン)。城崎、洞爺湖、由布院と、実在の温泉地を舞台にしたミステリーもので、地図のメーカーが出しているだけに、マップ画面が正確。観光案内も充実している。最初は登場人物がみんな痛くて引きそうになるけど、それに慣れてくると、けっこう良くできてておもしろい。

 一方、その次にプレイしたアドベンチャーゲーム(仮に「某A」とする)と、さらにその後プレイしたゲーム(仮に「某B」とする)はひどかった。

 どちらも文章が無駄に長くて、読むのがしんどい。その割に選択肢は少ないし、1つ違う選択肢を選んだだけでも、バッドエンディングに飛ばされる。某Aはさらにひどいことに、ベストエンディングが鬱展開。ベストなはずなのに、登場人物が6人も死ぬ。最後に探偵が依頼人へ、事件の全容について報告するのだが、「え、それで依頼人が納得するの?」というあいまいな内容。3人目の被害者がすごい悪人なので、全部その人に罪を被せれば良かったのに。せっかく実在の土地が舞台なのに、観光名所が全然出てこなかったことも気になった。

 某Bの方は、文章の表示速度が遅い。文字が1字ずつ表示される本がどんなに読みにくいか、開発者は想像できなかったのだろうか? 文章が長いくせに、説明書は簡潔すぎて、特に戦闘シーンでは何をどうすればいいのか分からない。とろいし。

 セーブとロードを繰り返さないと先へ進めないゲームバランス。分岐に凝りすぎて、長い割に薄くなったゲーム内容。初歩的な誤植も多い(方角が間違っているとか)。個人的にすごく期待していたゲームだけに、裏切られた感が強い。

 とにかく某Aも某Bも、テキストデータは容量食わないと思ったのか、詰め込みすぎ。こういうゲームの開発者は、限られた容量でゲームを成り立たせている、レトロゲームから学んだ方がいい。今回は「えりかとさとるの夢冒険」で、文章量に頼らないアドベンチャーゲームの作り方を見ていくことにしよう。

パッケージイラストのえりかが美人すぎる。とても小学生とは思えない

ふたりで森行ったん

 「えりかとさとるの夢冒険」は、1988年にナムコから発売されたアドベンチャーゲーム。双子の小学生、えりかとさとるが主人公の、メルヘンチックな物語だ。

 夏休み最後の夜。2人は家の前を通っていく変な生き物を見つけた。洋服を着て2本足で走る猫だった。2人は猫の後をつけていくが、大木の下にたどり着いたとき、「“時の冠”を探すがいい」という声がして、不思議な世界に飛ばされてしまう。2人は、動物が人間のように暮らすこの世界で、本当の幸せを知ることができる“時の冠”を探すのだった。

最初に表示されるこの一文が個人的に好き。文字表示欄は本になっていて、新しい文が表示されるときにはページがめくれる
「不思議の国のアリス」や、登場人物が猫になっていたアニメ映画版「銀河鉄道の夜」をほうふつとさせる
要所要所に現れて、えりかとさとるにヒントをくれる虚無僧。その正体はエンディングで示唆される

 どうだろう、不思議な世界の細かい舞台設定とか、そもそも2人がこの世界に飛ばされた理由とかが説明されないこの簡潔さ。これはこれで簡潔すぎるきらいもあるけれど、冒頭部分はどうしても説明が長くなりがちなので、むしろこれくらい大胆に、はしょった方が、プレイヤーがすぐゲーム本編に入ることができて、いいのかもしれない。

 ゲーム本編が始まると、表示されるのは見下ろし型のマップ画面。十字キーでこのマップの中を移動し、町を探索していく。2人のどちらかが建物などに入ると、一枚絵の表示される「クローズアップ画面」となる。ここでコマンドを選択して謎を解いていく。

 1人がクローズアップ画面に入っているとき、もう1人は、同じ場所に合流することは可能だが、別のクローズアップ画面を表示させることはできない。

えりかとさとるそれぞれを中心とした、2枚のマップが表示される。セレクトボタンでえりかとさとるを切り替える
駅前の駐輪場で自転車に乗れば、速く移動できる。2章までは自転車に乗ったまま、すべての場所へ行ける
それぞれの町に、2人を泊めてくれる家がある。泊まることでフラグが立ち、先へ進める場合も

 「えりかとさとるの夢冒険」最大の特徴は、アドベンチャーゲームなのに、2人同時プレイができること。コントローラー1でえりかを、2でさとるを操作する。2人同時にマップを移動できるし、1人がクローズアップ画面でコマンドを選んでいる間も、もう1人はマップを移動できる。2人でクローズアップ画面に入ったら、交互にコマンドを選ぶことになる。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/08/news177.jpg イモト、突然「今日まさかの納車です」と“圧倒的人気車”を購入 こだわりのオプションも披露し光岡自動車からの乗り換えを明かす
  2. /nl/articles/2411/06/news180.jpg 「むりだろww」「笑いました」 ニトリでソファ購入 → 愛車の前でぼうぜん…… “まさかの悲劇”が1000万表示
  3. /nl/articles/2411/07/news182.jpg 「デコピンの写真ください」→ドジャースが無言の“神対応” 「真美子さんに抱っこされてる」「かわいすぎ」
  4. /nl/articles/2411/07/news163.jpg 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」
  5. /nl/articles/2411/05/news138.jpg 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  6. /nl/articles/2411/08/news132.jpg peco、息子の近影を公開「すごーくりゅうちぇるに見えます!」「パパに似てる〜」 息子のスクールランチも色とりどりでおいしそう
  7. /nl/articles/2411/08/news143.jpg 高嶋ちさ子、3000万円超の“超高級外車”ゲットにドヤ顔も! 笑い止まらずハンドル握り「Woohoo!!!」
  8. /nl/articles/2411/07/news029.jpg 50代主婦が5日間、ひたすら草抜き&庭木の剪定→たった一人でやり遂げたとは思えないビフォーアフターに称賛の嵐 「尊敬する」「本当に脱帽です」
  9. /nl/articles/2411/08/news025.jpg 「そうはならんやろ」クルマ修理会社の壁を見ると…… まさかの“シュールすぎるイラスト”に9万いいね 「よすぎる」「天才か」
  10. /nl/articles/2411/08/news111.jpg 2人組ガールズユニット、突然の脱退を発表 マネージャー「本人の意思ではない」 母親とする人物からの脱退理由と経緯説明が物議
先週の総合アクセスTOP10
  1. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  2. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  3. 結婚相手を連れてくる妹に「他の人に会わせられない」と言われた兄、プロがイメチェンしたら…… 「鈴木亮平さんに見えた」大変身に驚がく
  4. 「2007年に紅白出場」 38歳になった“グラビア界の黒船”が1年ぶりに近影公開→驚きの声続々
  5. 「クソビビったwww」 ハードオフに38万5000円で売っていた「衝撃的な商品」が90万表示 「売った人突き止めたい」
  6. 夫婦喧嘩した翌朝の弁当を夫が作ったら…… “森”すぎるビジュアルに「インパクトすごい」「最高に笑いました」の声
  7. 約9万円の「高級激レアガンプラ」を10時間かけて制作→完成品に「家宝だ」「めっちゃくちゃにかっこいい!!」
  8. 天皇皇后両陛下主催の園遊会、“お土産”に注目 ジョージア大使「大好物です」「娘たちからも大好評」
  9. 「庶民的すぎる」「明日買おう」 大谷翔平の妻・真美子さんが客席で食べていた? 「のど飴」が話題に
  10. 事故で重体の人気日本人TikToker、1カ月の意識不明と家族ケア経て逝去……“旅立ち直前に会った”親友は「励ましに来てくれてたのかな」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた