触って、はたいて事件に迫る――2800円で体験できる「鑑識官」の仕事「THE 鑑識官〜緊急出動!事件現場にタッチせよ!〜」レビュー(1/2 ページ)

お手ごろ価格のうえに遊び心もいっぱいのSIMPLEシリーズに新しいスターが誕生した。元気で明るい女性鑑識官が現場に残された証拠から事件を解く推理アドベンチャー第2弾。ユニークな脇役陣がドラマを盛り上げる。

» 2006年05月29日 17時14分 公開
[立花裕壱,ITmedia]

人気に応えてNDS版が登場

photo 制作は「THE 推理」なども手がけるトムキャットシステム。D3パブリッシャーのアドベンチャーを担当することが多い

 もともと「THE」でおなじみのSIMPLEシリーズは、麻雀やビリヤードなど、シンプルなゲームを低価格で提供するブランドとして出発した。しかし、ここ数年はオリジナリティのある作品を次々と世に送り出しているのはゲームファンならご存じの通り。たとえば巨大な昆虫の群を多様な武器でけ散らしていく爽快(そうかい)シューティング「THE 地球防衛軍」は驚くほどのバリュー感でヒット作になったし、「THE お姉チャン」シリーズに代表されるB級路線は、廉価版だからこそできる遊び心に満ちていて、ファンに愛されている。

 これまでSIMPLEシリーズはプレイステーション 2を中心に展開されてきたが、昨年の6月からニンテンドーDSでもリリースが開始された。第8弾となるのがこの「SIMPLE DSシリーズVol.8 THE 鑑識官 緊急出動!事件現場をタッチせよ!」(以下、DS鑑識官)。「THE 麻雀」、「THE ブロックくずし」、「THE トランプ」といったラインアップの中ではオリジナリティが光る一作だ。

 タイトルからはちょっと分かりにくいが、実は本作は、いわゆる「2」にあたる。前作はプレイステーション 2で2005年2月に発売された「THE 鑑識官」。これが目ざとい推理アドベンチャーファンの間で評判となり、今回の続編へとつながった。

 “鑑識官”というと、地味でお堅いイメージもあるが、内容は明るく強気な新米鑑識官の江波識子が体当たりで事件に挑む、コミカルなノリだ。事件現場で証拠を集めて科学捜査を行う真面目な部分と、個性的なキャラクターたちの生き生きとしたかけあいが組み合わさり、「逆転裁判」のような親しみやすさが長所と言える。

お助け役は幽霊とネコマタ!?

photo 憧れの一人暮らしのはずが幽霊とネコマタと同居することになった識子。いつも冷静な査之介は、いざというとき頼りになる

 数々の難事件に挑むのは、2人と1匹のにぎやかなトリオ。主人公の江波識子は江戸時代から続く警察一族の生まれで、1年前に鑑識官になったばかりの強気で無鉄砲なヒロインだ。警察学校での成績は優秀だったが、射撃が絶望的にヘタで、射撃大会の際に来賓席に銃弾を撃ち込むという偉業をやってのけた。

 そんな識子を支えるよきワトソン役が、古い十手に取りついたご先祖様の霊、江波査之介だ。長髪にメガネの外見通り、穏やかでしっかりとした性格。彼の姿は同調した識子にしか見えないないが、江戸時代、八丁堀で同心をしていた経験を生かして、“識子どの。ちょっと待つでござる。今は一番肝心なとき。行くべきところはただひとつ”といった具合に何かと助けてくれる。ただし、時代が時代だけに最新の道具には疎く、バイクを「鉄の馬」、携帯電話を「懐中電話」と呼ぶなど、ちょっとトンチンカンなところもある。


photo 2本のしっぽ以外、見た目は普通のネコの鑑太。食い意地が張っていて、新鮮な魚に目がない。その食欲に助けられることも

 一方、識子に輪をかけて、江戸っ子カタギで気っぷのいいのがネコマタの鑑太。江戸時代から生きているだけあって、妖怪や神様とも知り合いで、いろいろな妖力を持つ。
 鑑太「めんどくせえニャー。命令はきれぇだぜ!」
 識子「アジ2匹とビール1缶では?」
 鑑太「それならいいぜ。ガッテンだぜ! ネコマタダーッシュ!」
 と、食べ物につられ、案外お安く手伝いを買って出てくれる。

 “幽霊だのネコマタだのがいたら、事件も現実離れしてしまって荒唐無稽(むけい)なのでは?”と心配する人もいるかもしれないが、その点は大丈夫だ。事件部分には霊的な要素はなく、専門家による科学分析から真実を見抜く、リアリティのある推理が楽しめる。

 識子の職場は、警察からは独立した鑑識捜査機関「南東京科学研究所」、略して「科研」となる。警察の捜査ミスを減らすために設立された半官半民の組織で、専門的な知識を持った民間人もスタッフとして採用し、より詳細に証拠の鑑定を行う。警察組織とはまた違う異能の集まりという設定が面白い。

photo 現場で気になる部分をチェックして物証を採取する。カメラや試薬を使って、多くの証拠を集めていこう

 システムはオーソドックスな推理アドベンチャーだ。基本的に、まずは現場を観察することから始まる。怪しい部分を虫眼鏡式カーソルでチェックして、物証を収集する。写真を撮影したり、指紋を採取したり、とやるべきことは多い。

 証拠を一通り集めたら、今度は本拠地の科研に帰ってきて、専門スタッフに鑑定を依頼する。これはチームワーク作業となり、指紋は指紋課のシモーヌ、薬物は化学課の芦茂と、その道のプロに渡すと、さまざまな情報を教えてくれる。すべての証拠を分析したら、次は推理に移ろう。ここはプレーヤーの頭脳の見せどころだ。

photo 集めてきた物証は、それぞれ適当な専門家に渡す。道に落ちていた液体は何か? 分析結果が楽しみだ

 “アリバイの偽りを示す証拠はどれ?”といった質問に、論拠となる証拠を示していく。事件の概要と証拠の持つ意味をしっかり理解していないと、正解するのは難しい。また、この推理部分以外にも途中で設問が挟まることがある。

 例えば1話では、“専用キットがない中で、何を使って指紋を取るか”といった問題が出される。「ホウキ」、「チリトリ」、「ココアパウダー」、「タオル」、「ペットボトル」、「ガムテープ」、「セロテープ」、「ビニール袋」。アナタはどれで指紋を取る? 各話の流れはこの繰り返し。あまり間違えすぎるとゲームオーバーになってしまうので要注意だ。各話の最後には成績も評価される。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2502/17/news077.jpg “この子はきっと中型犬サイズ”と思っていたら……たった半年後とんでもない姿に 「笑わせてもらいました」
  2. /nl/articles/2502/16/news087.jpg 「さすがに無神経な内容」 “暴言受けた”伊藤友里が降板発表→岡田紗佳の直後の投稿に批判の声 Mリーガーも反応
  3. /nl/articles/2502/17/news125.jpg 2020年から脳出血で療養中の俳優、近影にファン感動 「だんだんと顔が……」「大集合してる!」
  4. /nl/articles/2502/16/news086.jpg 年の差21歳で「夫は娘の同級生」 “両親大激怒”で結婚は猛反発されるも……“まさかの行動”で説得
  5. /nl/articles/2502/11/news012.jpg 最初に軽く結ぶだけで…… 2000万再生された“マフラーの巻き方”に反響「これは使える」「素晴らしいアイデア」【海外】
  6. /nl/articles/2502/17/news034.jpg 自然発火する危険な合金を液体窒素に入れたら…… 衝撃のラストが1600万再生 「狂ってる」【海外】
  7. /nl/articles/2502/17/news061.jpg ママが反抗期の娘に作った“おふざけ弁当”がギミックてんこ盛りの怪作で爆笑 娘「教室全員が見に来た」
  8. /nl/articles/2502/16/news009.jpg 「これすごい」 飛行機のエコノミークラスに搭乗→“まさかの機内食”に思わず二度見 投稿者に話を聞いた
  9. /nl/articles/2502/16/news028.jpg 山奥にあるゴミだらけの“ボロボロ廃墟”→2年間コツコツ片付けたら…… まさかの激変ぶりが50万再生「いやぁ〜すごい」
  10. /nl/articles/2502/16/news088.jpg 16歳で結婚&出産  今日好き“しゅんまや”が約5年で離婚発表に衝撃の声続々 「信じられない……」「子どもは大丈夫?」
先週の総合アクセスTOP10
  1. パパに抱っこされる娘、13年後の成人式に同じ場所とポーズで再現したら…… 「お父さん若返った?笑」「時止まってる」2人の姿に驚き
  2. 古いバスタオルをザクザク切って縫い付けると…… 目からウロコの再利用に「すてきなアイデア」【海外】
  3. 14歳のとき、親友の兄と付き合うことになった女性→13年後…… “まさかの結末”に「韓国ドラマみたい」【海外】
  4. リンゴを1年間、水の中で放置→顕微鏡で見てみたら…… 衝撃の実験結果に「これはすごい」「息をのみました」【海外】
  5. 海釣り中、黒猫に「ちょっと来い」と呼び出された釣り人 → 付いて行くと…… 運命のような保護から2年、飼い主に話を聞いた
  6. “駐車場2台分”の土地に、建築家の夫が家を建てたら…… “とんでもない空間”に驚き「すごい。流行る」
  7. 「なんだこの暗号は……」 マクドナルドの“大人だけが読めるメッセージ”が410万表示「懐かしい〜」「読める人同世代w」
  8. 着陸する戦闘機を撮ったはずが…… タイミングが絶妙すぎる1枚に「一部の専門家には貴重な一枚」 投稿者に話を聞いた
  9. ズボラ母が5人分サンドイッチを爆速で作ったら…… 目からウロコの時短テクと美しい仕上がりに「信じられない」
  10. 【今日の計算】「7−2×0+9」を計算せよ
先月の総合アクセスTOP10
  1. ドブで捕獲したザリガニを“清らかな天然水”で2週間育てたら…… 「こりゃすごい」興味深い結末が195万再生「初めて見た」
  2. 「配慮が足りない」 映画の入場特典で「おみくじ」配布→“大凶”も…… 指摘受け配給元謝罪「深くお詫び」
  3. 母「昔は何十人もの男性の誘いを断った」→娘は疑っていたが…… 当時の“モテ必至の姿”が1170万再生「なんてこった!」【海外】
  4. 風呂に入ろうとしたら…… 子どもから“超高難易度ミッション”が課されていた父に笑いと同情 「父さんはどのようにしてこのお風呂に入るのか」
  5. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  6. 市役所で手続き中、急に笑い出した職員→何かと思って横を見たら…… 衝撃の光景が340万表示 飼い主にその後を聞いた
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. DIYで室温が約10℃変わった「トイレの寒さ対策」が310万再生 コスパ最強のアイデアへ「天才!」「これすごくいい」
  9. 「こんなおばあちゃん憧れ」 80代女性が1週間分の晩ご飯を作り置き “まねしたくなるレシピ”に感嘆「同じものを繰り返していたので助かる」
  10. 岡田紗佳、生配信での発言を謝罪 「とても不快」「暴言だと思う」「残念すぎ」と物議