アクションと格闘ゲームの絶妙なブレンド。アクション派の秋はこれでキマリ!:「アーバンレイン」レビュー(1/5 ページ)
正義なき街に乗り込んだ1人の男。待ち受ける幾多の強敵に対する武器は、己の拳のみ。「鉄拳」、「ソウルキャリバー」の制作陣が作り出した、エキサイティングでクールな世界。シンプルなシステムが生み出す、ホットな駆け引きがプレーヤーを魅了する。
ジャンルは「多人数格闘アクション」
皆さんは、ゲームのジャンルについてどうお思いだろうか? そんなものいらない、という人もいるかもしれないが、エンターテインメントである以上、一定の区分けはあったほうが、何かと便利だろう。すべてのゲームをアイウエオ順に並べたら客の混乱は必至だ。 なぜこんな話をしたかというと、「アーバンレイン」の場合、このジャンルのことが結構重要になるからだ。制作したのは、「鉄拳」と「ソウルキャリバー」のスタッフ。こう聞くと“ジャンルは格闘ゲームでしょ”と思うのが自然だが、これが違う。「多人数格闘アクション」となっているのだ。
一体、これはどんなジャンルなのだろう? パッと思い浮かぶのは、多人数が入り乱れる格闘ゲーム、プロレスでいうバトルロイヤルのイメージだろうか。でも、ならそれはアクションゲームで十分なんじゃないか?
近年のタイトルには、やたらと長い名前のジャンルが表記されることが多い。中には宣伝のために強引に考えたんだろうな、と思えるネーミングがあるのも事実だ。「多人数格闘アクション」もそのひとつなのだろうか?
それが違うのだ。この作品に関する限り、ジャンル名が見事なまでにゲーム性を表している。ここには、アクションゲームの要素も、格闘ゲームの要素も存在する。しかも、それぞれが完全にひとつに融和している。やたらとジャンルを細分化するのはよくないと思うが、アーバンレインに関しては、その原則を曲げても許されよう。このネーミングを認めることこそ、無類に面白いゲームを創り出したクリエイターに対する、最高の賛辞となるだろうから。
タイトルもまた内容にぴったり
では、多人数格闘アクションとは、具体的に何なのか。それを説明する前に、まずゲームの概要について紹介しておこう。
舞台となるのは、複数のストリートギャングが抗争を繰り広げているグリーン・ハーバーという街。官庁街や高級住宅地などが建つハイソな区画と、ゴミゴミした繁華街区が川を挟んで向き合っている。もちろん、ストリートギャングが幅を利かしているのは、繁華街一帯だ。事実上、警察の手も届かない無法地帯になっている。
そのグリーン・ハーバーで最大の勢力を持つストリートギャング、ザップスのメンバー、それもリーダーと関係の深い男が誘拐される事件が発生。ザップスはほかのギャングたちに疑いの目を向け、「疑わしきは罰す」の精神で、報復の準備を始める。戦争勃発の危機到来だ。この状況にいち早く行動を起こしたのが、チャイナタウンをシマにしている女性リーダー、シュンインだった。
彼女は事態打開のため、ひとりの助っ人を招くことを決意する。もちろん、話し合いのためのネゴシエイターじゃない。必要なのは、降りかかる火の粉を払うためのボディガード。先制攻撃も掃討戦も撤退戦も救出作戦も、その他の作戦も全部OKという、戦闘のプロフェッショナルだ。
かくして招かれたのが、主人公のブラッド・ホーク、すなわちプレーヤーキャラクターだ。年齢不詳、経歴不詳、格闘の腕は超一流。寡黙で任務に忠実なタフガイである。
ブラッドはシュンインから与えられる任務を着実に果たしていく。その過程で、各ギャングとの戦いを余儀なくされ、さらに危険の匂いを嗅ぎつけて群がってきた、自分と同類の使い手たちとも拳を交えることになる。
レスリング、ボクシング、空手、ムエタイ、テコンドー、カポエラなど、さまざまなファイティングスタイルのファイターが現れる。ストリートの戦いらしく、ケンカ拳法の連中も多い。やがてブラッドは、彼らすべてを拳の下に打ち据え、街の平穏を取り戻す。だが、それはまだ巨大な陰謀の第一幕に過ぎなかった。ギャングの抗争に決着をつけた時、さらなる強敵が現れて……。
まさにホット&クールなストーリー。ここにはカッコ良いだけでは済まない、血生臭い世界がある。あらゆる手段、あらゆる罠、あらゆる陰謀がOKだ。卑怯という言葉はない。勝者は正義、敗北が悪。だからこそ、正義を貫くことに意味が出てくる。それこそブラッドやシュンインのポジションなのだ。
メインモードのミッション数はなんと100
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