「アーマード・コア」ではやれないことを──「クロムハウンズ」で見せたロボットアクションへの新たな挑戦「クロムハウンズ」鍋島俊文プロデューサーインタビュー(2/2 ページ)

» 2006年06月29日 15時24分 公開
[板橋舟人,ITmedia]
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チーム対戦ありきのゲームシステム

photo クロムハウンズの世界には「タラキア民主共和国」、「モルスコイ共和国」、「シャル・カール王国」という3つの国が存在する

―― 「ワールドモード」(オンラインモード)に関して、もう少し詳しく教えてください。

鍋島 ワールドモードには、メインとなる「ネーロイムス戦争」、ミッションをこなす「個別任務」、自由に戦える「フリー対戦」というモードを用意しています。ネーロイムス戦争は、国と国同士が戦うという設定になっており、ユーザーはどこかの国に所属し、スカッドを作って戦うことになります。

―― スカッドは毎プレイごとに違う人で組むことになるのでしょうか?

鍋島 いえ、違います。スカッドは最大20人で構成することができて、1回の戦いで出撃できるのは最大6名になります。ある程度同じメンバーでシーズンを戦い抜くというスタイルですね。これはロボットの性能以上に、戦略が勝敗を左右するゲームであるため、ある程度は固定のメンバーで組むことが望ましいと考えたからです。


photo スカッドのイメージ

―― スカッドに所属するのは必須ということでしょうか。本作から初めてXbox Liveを体験する人には、まだ知り合いがいないと思うのですが……。この場合、ユーザーはどのようにスカッドに所属すれば良いのですか?

鍋島 スカッドに所属する必要があるのはネーロイムス戦争だけです。フリー対戦ならば、スカッドに所属していなくても参加することは可能になっています。ですので、メンバーがいない人はひとまずこちらを遊んで仲間を見つけてほしいですね。うまく活躍できれば“ぜひ我がスカッドに来てくれ!”なんてオファーが来るかもしれませんし。ちなみに、同じスカッドのメンバー同士ではネーロイムス戦争で戦うことはできません。仲間同士での練習や模擬戦を行う場合も、フリー対戦を利用することになります。

―― スカッド内でのコミュニケーションは、どのように行うことになりますか?

鍋島 基本的にはボイスチャットで行います。対戦中だけでなく、ネットワークモードに接続した時から使えるので、例えばカスタマイズ中やショップでパーツを購入している時に、チームメンバーに相談したり、アドバイスを受けることもできます。同じスカッドのメンバー同士であれば、パーツやお金に加えて、エンブレムや機体の組立データもトレードできるので、チーム全員でまったく同じ機体にそろえることも可能になっています。。ただ、あくまで組立データなので、実際に必要なパーツを所持していないといけませんが。

―― エンブレムと言いましたが、こちらはスカッドごとに自由に作成できるのでしょうか?

鍋島 基本のパーツをいろいろ用意してあるので、それを組み合わせて作るシステムです。変形や重ね合わせなども自由にできるので、簡単に作れますし、慣れればかなり複雑なものも作れますよ。

―― パーツの話題も出ました。入手方法について教えてください。

鍋島 パーツはストーリーモードで集めることが可能で、ワールドモードに持ち越すことができるようになっています。もちろん、ワールドモードでも手に入ります。ネーロイムス戦争では、各国ごとに開発進行度というパラメータがあり、これが一定までたまると、ショップに新しいパーツが登場するようになっています。

photophoto パーツの中で最も重要なのが「コクピット」だ。なぜなら、ここを破壊されたらその時点でゲームオーバー(戦闘不能)となってしまうから

―― 開発進行度が高まれば、レアアイテムのような希少価値が高く、強力なパーツが入手できるということでしょうか?

鍋島 開発進行度が上がるほど、ショップのラインナップが増えるというイメージです。ショップに並んだ時点では、販売の上限があったりするので、抽選でパーツが当たるというシステムも盛り込んでいるのですが、ゲームが進行すれば誰にでも購入できるようになるので、ほかの人より少しだけ先に手に入れられる、当たった人はちょっとだけお得というぐらいのメリットですね。ゲーム全体のバランスに、大きく影響するようなものではないと思います。

―― ゲームのバランスと言えば、先日開催されたプレミアムトライアル(先行体験会)では、ハウンドが倒されるとプレーヤーはパイロットとして戦場に立たされていました。ハウンドを持たない彼らができることは……。

photo

鍋島 戦場を歩き回ることと、マシンガンを撃つことです。一応、マシンガンのダメージ計算を行っているのですが、相手がハウンドの場合は、その計算の結果、与えるダメージは必ずゼロになるんです(笑)。あっ、敵の歩兵はもちろん倒せますよ。

―― メカの前で人は無力ということですね。パイロットが倒されたらゲームは終了になりますか?

鍋島 いえ、また人として復活します。そもそもこの仕様にした理由は、ハウンドが壊された後、戦闘終了まで何もできない時間をなくしたかったからなんです。最初は視点を自由に移動できる、閲覧モードみたいなものも考えたのですが、これだとノーペナルティで敵陣を索敵できるため、逆にチームに有利になることがあるんです。最初にわざと一人倒されて、閲覧モードで偵察するといった戦術は避けたかったので、現在のような、まず敵陣にたどり着くことは無理であろう、パイロットスタイルになりました。それにしても、このシステムは予想外の衝撃だったようで、体験会の後にやたら聞かれますね(笑)。これだけでもやって良かったと思っています。

開発中に苦労したのはネットワーク

―― Xbox 360というハードで実際に開発した感想を聞かせてください。

鍋島 正直に言うと、開発前はネットワークに関してかなりの不安がありました。ただ、セガさんとのコラボレーションはもちろん、Xbox Liveの環境がしっかりと整っていたことで、満足行く結果に仕上がったと思っています。

―― 開発中に苦労したのはやはりネットワークでしょうか。

鍋島 そうですね。まずこのゲームで実現したいことのうち、Xbox Liveの機能で何ができるか、何ができないのか、それを調べることが大変でした。後は開発のステップごとのスパンが長かったこと。例えば、過去のハードでは“ここをこう直してね”と開発スタッフに伝えれば、2〜3日で直ったものが挙がってきました。でも今回の場合そう簡単にはいかない。気軽に修正を頼むというわけにはいかなくなり、クオリティとスケジュールのバランスをとるのが難しかったところはあります。

―― 発売したばかりということもあり、気の早い話ではありますが、次回作があるとしたら今回の経験を生かして、より良いものが生まれそうですね。

鍋島 次回作は本作がお客様にどう評価されるか、それ次第です(笑)。もしあったとしても、今後は「アーマード・コア4」がありますから、それ以降になると思います。

―― 次回作の話は確かに早いですね。では、Xbox Liveを使っての追加コンテンツを配信することは考えていますか?

鍋島 それについてはいろいろと考えています、とだけ(笑)。近いうちに何らかの発表ができると思いますので、ぜひご期待ください。

―― 楽しみに待っています。では最後に、アーマード・コア、クロムハウンズを手がけてきた鍋島さんにとって、ロボットアクションとは何か? を聞かせてください。

photo

鍋島 難しい質問ですね。重視しているのは、自分らしさを出せるかどうかです。良い意味での自己陶酔ですね。現実には恥ずかしいけれども、みんなが心の奥底に持っている、そんな空想を共有できるのがロボットアクションなのかなと。クロムハウンズの場合、そういう人たちとチームを組んで遊ぶことができます。少しでも興味を持っていただけるなら、ぜひプレイしてほしいと思います。

―― 本日はありがとうございました。

CHROMEHOUNDS−クロムハウンズ−
対応機種 Xbox360
ジャンル チーム型ネットワークアクション
発売日 2006年6月29日
価格(税込) 7140円(税別価格:6,800円)
(C)SEGA Corporation/FromNetworks, Inc./FromSoftware, Inc.,2006


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