一足お先に次世代機気分――HDTV+5.1chで現行機を遊ぶススメ Part4:Xbox編その2(3/5 ページ)

» 2005年10月21日 14時44分 公開
[小泉公仁,ITmedia]

人間の視覚特性までシミュレートした「ダブルスティール THE SECOND CLASH」

 次世代機のXbox 360では、すべてのソフトが720pか1080i(あるいはその両方)の映像出力に対応することになっている。多くは720p対応になると思われるが、その720pのゲーム映像を現行Xboxで一足早く楽しんでみたいなら、「ダブルスティール THE SECOND CLASH」(ぶんか社)は大いにオススメできる1本だ。

 これは、Xbox本体と同時発売された「ダブルスティール」の続編で、前作から約3年半の歳月を経て今年8月に発売された。この新作、実は2004年内にすでに完成していたようだが(タイトル画面のコピーライトにも「2004」の表示がある)、紆余曲折の末、マイクロソフトがパブリッシャーとなる形でようやく発売にこぎ着けた。内容は、二人の女性特捜警官を主人公としたカーアクションなのだが、ジャケット裏に「ミッション遂行のためには手段を選ぶな」とあるとおり、一般車両を巻き込もうが器物を破壊しようがお構いなし。そんなはじけた設定に、ちょっとアブナイ破壊衝動を呼び覚まされそうになる。

 このソフトは映像表現がやたら凝っていて、思わず目を見張る。まず先述の通り、720p表示に対応していることが大きな特徴になるが、Xboxの720p対応ソフトの大多数は海外製なので、純国産ソフトでは極めて珍しい存在だ。

画像 SDTVに480iで表示した際には、どことなくぼんやりしたような眠たい映像に感じられていたものが、HDTVに720pで表示してみると、途端にリアリティの高い映像に変わる。特に、メタリックな車体の質感が素晴らしい

 解像感の高さだけでなく、次世代機ばりの高度なグラフィック処理がふんだんに取り入れられていることにも注目されたい。例えば、車体への映り込みを見ても、光の当たり具合や周囲の風景によって様々に表情を変えていき、恐ろしくリアリティが高い。

 また、人間の持つ視覚特性をゲーム映像の中で擬似的に表現しているところも興味深い。人間の目というのは、周囲の明るさに応じて瞳孔を広げたり狭めたりすることで、目に入る光線の量を調節している。とはいえ、急激な明るさの変化には即座に対応できず、周囲を正しく視認できないことがある。例えば、暗いトンネルから抜けた瞬間、太陽のまぶしさに目がくらみ、しばらく景色が白く飛んだように見えるのもそう。本作では、こうした光学現象をシミュレートすることで、より現実感の高い映像表現を目指している。

画像

画像 暗いトンネルに入ると周囲が真っ暗になってよく見えなくなり、トンネルを抜けると今度はまぶしさで目がくらむ。人間の目が光量の急激な変化に追いつかないために起こるこのような現象を、ゲーム映像の中で擬似的に再現している
画像 夕日の光がビルの合間からあふれ出すように射し込み、車体をギラギラと照らす。こういった美しい映像が随所に見られるが、プレイ中はとにかく操作が忙しいので、景色に酔いしれている暇はほとんどないかも……

 一方、ドルビーデジタル5.1chによる音響効果には、もうひと工夫ほしかったというのが率直な感想。逃げまどう人々の叫び声、けたたましく鳴り渡るクラクション、車同士が衝突したときの金属音など、様々な効果音を駆使してはいるものの、音そのものが何となく大味な感じで、音の移動感や方向感も映像との一体感にやや欠く。サブウーファーを過度に鳴らすBGMもちょっと嫌味で、耳障りにさえ思える。映像美に強烈なインパクトがあるだけに、これは少し残念でならない。

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