小悪魔なジルベールを奔放に演じてみせた磯村勇斗って凄い。
二度目のダブルデートでは、ジルベールがシロさんの好きなタイプがケンジとまったく違うことをズバッと指摘。事実だからタチが悪い。静かにダメージを受けるケンジに、うろたえるシロさんと小日向さん。だけど、すぐさま、
「タイプじゃないのにケンちゃんを選んだってことは、かなり筧さんに愛されてるのかもね〜」
と一言。「パァァ」という効果音が聞こえてくるぐらいテンションが上がっていくケンジを、頬杖ついて見つめるジルベールの小悪魔っぷりといったらない。
そしてケンジは自分の好みのタイプが『シティーハンター』の冴羽リョウであることを告白。シロさんの腕をひっつかんで「三次元の冴羽リョウ」と言っているときのケンジのうれしそうな顔! そしてそのまま肩に顔を寄せてもシロさんも振りほどかないし、周囲の誰も変な顔をしないんだから、そりゃあんなうれしそうな顔にもなるよね……。

これが「冴羽リョウ」(二次元)だ。「シティーハンター XYZedition 1」徳間書店ゼノンコミックスDX/北条司(リョウの漢字は僚のけものへん)
そんな2人を見つめる山本耕史と磯村勇斗の無表情っぷりがこれまた絶品。「きのう何食べた?」はこうしたセリフのない役者の表情による演技が楽しめるドラマだと思う。
先の頬杖をついた磯村勇斗もそうだし、この後もお手製のケーキを食べながらケンジの一目惚れっぷりを思い出してニヤつく西島秀俊、小日向さんから渡された封筒を発見した口だけは笑っているけど目はまったく笑っていない内野聖陽と、さりげなくものすごく巧みな演技が連打された。
二丁目でのダブルデート、看病、シティーハンター、ケーキと、シロさんが「こっち」に来てくれたのが如実にわかる、ケンジにとってはシリーズ中、もっとも幸せに満ちあふれたエピソードだった。

達者な役者たちによる多彩な表情演技の競演が楽しめるドラマでもある イラスト/たけだあや
これまでの「きのう何食べた?」




大山くまお
ライター。「文春野球ペナントレース2019」中日ドラゴンズ監督。企画・執筆した『ドアラドリル』シリーズ発売中。
たけだあや
イラスト、粘土。京都府出身。








