Virtual PCでメモリを「ガバッ」と確保して「Harpoon II」を動かす勝手に連載!「レトロ“PC”ゲームが好きじゃー」(2/4 ページ)

» 2005年11月11日 21時47分 公開
[長浜和也,ITmedia]

Virtual PCでメモリ領域をたっぷり確保する

 Harpoon IIを導入して起動する。Harpoon IIはDOSベースのゲームである。当時すでにWindows 3.1を導入していたので、PIFファイルにコンベンショナルメモリを600Kバイト以上確保する設定を記述してからMS-DOSモードで動かすことになる。そうして起動したHarpoon IIの画面は……

これは渋すぎる

 パッケージと同じように「黒い」のである。黒い「戦況図」には蛍光色でラインとテキストが表示され、その上を青と赤のNTDSシンボルが動き回る。色彩といえばツールバーの小さいアイコンのみ。当時のPCゲームの主流といえば「RPG」「アドベンチャー」「アクション」という華やかなグラフィックが必須のエンターテインメントタイトルであったが、そういったゲーマーには許しがたいほどの「暗い」画面なのだ(実際、当時の国内ゲーム雑誌では、複雑なゲームシステムと貧弱なグラフィックが酷評されていた)。

 ゲームシステムそのものは、初代Harpoonにいくつかの細かい追加機能が盛り込まれた「拡張バージョン」といえるもので、大規模な改造が施されているわけでない。しかし、ユーザーインタフェースに「革新的な」変更が加えられた。なんと、DOSベースのゲームなのに、ゲームプログラムの中に独自開発の「Windowシステム」を組み込んでしまったのだ。初代Harpoonの画面レイアウトは広域戦況図と戦術戦況図、情報表示欄が固定されていたが、Harpoon IIでは、表示画面のサイズや数をWindowsのようにゲーマーが自由に変更できるようになっていた。

 広域戦況図から特定の海域をマウスで矩形に選択して新たな戦況図としてWindowを作成でき、その表示サイズも変更できた。複数の部隊ごとに戦況図を表示させ、同時に状況を把握できるのはリアルタイムシステムのHarpoon IIにおいて操作環境を格段に向上させてくれたのである。

一介のゲームベンダーがビジネスソフトに負けないほどのクオリティを持つWindowシステムを独自に開発してゲームに実装させてしまった。何をかくそう、当時の私は「プログラマー」だったので、その開発労力を想像して思わず「絶句」するほどに、当時のGUI開発は手間のかかる作業だったのだ(独自システムだけに、開発ツールもないだろうし)

 しかし、その画期的なユーザーインタフェースの実装によって、Harpoon IIはPCのリソースを大食いするゲームとなってしまった。当時は、一部のパワーユーザーを除いて、16Mバイトから32Mバイト程度のメモリを組み込んでいるのが普通であったと思う。ゆえに、戦況図をどんどん開いていくと、たちまちメモリが消費され、ハングアップ!という状況が続出した。

 登場当初のバージョンに潜在していた膨大な「バグ」とともに、リソースを食い尽くして頻繁に止まってしまうHarpoon IIは「遅くて不安定で、とてもまともに動かないゲーム」と、多くのゲーマーから評価され、HDDの奥底にモスボールされることになる。

 その後、膨大なパッチによってバグは減っていき(しかし、これは後に述べるHarpoon 3でもなくなることはなかった)、PC環境も1Gバイトのメモリ容量が当たり前となってきた今では、Harpoon IIは大分安定し、かつ、高速で動くようになった。そういう意味で考えると「Harpoon IIは登場するのが10年早かった」と言える。

 しかし、ハードウェアがHarpoon IIに追いつき、バグもなんとか減らせたとき、今度はOS側でHarpoon IIを受け付けなかった。Windows Me登場以降、Harpoon IIを動作するのに必要なコンベンショナルメモリ領域を確保できなくなったためだ。この問題はVirtual PC 2004を導入することで解決できる。前回の記事でも紹介したように、ゲストOSにWindows 98/98 SEを組み込んでおけば、PIFファイルのプロパティ「MS-DOSモードも詳細設定」でコンベンショナルメモリが確保できる。

 そして、仮想マシンのシステムメモリ容量は「Virtual PCコンソール」の「設定」メニューで変更可能。ゲストOSでWindows 98系を導入すると、初期状態でシステムメモリが64Mバイト確保される。このままでもHarpoon IIは動作するが、大部隊が展開するシナリオや、高解像度に設定して戦況図を多数開きたいならば、メモリを多く確保したい。

 ただし、ゲストOSを起動するときに、Virtual PCは指定された容量をメインメモリに確保しようとする。ホストOSですでにメモリを消費していて必要とする容量を確保できない場合、ゲストOSは起動しない。そのときは、ホストOS上で動いているソフトを終了させる必要がある。

ゲストOSが動作する「仮想PC」に組み込まれるメモリの容量はVirtual PCコンソールの設定画面で指定できる

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/24/news088.jpg ヤフオクで出品されていた「20万円の引退品」→開封すると…… “まさかの中身”に賛否 「ゾッとしたわ…」「しゃーない」
  2. /nl/articles/2412/25/news115.jpg 辻希美&杉浦太陽、家族6人でクリスマスに豪華料理 長女・希空が作った“プロ級のケーキ”も…… 「凄くいい時間だった」
  3. /nl/articles/2412/24/news092.jpg 「バグってる」 シャトレーゼの“864円で買える”「1人用クリスマスケーキ」に大絶賛の声 「企業努力すごい」
  4. /nl/articles/2412/24/news037.jpg 毛糸で作ったお花を200個つなげると…… “圧巻の防寒アイテム”完成に「なにこれ作りたい……!!」「美しすぎる!」と100万再生【海外】
  5. /nl/articles/2412/25/news152.jpg 「思わず泣きそう」 シャトレーゼの“129円クリスマスケーキ”に衝撃 「すごすぎない!?」「このご時世に……」
  6. /nl/articles/2412/23/news078.jpg そば屋の看板のはずが…… 雪で“別の店”みたいになってしまった光景が北海道の豪雪のすさまじさを物語る
  7. /nl/articles/2412/25/news009.jpg 若かりしころの父と母→36年後…… 苦楽をともにしてきた“現在の姿”に「泣いた」「本当に素敵」と1700万再生突破【海外】
  8. /nl/articles/2412/23/news025.jpg 幼少期から“ディズニー”大好きな2人→25年後…… まさかまさかの“現在”が話題 「映画のワンシーンのよう」
  9. /nl/articles/2412/25/news021.jpg 大型ワンコが猫に育てられた結果…… 驚きの行動連発に「自分を猫だと思っていないっw?」「かわいすぎる!」
  10. /nl/articles/2412/24/news156.jpg 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」される夫婦の苦悩……“年の差33歳差”カップルに反響【個性的なカップル特集2024】
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. 新1000円札を300枚両替→よく見たら…… 激レアな“不良品”に驚がく 「初めて見た」「こんなのあるんだ」
  3. 家の壁に“ポケモン”を描きはじめて、半年後…… ついに完成した“愛あふれる作品”に「最高」と反響
  4. 「庶民的すぎる」「明日買おう」 大谷翔平の妻・真美子さんが客席で食べていた? 「のど飴」が話題に【大谷翔平激動の2024年 「お菓子」にも注目集まる】
  5. 100均のファスナーに直接毛糸を編み入れたら…… 完成した“かわいすぎる便利アイテム”に「初心者でもできました!」「娘のために作ってみます」
  6. “プラスチックのスプーン”を切ってどんどんつなげていくと…… 完成した“まさかのもの”が「傑作」と200万再生【海外】
  7. 「バグってる」 シャトレーゼの“864円で買える”「1人用クリスマスケーキ」に大絶賛の声 「企業努力すごい」
  8. 「昔モテた」と言い張るパパ→信じていない娘だったが…… 当時の“驚きの姿”が2900万再生「おおっ!」「マジかよ」【海外】
  9. トイレットペーパーの芯を毛糸でぐるっと埋めていくと…… 冬に大活躍しそうなアイテムが完成「編んでるのかと思いきや」【海外】
  10. “月収4桁万円の社長夫人”ママモデル、月々の住宅ローン支払額が「収入えぐ」と驚異的! “2億円豪邸”のルームツアーに驚きの声も「凄いしか言えない」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」