ゲーム作りの参考になる? 「えりかとさとるの夢冒険」:ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(1/3 ページ)
連載第82回は「えりかとさとるの夢冒険」(ナムコ)。2人同時プレイができるアドベンチャーゲームです。動物が人間のように暮らす“不思議な世界”を探検する、ほのぼのとした世界観なのですが……。
新しいゲームを買ってみたら、2本続けてクソゲーだった
ゲームを作りたい。
昨年「リアルサウンド 風のリグレット」(ワープ)をプレイしてから、「こんなアドベンチャーゲームを作りたい」という思いが、日に日に高まってきているのだ。
その参考にすべく、ここ最近、ニンテンドーDSのアドベンチャーゲームを立て続けにプレイしている。中でもやっぱり、レベルファイブの「レイトン教授」シリーズや、「スローンとマクヘールの謎の物語」にはハマった。
あと、意外に良かったのが「フリーライター橘真希」(ゼンリン)。城崎、洞爺湖、由布院と、実在の温泉地を舞台にしたミステリーもので、地図のメーカーが出しているだけに、マップ画面が正確。観光案内も充実している。最初は登場人物がみんな痛くて引きそうになるけど、それに慣れてくると、けっこう良くできてておもしろい。
一方、その次にプレイしたアドベンチャーゲーム(仮に「某A」とする)と、さらにその後プレイしたゲーム(仮に「某B」とする)はひどかった。
どちらも文章が無駄に長くて、読むのがしんどい。その割に選択肢は少ないし、1つ違う選択肢を選んだだけでも、バッドエンディングに飛ばされる。某Aはさらにひどいことに、ベストエンディングが鬱展開。ベストなはずなのに、登場人物が6人も死ぬ。最後に探偵が依頼人へ、事件の全容について報告するのだが、「え、それで依頼人が納得するの?」というあいまいな内容。3人目の被害者がすごい悪人なので、全部その人に罪を被せれば良かったのに。せっかく実在の土地が舞台なのに、観光名所が全然出てこなかったことも気になった。
某Bの方は、文章の表示速度が遅い。文字が1字ずつ表示される本がどんなに読みにくいか、開発者は想像できなかったのだろうか? 文章が長いくせに、説明書は簡潔すぎて、特に戦闘シーンでは何をどうすればいいのか分からない。とろいし。
セーブとロードを繰り返さないと先へ進めないゲームバランス。分岐に凝りすぎて、長い割に薄くなったゲーム内容。初歩的な誤植も多い(方角が間違っているとか)。個人的にすごく期待していたゲームだけに、裏切られた感が強い。
とにかく某Aも某Bも、テキストデータは容量食わないと思ったのか、詰め込みすぎ。こういうゲームの開発者は、限られた容量でゲームを成り立たせている、レトロゲームから学んだ方がいい。今回は「えりかとさとるの夢冒険」で、文章量に頼らないアドベンチャーゲームの作り方を見ていくことにしよう。
ふたりで森行ったん
「えりかとさとるの夢冒険」は、1988年にナムコから発売されたアドベンチャーゲーム。双子の小学生、えりかとさとるが主人公の、メルヘンチックな物語だ。
夏休み最後の夜。2人は家の前を通っていく変な生き物を見つけた。洋服を着て2本足で走る猫だった。2人は猫の後をつけていくが、大木の下にたどり着いたとき、「“時の冠”を探すがいい」という声がして、不思議な世界に飛ばされてしまう。2人は、動物が人間のように暮らすこの世界で、本当の幸せを知ることができる“時の冠”を探すのだった。
どうだろう、不思議な世界の細かい舞台設定とか、そもそも2人がこの世界に飛ばされた理由とかが説明されないこの簡潔さ。これはこれで簡潔すぎるきらいもあるけれど、冒頭部分はどうしても説明が長くなりがちなので、むしろこれくらい大胆に、はしょった方が、プレイヤーがすぐゲーム本編に入ることができて、いいのかもしれない。
ゲーム本編が始まると、表示されるのは見下ろし型のマップ画面。十字キーでこのマップの中を移動し、町を探索していく。2人のどちらかが建物などに入ると、一枚絵の表示される「クローズアップ画面」となる。ここでコマンドを選択して謎を解いていく。
1人がクローズアップ画面に入っているとき、もう1人は、同じ場所に合流することは可能だが、別のクローズアップ画面を表示させることはできない。
「えりかとさとるの夢冒険」最大の特徴は、アドベンチャーゲームなのに、2人同時プレイができること。コントローラー1でえりかを、2でさとるを操作する。2人同時にマップを移動できるし、1人がクローズアップ画面でコマンドを選んでいる間も、もう1人はマップを移動できる。2人でクローズアップ画面に入ったら、交互にコマンドを選ぶことになる。
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