触って、はたいて事件に迫る――2800円で体験できる「鑑識官」の仕事「THE 鑑識官〜緊急出動!事件現場にタッチせよ!〜」レビュー(2/2 ページ)

» 2006年05月29日 17時14分 公開
[立花裕壱,ITmedia]
前のページへ 1|2       

識子を取り巻く強烈なキャラクターたちに注目

 識子と同じく科研に所属するスタッフは、このゲームを盛り上げてくれる、大切なレギュラー陣だ。各キャラ個別のエピソードや仕事以外の会話などは描き込みが少なく、もっと読みたいと思わせるほど、それぞれのキャラクターは魅力を持つ。ここでは、識子の同僚ともいえる専門スタッフ8人を紹介しよう。

指紋課:シモーヌ
 指紋や掌紋の称号、識別を行う部署のシモーヌは、日仏系ハイブリッドで4代続く指紋鑑定家。ひいおじいさんはフランスの大泥棒だったらしい。ナイスバディで気さくなお姉さん。

法医課:古畑
 死体や毛髪の鑑定などを担当する法医学者の古畑。一見ロマンスグレーの素敵なおじさまだが、“もうちょっと死体の話をしたい、なんてな”とかなりの死体フェチの様子。死体を見ると食欲がわくとか。

化学課:芦茂
 ウェーブがかかったロングヘアが印象的なナンパ中年の芦茂。薬品や毒物を特定するなら彼の出番だ。鑑識を依頼すると、いつも食事に誘ってくるのが難点か。遅刻ランキング2位という肩書きを持つ。

物理課:物部
 銃弾の線条痕や、微細な証拠の電子顕微鏡の分析は物部に頼む。“論文書きがあるので失礼”という感じでそっけないが、本当は親切な人だ。

情報課:かんこ
 警察やほかの公共機関のデータベースやアナログ化された資料の管理を担当する、AIの疑似人格インターフェイス。証拠の詳しい情報が欲しいときは彼女に当たろう。疑似人格が登場する世界観は、同社の「THE 推理」と共通する。

交通課:車
 自動車メーカーから出向してきた非常勤の所員。車のタイヤ痕や部品、塗料について教えてくれる。ソフトな営業マンタイプなので、車を買うときは、この人に頼もう。

生物課:植木
 動物・植物・菌類の分析を担当する生物課の植木。不思議な片目ゴーグルを装着した気のいいお兄さん。とにかく昆虫が大好きで、肩にはいつもヒラタクワガタを乗せている。遅刻ランキング1位の自由人だ。

 と、こんな感じ。現場にあったバイクでも、例えばハンドルから検出された指紋はシモーヌ、走行距離などの話は車、ライトに挟まっていた虫を見つけたら植木と、証拠を適材適所に渡していく。

 今回はアメリカの天才少女で遠山の金さんの子孫、遠山・ゴールディ・桜が研修にやってきて、心理プロファイルを担当するので、科研もさらににぎやかになった。脇役の存在感が強いのも、このシリーズのひとつの魅力だ。

photo 一見ただの毛髪も、法医の専門家・古畑にかかれば犯人を割り出す重要な手がかりに。証拠が事件の真相を語る
photo 今回初登場の「金ちゃん」こと遠山・ゴールディ・桜。口調は丁寧だがちょっと生意気な13歳の天才少女。犯罪心理を担当する
photo 科研の二大困ったちゃん、化学課の芦茂と生物課の植木。ほかにも変人ぞろいの所内だが、団結したときの能力はすごい

科研の面々が活躍する続編にも期待

photo 鑑識官といえばやはり指紋採取。DSの機能でバッチリ再現。ほかに足紋(靴跡)を取ることもある

 今回、識子が遭遇する事件は全7つ+オマケ1つの計8つある。学園で起きた謎の死あり、有名コピーライターが巻き込まれた埋蔵金事件ありとバラエティに富んでいる。中にはちょっと強引な展開もあるが、それもまた味だろう。鑑識官らしく、死体の状態から見た死後推定時刻の測定法や、DNA鑑定による血縁関係の割り出し方など、雰囲気をリアルに近づける科学知識もしっかりと入っている。ゲームならではのデフォルメと、専門的な科学捜査、両者のバランスの取り方がうまい。

 テイスト的には前作とほぼ同じだが、DS鑑識官になって導入されたのがタッチの要素となる。操作の大部分がタッチで進められるようになり、テンポも良くなった。また、実際の鑑識の作業がタッチで再現されているのは、本作最大の特徴と言えるだろう。

photo 切れ目がピッタリと合うところにマッチを移動させよう。こういうパズル的なゲームは、ほかにもいくつか登場する

 例えば指紋採取は、タッチペンで画面をポンポンとはたくことで指紋を浮かび上がらせる。これはいかにも鑑識官気分でちょっとうれしい。また、「破れたレシートを張り合わせる」、「写真を地図にタッチで当てはめる」などの、パズル的なミニゲームもいい息抜きになっている。前作にはなかった、クリア後のメッセージスキップも追加され、全体的にクオリティは高まった。

 ただし、前作が2100円(税込)だったのに対し、今回は2800円(税込)と、結果としてコストパフォーマンスは低下してしまった。もっともほかのソフトに比べれば、これでも安いので問題はないのだが……。“最高傑作!”とまでは言えないが、丁寧に作られた良作であることは間違いない。

 査之介や鑑太の過去や、植木や物部の私生活など、まだまだ知りたいことはたくさんある。こうしたキャラクターにもっと迫るような形でぜひ続編を期待したい。アドベンチャー好きとしては息の長いシリーズになってほしいものだ。

SIMPLE DSシリーズVol.8 THE 鑑識官〜緊急出動!事件現場にタッチせよ!〜
対応機種ニンテンドーDS
メーカーディースリー・パブリッシャー
ジャンルアドベンチャー
発売日発売中
価格2800円(税込)
(C)2006 TOMCAT SYSTEM
(C)2006 D3 PUBLISHER


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/22/news047.jpg 刺しゅう糸を20時間編んで、完成したのは…… ふんわり繊細な“芸術品”へ「ときめきやばい」「美しすぎる!」
  2. /nl/articles/2412/18/news207.jpg 「理解できない」 大谷翔平と真美子さんの“スキンシップ”に海外驚き 「文化は100%違う」「伝説だわ」【大谷翔平激動の2024年 現地では「プレー以外のふるまい」も話題に】
  3. /nl/articles/2412/21/news040.jpg 友達が描いた“すっぴんで麺啜ってる私の油絵"が1000万表示 普段とのギャップに「全力の悪意と全力の愛情を感じる」
  4. /nl/articles/2412/22/news034.jpg 後輩が入手した50円玉→よく見ると…… “衝撃価値”の不良品硬貨が1000万表示 「コインショップへ持っていけ!」
  5. /nl/articles/2412/21/news019.jpg 毛糸6色を使って、編んでいくと…… 初心者でも超簡単にできる“おしゃれアイテム”が「とっても可愛い」「どっぷりハマってしまいました」
  6. /nl/articles/2412/22/news036.jpg 「これは家宝級」 リサイクルショップで買った3000円家具→“まさかの企業”が作っていた「幻の品」で大仰天
  7. /nl/articles/2412/21/news023.jpg 「人のような寝方……」 “猫とは思えぬ姿”で和室に寝っ転がる姿が377万表示の人気 「見ろのヴィーナス」
  8. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  9. /nl/articles/2412/17/news042.jpg 山奥で数十年放置された“コケと泥だらけ”の水槽→丹念に掃除したら…… スッキリよみがえった姿に「いや〜凄い凄い」と210万再生
  10. /nl/articles/2412/22/news020.jpg 余りがちなクリアファイルをリメイクしたら…… 暮らしや旅先で必ず役に立つアイテムに大変身「目からウロコ」「使いやすそう!」
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」